こうやって、考える。 (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569901886

作品紹介・あらすじ

「無意識を使いこなす」「愛読書は作らない」など、過去の膨大な著作から発想力を鍛えるためのヒントを集めた箴言集、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 外山さんの本は難しそうなイメージがあったが、この本は割とわたしにはとっつきやすそうだったので選んだ。著者の考え方などが、あちこちの本から抜粋されてまとめられている。おお、となるものも、そうなの?と思うものもあった。





    ★人間は少しあまのじゃくに出来ているらしい。一生懸命ですることより、軽い気持ちですることの方が、うまくいくことがある。何よりおもしろい。このおもしろさというのが、化学反応である。

    ★知識は「死んだもの」と考える
    ★本を読んで得られる知識は過去形である。
    ★人間は過去だけで生きていくのでは無いから、過去形の知識だけでは不充分なことははっきりしている。どうしても、現在形の思考力、判断力が求められる。それは死んだ知識からでは生まれない。

    ★何足ものわらじを履く

    ★雑は純一よりも豊か

    ★日記をつけるのも、記録しておきたいと言う気持ちが主ですが、実際は日記をつけることで、安心して忘れられるということが少なくありません。

    ★暇だから遊ぶと言うのではなく、むしろ忙しくて心にかかることが多いときにこそ、遊びが必要である。

    ★正直で生真面目な人たちが不毛にいちいりやすいのは、正しすぎるからである。

    ★あふれるほどの本の中から、何を求めて読むか。それを決めるのがたいへんな知的活動になる。

    ★読み捨てる
    ★本を読んだら、忘れるにまかせる。大事なことをノートしておこう、というのは欲張りである。心に刻まれないことをいくら記録しておいても何の足しにもならない。

    ★散歩するように読む
    ★乱読する
    ★そよ風のごとく読む

    ★読む本の多いことを思って貴としない。心を育む本を、じっくり味読する。ものを考える力を弱める読書は有害だ。

  • 190頁弱のうすっぺらい文庫本でたちまち読めてしまうありがたさ

    無駄なノートは取らない なるべく少なく、少なくと心掛けてノートをとるのがノートの知恵である。
    文章についても、短いことは良いことであるらしい。簡潔は智の真髄とある。

    本書は、自書からあつめた、短い文章の解説集である。

    気になったのは、次のとおりです。

    ・「未知のものを見つけ出す」
    自分の生活の中にひそんでいる未知のものを見つけ出して、それをもとに自分の”知見”を創出する。これが”知的”である。

    ・「メモの習慣を身につける」
    アイデアをとらえようとしたら、常住坐臥、寝てもさめても、来らば逃さじ、と準備の構えを怠ってはならない。その準備がメモというわけである。

    ・「寝させる」
    思考の整理法としては、寝させるほど、大切なことはない。思考を生み出すのにも、必須である。

    ・「考えごとは朝にする」
    ものを考えるのは、朝、目覚めてからの短い時間がいい。

    ・「知識に甘えない」
    知識が多くなると、自分で考えることをしなくなる。知識が豊かであるほど思考力が働かない傾向になる。

    ・「感想を書く」
    書くことはおっくうであるが、頭脳をよくするもっともよい方法は書くことだ。

    ・「一回性の思考を逃さない」
    記録するノートはその人間の精神生活の履歴書のようなものである。このうえない貴重なものになる。ひとりの人間が偶然のように考えたこと、というのは一回性のもので、一度消えたら永久に還ってこない。

    ・「すてる知識を選ぶ」
    たえず、在庫の知識を再点検して、すこしずつ慎重に、臨時的なものをすてていく。やがて、不易の知識のみが残るようになれば、その時の知識は、それ自体が力になりうるはずである。

    ・「強い影響力のあるものからは距離をおく」
    自分の考えが生まれなくなるほどに感銘を受けるというのは不幸なことである。アイデアがほしかったら、決定的支配力をもつようなものに接しないのが知恵かもしれない。

    ・「分析の本質を知る」
    分析はいわば破壊である。ものを創り出すには、ほとんど、まったく役に立たない

    ・「ヒマな時間をもつ」
    忙しい人だけが、本当にヒマな時間をもつ。ヒマな人がヒマを感じることはできない。

    ・「空白の時間を持つ」
    自由な時間を上手に使うというのは、ぎっしりつまったスケジュールをこなすことではない。まず、何もしないでボーッとする時間をもつことだ

    ・「読み捨てる」
    本は読み捨てでかまわない。ノートをとるのも、一般に考えらているほどの価値はない。

    ・「あえてゆっくり話す」
    大声ばかりでなく、早口もよろしくない。たくさんのことを言おうと思ったら、思い切って、ゆっくり話すと案外、たくさんのことがいえる。

    目次

    はじめに

    第1章 発想力を鍛えるヒント
    第2章 思考のプロセス
    第3章 思考力を高める方法
    第4章 知性を磨く生活
    第5章 思考につながる読書
    第6章 発想が豊かになる”おしゃべり”
    第7章 未来を創るヒント

    出典一覧

  • この本は、「知の巨人」と呼ばれた、外山滋比古さんが書かれた本のダイジェスト版です❕
    これまで書かれた本の大事なエキスを寄せ集めた「考え方」の入門書で、とてもいいヒントを貰える本です。
    ぜひぜひ読んでみて下さい。

