ほかに好きなひとができた (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
3.23
  • (1)
  • (17)
  • (22)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 303
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569902418

作品紹介・あらすじ

簡単に人と付き合うけれど「好きなひとができた」とすぐに別
れる男。彼に翻弄される人々の悲劇を描く傑作サスペンス。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いつも「ほかに好きな人ができた」と言って恋人をフッてしまう神崎登吾。
    何が彼をそうさせるのか気になって、つい手に取った作品です。
    帯に釣られたと言うか……(笑)

    天性の美貌でまあモテるモテる!
    軽くつきあってるのかと思いきや、そういう訳でもなく、彼の過去を知っていく度に、「顔が良すぎるってのも生きづらいものだな」と哀れに思ったりして……(とは言え、得もいっぱいあるんだろうけど)

    彼を好ましく思う女性たちも、「好きだから何をしても許される」と怖い感情をぶつけてくるし。
    結局、相手のことより自分のことを優先してるから、そういう論理になってしまうんですよねぇ。
    気をつけなきゃな……と考えさせられました(笑)

  • 別れからスタートし、神崎登吾という男の人生を坦々と遡っていくお話。登場人物それぞれの捻くれた心情がわかりやすく描かれているとこと、場面がコロコロ変わるので、飽きずに読めるとこがよかったけど、ややオチが物足りなかったかな。

  • 最初1/3くらいは、「あ、ちょっと失敗だった??」って思うけど読み進めたらちゃんとおもしろくなった。

    「好き」ってなんだろ??

    他人が変わることを望むな。自分が変えられるのは自分だけ。
    を、なるべく意識して生きるようにしてる私には、「恋人だから」とかいう理由で、相手を「変える」なんなら「変えてあげる」という思想が、どうにも……受け入れられないというか、気にくわないというか。

    なので、神崎を「好き」になった人々が、自分の尺度で彼を「より良い(と、本人は信じている)」方向に変えようと働きかける様が、腹立たしい。どっちかというと、神埼に共感してしまった。
    まぁ、でも結婚も考えてるような彼氏がフリーターとかだったら、定職についてよ……とは思うけど。
    でもその点も「定職についてほしいとは思っている」って自分の希望は伝えるけど、その後どうするかは相手次第だしなぁ。相手が変わることを期待するよりは、自分が変わることのほうが現実的 建設的だとおもうなぁ。

    「好き」っていう感情の「醜さ」を見せられた気分…

  • 神崎登吾という人物は
    とても危うく、妖しい魅力があります。
    そんな彼に人生を狂わされていく。

    神崎登吾は決まって最後には
    「ほかに好きな人ができた」と言って、
    付き合っていた女性に別れを告げる。
    その「好き」はどこかおかしい。

    そしてその彼を追いかける仁村萠の
    「好き」もどこかおかしい…。
    好きという感情は暴走してしまうと
    恐ろしいことになりますね。
    愛と憎しみは紙一重。

    口裂け女やのっぺらぼう、かまいたちなど
    妖怪の名がついた章のタイトルですが、
    ホラーではありません。
    ある意味ホラーかもしれませんが…。
    人間のほうがよっぽど怖いです。

    最後まで読み終わったとき、
    実態が分かってゾッとしました。
    神崎登吾くん、幸せになってほしい。

  • 可哀想な登吾、可愛い登吾。

  • おかしいのは男の方だと思っていた。
    だから真実を知った瞬間、背筋がぞわぞわして吐き気がした。
    きっとその相手に悪気はない。
    でも「貴方のためを思って」とか「好きだから」と言いながら傷つける。
    そんな“愛”を理由に支配しようとする人間は恐怖でしかない。
    あまりにも怖すぎる。
    そんな目に遭ってもまだ、人を好きになれるのなら、何とかなるだろうか。
    いつか彼の心が救われる日がくれば良いのにな。

  • 個人的には結構好きだったな

    当たり前のことだけど改めて
    好きだからや良かれと思ってって言葉は
    相手の受け取り方ひとつで
    有り難くも嫌悪感にも変わるもんなんだな〜と。

    神崎くんには心から救われてほしいと思ったな
    大介とか川藤ウザすぎて無理だった(笑)

  • 各章のタイトルが「口裂け女」「のっぺらぼう」「かまいたち」「子泣きじじい」「送り狼」という妖怪なのが面白かった。
    「好き」という言葉で相手を自分の思い通りにしていこうとする人が多すぎた。「好き」という言葉は時に相手を恐怖に陥れる。妖怪そのものだった。

  • 図書館の本⑤

    「好き」の種類は多いし、どんどん相手を支配したくなるのは自然の原理。でも支配されたくないのは共感できる。好きが深くなるほど、終わりは儚いし、その瞬間に虚無感に陥ることを知っているから怖くなる。しかし一定の距離を置いていると「好き」ってなんなのかわからなくなる、「好き」という感情について改めて考えさせられる本。

    ホラー要素あり。感情の在り方について思考したくなるので、スラスラ読めます。

  • 「ほかに好きなひとができた」
    そう言って離れていく、彼には幼少期からのトラウマがあった。
    彼の「好き」がいつか叶って、彼の望む「好きなひと」と幸せになれますように。

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京育ち。日本大学芸術学部文芸学科中退。日本推理作家協会会員。2009年、『山姫抄』(講談社)で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『泣きながら、呼んだ人』(小学館)が盛岡のさわや書店が主催する「さわベス」1位を獲得。2011年に刊行した『嫁の遺言』(講談社)が多くの書店員の熱い支持を受けベストセラーに。その他に『蛇の道行』(講談社)、『四月一日亭ものがたり』(ポプラ社)、『ひかげ旅館へいらっしゃい』(早川書房)、『ごめん。』(集英社)など。昨年刊行した『カスタード』(実業之日本社)は奇跡と癒しの物語として多くの読者を勇気づけ、本作はその続編にあたる。不器用だけど温かな人情あふれる物語には、幅広い世代にファンが多い。

「2022年 『ロータス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加藤元の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×