- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569902128
作品紹介・あらすじ
ある復讐のために高原の施設に集まった十人の中の一人が殺された。犯人の正体と目的が摑めぬ中、第二の殺人が! 長編密室ミステリ。
感想・レビュー・書評
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高原の保養施設『風神館』に集まった10人の男女。彼らの目的は、自分達を不幸に陥れた企業幹部の3人の殺害。
1人目の幹部を殺害し、次の計画に進むところで、仲間1人の変わり果てた姿が...
人の出入りのない施設で起こった殺人事件。
犯人はこのメンバの中にいるのか?
疑心暗鬼に駆られるメンバー達が、ひとりまたひとりと殺される。
警察を呼ぶ事も出来ない状況で、残ったメンバーの決断とは?
このまま企業幹部の殺害計画を進めるべきなのか否か?
そして、本当の真犯人とは?
石持さんらしいロジックが展開します。
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復讐の為に集まった10人が次々と殺されていく…犯人は誰なのか?目的は何なのか?
敵か味方か、誰を疑い信じるのか。
二転三転する展開に目が離せなくなり、一気読み。
殺し屋シリーズが面白かったので手に取ったのだが、石持浅海さん、他にも読みたい。 -
保養施設「風神館」に集まった十人の男女。彼らは自分たちを不幸にした企業幹部への復讐を果たすために集結した。しかし、一人目の復讐を終えた彼らが見たものは、殺された仲間の姿だった!疑心暗鬼の復讐劇が開幕する!
閉ざされた館の中で、殺されるはずのない仲間が殺された。仲間の中に裏切り者がいる?!その目的は何なのか。復讐計画のタイムリミットが迫る中、次々に仲間が殺されていく。そこから犯人への復讐心が連鎖するように巻き起こるのが皮肉。敵か味方か。議論の度に塗り替わる白と黒にハラハラする。
人間関係とロジックをどろどろに煮詰めた心理戦の描写はさすがの一言。ただ、ラストにもうひと盛り上がり欲しかった。あと、この内容で〇〇館の殺人と名付けるのは残念。館ものじゃなく、石持作品として売り込んで欲しかった内容。改題前を踏襲して『復讐者は風と共に踊る』とかどうでしょう。館ものとしては☆2、石持作品として見るなら☆3という印象。
先ほども触れた通り、2018年発刊の『崖の上で踊る』を加筆・修正して改題した作品にあたるので既読の方は要注意。それにしても、何か伏線を読み落としているのかな?というラストで、あれはあのままの意味でいいのかと。復讐者は敵か味方か線引きをつけたがるという話は興味深かった。ぼくは最終的にあの人が全部押しつけて去っていくのかなと考えているけどどうなんだろう。 -
ある企業への復讐の為に、今は使われていない会社の保養所「風神館」に集まった10人の男女。
何の説明もなく、一人目の復讐を成し遂げたシーンから始まるのも衝撃的。
一人目を計画通り殺せたことから、結束感が強まったと思えた10人だったが、翌朝、そのうちの一人が殺される。
9人となったメンバーは企業への復讐を続けるべきか、犯人探しをするべきか、議論になる。
しかし、その後も次々と起こるクローズドサークル内での殺人。
果たして、仲間と思っていた人間の誰が犯人なのか?
殺人シーン自体シンプルで、会話を中心とした心理戦なのが、やはり石持浅海ならでは。
碓氷優佳シリーズではないが、探偵役となる雨宮の存在がラストまで不気味。
心理戦がメインだし、犯人の動機はちょっと弱めだったので、読んでいて退屈に思う部分も。 -
自らの手で殺人を犯したにもかかわらず、自らを殺しにくる殺人鬼が誰なのかと疑い合うところが少し皮肉?めいていて面白かったです。
館ミステリーですが、まさかの殺人者達が集まっている中で殺人が起きたのですから、警察に頼ることが出来ないというところが他の作品と少し違うところです。
館ミステリーが好き、クローズドサークルが好きという方には、お勧めします。 -
館内で殺人事件が起こっていく。
すごく好み。
ただ、ちょっと動機が弱いかな。
そう思わせてしまうのが残念。
もう少し登場人物を掘り下げて、こんな人!ていうのがほしかったな。
最後はどうなるのか。 -
復讐のために手を組んだ10人。
閉ざされた風神館で見事標的の1人に復讐を遂げるが、仲間の1人が殺されたことをきっかけに疑心暗鬼に陥っていく。
ある推理で犯人を特定したと思ったら、別の推理で否定される。
動機すらも二転三転する。
生き残った全員が怪しいからこそ、結末が予想できなかった。 -
石持浅海やっぱり好きです。
カフェでこの本読んでたら、店員さんに自分も読んでますって声かけられたのがウケた。
本っていろんなネタを与えてくれますね。
本屋に久しぶりに行ったときたまたま見つけて、あらすじ読んで一瞬で購入決定した。復讐のために集まった人たちの中に殺人犯がいる、ってもう最高よだれ出る。
クローズドサークルものが好きなのに、さらに心理戦が付け加わるなんて最高。
碓氷優佳シリーズが大好きだから、雑談と会話劇中心で真相に近づく展開が好きでたまらなかった。
ザックザク殺すし殺されるし、犯人はちょっぴり拍子抜けだったんだけど。
石持浅海の書くキャラは好きになれないんだけどね(笑)
淡々としててロボットみたいで、愛や体温をあまり感じない。
でもそれも好き。 -
2022.5.13読了。
これぞ本格ミステリの王道と言える一冊。
ミステリにありがちな序盤の、お膳立てのような前置きや背景説明、人物紹介じみた会話は尽く省かれて1ページ目から唐突に作品世界に落とされる。
読者が巻き込まれるように作品世界に入り込まざるを得ない不安な感覚が、どこか登場人物達と共犯であるかのような錯覚を起こさせる。
後ろめたいような、薄らと漂う罪悪感。
凝ったトリックは一切なかったが、短時間のうちに立て続けに起きる事件に、息をつく間も無く犯人が誰なのか動機は何なのか、混乱していくのも臨場感があって良かった。
ただ登場人物が多いのにいまいち個性がはっきりしておらず、会話文でも誰のセリフなのか分かりにくかったりしたのが残念なポイントだった。
探偵役の雨森が一般人なのにどんどん話を進めていくのも少し違和感があり、もう少し説得力が欲しかった。
とはいえ全体的に一気に読ませるだけの魅力を持った作品。無駄(といえば言葉は悪いが)を排除して焦点を絞った構成が素晴らしかった。
ちなみに完全なる余談。
作品中、事件の舞台はゴールデンウィークの三日間。
ちょうど読んだのが5月で、「2日と6日を休めば10連休になる」という日周りが2022年と同じだったのが偶然にもリアルと重なってちょっと得をした気分になれた笑