音楽心理学ことはじめ 音楽とこころの科学

著者 : エリザベス・ヘルムス・マーギュリス 二宮克美

• 福村出版 (2022年1月24日発売)

作品紹介・あらすじ

なぜある音楽は頭から離れず、身体でリズムをとりたくなるのか。専門家から一般の読者まで、皆が抱く音楽に関する疑問を解明する音楽心理学の最新の研究成果と方法を紹介。

感想・レビュー・書評

[hawaii0521さんの感想 · 2022年3月15日]

音楽が人の精神に与える影響や、人はなぜ音楽を好むのかとか、音楽のトレーニングや経験は、人の人生にどのような影響医を与えるのか、音楽の機能は言葉とどのような点で異なっているのか、あるいは違っているのか、ある演奏は素晴らしいのに、他の演奏はそうでないのはなぜか、ある音楽はなぜ人を動きたくさせ、踊りだしたくさせるのか、他、音楽に対する包括的なアプローチを科学、医学、哲学他の知見を駆使して解明しようとするのが音楽心理学である、と本書を読んで理解した。

ただ、本書は本格的に音楽心理学を学びたい/学んでいる、あるいは周辺分野の研究をしている等、ある程度のレベルの研究者向けに書かれているようで、全くの素人が読めるように平易な内容となっているものでは無いので、かなり読むのに苦労した。タイトルだけで判断するのではなく、読む前にもっと記述内容を確認すべきであった・・・。

[hornさんの感想 · 2022年5月4日]

内容は興味深いけど、１ページ目の１行目から翻訳が微妙で読み辛い…
（あとがきに訳に苦労したとは書いてあったものの、訳者の他の翻訳書のレビューでも訳の読みづらさを指摘されていたので、おそらく原著の内容だけでなく翻訳の問題が大きそう）

音楽の学習過程は言語ととても似ているものの、アウトプットは全身の身体活動として現れること、
また音楽システムへの理解や音楽を聴いて感じることは、全人類に普遍的なものではなくて、文化や個人の体験の強く受ける、などの話が面白いと思った。

[別府さんの感想 · 2022年1月20日]

【書誌情報】
『音楽心理学ことはじめ――音楽とこころの科学』
著者：エリザベス・ヘルムス・マーギュリス
訳者：二宮克美
ジャンル 知覚・認知・行動
出版年月日 2022/01/25
ISBN 9784571210426
判型・ページ数 4-6・208ページ
定価 本体2,400円＋税

なぜある音楽は頭から離れず、身体でリズムをとりたくなるのか。専門家から一般の読者まで、皆が抱く音楽に関する疑問を解明する音楽心理学の最新の研究成果と方法を紹介。
〈https://www.fukumura.co.jp/book/b599136.html〉

【目次】
第1章　音楽心理学の理論と実践
　音楽とこころについて考えることの歴史
　音楽とこころへの現代的アプローチ
　コンピュータ・モデリング
　コーパス研究
　行動研究
　認知的神経科学の方法
　臨床的アプローチ
　質的アプローチ

第2章　音楽心理学の生物学的起源
　音楽脳
　音楽と健康
　人間以外の動物は音楽的なのでしょうか
　音楽の進化の起源

第3章　言語としての音楽
　音楽の文法と音楽の表現力
　音楽と言語の学習
　音楽の意味
　音楽－言語の相互作用
　発話と音楽との境界線

第4章　正しいテンポで聴くこと
　拍子とリズムを知覚すること
　メロディと音声の時間的出現
　音楽を聴くときの行為と知覚

第5章　音楽演奏の心理学
　演奏における表現力
　演奏を経験すること
　音楽演奏の力学
　練習が差異を生む
　創造性と即興演奏

第6章　人間の音楽性
　ピッチ知覚
　音楽性の発達
　音楽トレーニングの効果
　個人差
　特別な音楽能力
　音楽にかかわる特別な障害

第7章　音楽への熱望
　音楽に対する情動反応
　音楽に対する美的反応
　音楽の好み
　音楽の機能と動機づけ

第8章　音楽心理学のこれから
　音楽とビッグデータ
　頭から離れない曲と音楽の記憶
　異文化間アプローチ
　自然科学、人文科学、芸術のかけ橋