赤い白球

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 29
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575241846

作品紹介・あらすじ

1939年日韓併合時代の夏、平壌一中の吉永と朴は二遊間でコンビを組んで甲子園を目指していた。やがて二人の球児は戦火に巻き込まれ、吉永は陸軍士官に、朴は少年飛行兵への道を選ぶ。白球と特攻――2人の運命は交差し、国境を越えた熱き友情の物語が始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 最後、驚きの展開に。

    読むにつれ、重い雰囲気の話になっていき
    読み進めるのがホント辛かった。

    戦争の話は、本当に辛い。
    どうかコロナも落ち着き平和な日々がつづきますよーに。

    龍雅の人生が壮絶すぎる。
    最後の最後に大好きな人と結婚できたが、親友のことが頭から離れなかっただろーに。

    友達や先輩が部下になり特攻を命ずる苦悩なんて、想像もできない。

  • 1939年、平壌。甲子園を目指し、セカンドとショートで完璧なコンビネーションで守りを固める朝鮮人の龍雅と日本人の龍弘は、それぞれの事情から航空学校と士官学校への入校を余儀なくされる。朝鮮人である龍雅が、日本国の軍人とならざるを得ない背景は16歳の少年には重すぎる。やがて2人は国と生まれの違いから死を命ずる者と実行する者へと変わっていく。ついに訪れた最後の出撃の前夜、2人は…2人だけではない。2人を取り巻く人達それぞれが、それぞれの運命を苦しみ抜いた。それは戦後70年経ってもなお、消えてはいなかった。
    「なぜ死ぬ人間は皆、俺に生きろと言うんだ。一緒に死んでくれと言ってくれたほうが楽なのに」

  • 『深山の桜』、『七四』、『桜と日章』の3作は現代の自衛隊が舞台ですが、今作は第二次世界大戦時の物語であり、背景は史実に基づいたものですのでやはり非常に重いです。
    ただそこに野球という要素と2018年にまで続く物語が挿入され、ラストには光明を見出すことができ、厳かな気持ちで本を閉じることができました。
    読んでいる中で「あれ、どこかで見たような苗字が沢山出てくるな」と思い、再度、自衛隊3作を読み返して確信しました。
    今作を含めたこれら4作は、時代や世代を超えてつながっているのでしょう。
    登場人物だけでなく、根底に流れる信念や、作者の登場人物に対する深い愛情が共通して感じられます。どうかこの4冊は、2度、3度と読み返すことをお勧め致します。
    周到に張り巡らされた何本もの線がつながった時、より深い世界感を感じることができると思います。
    この世界の次回作を熱望致します。

  • 日韓併合、あるいは創氏改名というような言葉を知らない方も多くなってきていると思います。
    日本と韓国の過去の歴史にあった事実を日本人と韓国人それぞれはどう受け取っていたのか、その一端を読み取れるかもしれません。
    そして戦争、特攻による人間性の否定などを当事者の思いを感じられます。
    著者の反戦意識、当時の日本軍に対する批判的な思いも溢れている。
    教科書のように事実の羅列ではなく甲子園という夢を追いかけた若者達の生き様を通して考えることができる。
    ただ残念なのは本書の装丁と言っていいのか表紙の絵がかつての少年漫画雑誌を彷彿させてしまって内容と乖離が生じているように思えて仕方ない。
    本を買うときに装丁に魅せられて買ってしまう
    「ジャケ買い」もあるくらいなので勿体無い。

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著者プロフィール

1969年愛知県生まれ。中学校卒業後、陸上自衛隊少年工科学校(現、高等工科学校)に入校。北海道にて74式戦車の操縦手として勤務。自衛隊を3等陸曹で依願退職。その後、韓国に留学。以降、韓国と関わる仕事に従事。2014年、第13回『このミステリーがすごい!』大賞にて『深山の桜』で優秀賞を受賞。著作に『七四』『赤い白球』『桜と日章』、共著に『伝奇無双「秘宝」 』『幕末暗殺!』がある。

「2023年 『さくらと扇 国を護った二人の姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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