  • 「はじめに」の中で、「引用された短文が、もとの本文の中にあったときとは違った、新しいニュアンスをともなっている」ことを、おもしろいと書いている。

    『思考の整理学』、『ものの見方、考え方』、『乱読のセレンディピティ』など、これまでお世話になった本から、もう一度一粒一粒を味わっているような感じがあって、良い。

    「知識を得たら、すぐに、使わない。時間をおいて、変化するのを待つ。善玉忘却によって知識を解体、浄化するのである。時の力を加えることで、知識は変容し、昇華する。正確でなくなるかもしれないが生産性を獲得する。そういう特化した知識は、思考と対立しない。
    思考にとって役立つ知識は、善玉忘却をくぐってきたものである」

    「頭の切り換えというが、切り換えには、すこしでいい、白い時間がいる。すぐ次へ移るのはよくない。
    何もしないとき、実は大きな働きをする」

    どちらも、時間と思考(と知識)について述べたものだ。

    多分、今の私が求めている言葉なんだろう。
    白い時間を意識的に生み出すことは、難しい。
    けれど、そのことや、「間が空く」ことで醸成されるものがあることも、分かるようになってきた。

  • 1.最近、ジャンルに囚われない考え方を必要とする機会が多く、外山さんの本はまさにピッタリだったので読むことにしました。

    2.考えることはふとした時に起こります。情報が溢れている現代では知識を得ることだけが目的となり、発想を加える余裕がなくなってます。
    本書では、考え方という考えるよりも前段階の入門書として作られてます。

    3.空白を作ること、欲張りすぎないことが今の自分には足りないのだと思いました。仕事以外のプライベートが充実し始め、ゆっくりする時間が欲しくなるものの、どこか忙しさに満足してしまっている自分もいました。大切なのはアイデアを生み出して自分を成長させることだと改めて実感しました。

  • ①読書などで知識を得たところで
    思考力や発想力が鍛えられるわけではない。
    机上ではなく『日常』に潜む未知なものを見つけ、『考える』ことが知的である。

    ②忘却をマイナスに捉えない。
    手放し忘れるからこそ、新しいものに出会い思考を活発にすることができる。

    ③ 本を読んだら忘れるに任せる。
    大事なことをノートしておこうというのは、欲張りである。心に刻まれないことを記録しておいても何の足しにもならない。

    という言葉をしっかりメモする自分に矛盾を感じながら読み進めました。笑
    付箋だらけになって面白かった!

    本の帯には『超入門』と書かれているが、
    ハッとさせられる事が多く、また歳を重ねても読みたいと思わされた。
    (定年後を余生と考える人生ではなく、20〜80歳までを働くと考えて30年で2分割という考え方も好みだった!)

  • 考え方の参考に
    本の読み方
    雑談の大切さ
    忘却の必要性

    違う考え方を教えてくれます
    それを鵜呑みにせずに、本を一回置いて、考える時間も作ろうと思いました

  • 読み終わって、久々に感想を書こうという気持ちになりました。感じたことを書くのは大切とあったからです。でも読んだ本に影響を受けすぎるのであれば、その本からは離れた方がいいともありました。向き合い方って難しい……。
    今まで感想を書く時は、忘れたくないことをメモする、自分なりに要約するために書いていましたが、メモをすると安心して忘れることができるそうです。私が今までしていたこととは、一体何だったのか……。
    でも、確かにメモしたことって思い出せないんですよね。見返せばいいやという気持ちになるから。本当に心に留めておきたいことは、メモしないほうがいいのかもしれません。それで忘れてしまっても、大切なことならふとした時に洗練された状態で蘇ってくるし、大切でないことなら、思い出すこともないだろうから。読書とか学ぶことに対する姿勢について、改めて考えることができる本でした。
    正直、わたしは他人の考えや主張を自分の考えのように話すことがよくあるので、かなり耳が痛い(読んでるから、目か?)内容でした。ちゃんと自分の考えたことで話せる人間になりたいな。

  • 外山の「知的生産の技術」関連の著作21冊から、発想法・読書術などのテーマ別に選りすぐった文章を集めた箴言集である。

    1ページ以内の短文の寄せ集めなので、すぐ読み終わる。

    元本21冊のうち、私が読んでいたのは、『思考の整理学』『知的創造のヒント』『アイディアのレッスン』の3冊のみ。

    この抜粋集を読んで安直に「わかったつもり」になるより、『思考の整理学』(私はこれがいちばん好き)などの元本をきちんと読むべきだと思う。

    ただ、外山の「知的生産の技術」ないし「思考術」のエッセンスを抽出した本ではあるから、刺激に富む言葉は随所にある。

    たとえば、忘却にも善玉と悪玉があり、頭の働きをよくする「善玉忘却」は積極的に活用すべし……という指摘は面白い。

    また、「机を高くする」という項目があり、座ってばかりいると知的活力が衰えると外山は言う。
    これは、今でいう「スタンディングデスクの効用」の先取りともいうべき指摘だと思う。

  • メモしたい箇所がたくさん!
    脳科学とも通じる箇所がたくさんあった。

    そして、読書に対して気楽になれた。

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 読みの整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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