犬がいた季節

著者 :
  • 双葉社
4.21
  • (822)
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  • (44)
  • (8)
本棚登録 : 6984
感想 : 673
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575243253

作品紹介・あらすじ

1988年夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら…。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の逡巡や決意を、瑞々しく描く青春小説の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。生徒の名にちなんで「コーシロー」と名付けられ、その後、ともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら……。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の友情や恋、逡巡や決意をみずみずしく描く。(ブックデータベースより)2021年本屋大賞第3位

    話題の小説にアンテナを張っている日高さんです。
    犬の目を借りての本書と手つかずな自然を表現した『ザリガニの鳴くところ』の二作を紹介してくれました。

  • 昭和・平成・令和。県内有数の進学校である八稜高校(通称「ハチコウ」)で飼われている白い犬「コーシロー」は、入学して卒業していく生徒を見守り続ける。

    各世代の高校生たちの青春が描かれているのが面白い。でも、その生徒たちが卒業していくのを見送るコーシローが切ない。
    特に「明日の行方」が良かった。寂しくて切ないけど、だからぐっとくるものがある。この章は1994年度の卒業生が主役なので、1995年の八稜高校が舞台。1995年といえば、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件と、不安が続いた年でもある。震災で家をなくし飼い犬を亡くした祖母を受け入れるがそこにも苦労はつきまとう。震災後、間を置かずに亡くなった祖母の姿を引きずりながら地下鉄サリン事件の映像を見た章の主人公は、合格した大学を辞めて医学部に入り直すことを決意する。何もできずにいた自分を変えるために。
    とても良いなと思った。
    この主人公がコーシローに挨拶をする場面が切ない。
    「元気でね、という言葉を聞くと、長いお別れが来る。この間もたくさんの卒業生に撫でられながらこの言葉を聞いた」

    最後の章では、今までの卒業生の進路が分かって、これもまた感動的でよかった。


    「手を振ろう、コーシロー。あの子の幸せを祈って。先生方はいつか同窓会で会えるが、私たちはおそらく二度と会えないから」

  • コーシローの一生を通して高校を通過していく人々の人生が繋がっていく物語
    青春ってその真っ只中にいるとままならなくて窮屈で早く抜け出したいと思うのに、傍目から観るとなんと良いものだろう
    人生は振り返ってみて有難みに気づくことも多い
    主人公の2人が過去にヤキモチを妬かない程に上手くいくといいなと思う
    いやきっとうまくいく

  • 本屋大賞第3位
    ハードルが高かったのか、
    私の年齢が青春小説についていけないのか、
    ちょっと期待していた感じまではいかずに読了

    ただ舞台が近いこともあり親近感もわき
    中でもF1の章は『ザ.青春』て感じで良かった

    全く興味はなかったが、
    昔私も観に行ったことがあるから

    駐車場からひたすら歩いたことと
    そのレースで事故があったことしか覚えてない

    それからも興味は湧かなかったけど
    男子がそこまでして観たいものなんだと
    いうことがわかった
    ちょっとスタンドバイミーっぽかったな

    最終章しっかり回収されてたのと
    書店員さんの解説が良かった
    自分の母校がモデルなんてきっと嬉しいよね

    そういえば
    私の母校が撮影に使われた
    映画が公開されるらしい
    同窓会…一回も行ってないな
    私の青春に深く関わってくれた人たちは
    早くして亡くなってしまった泣

    さぁ次は
    平野啓一郎さんにお初にお目にかかりますぞ

  • いい小説なんだろうけど時代が織り込んであるのが自分にはしんどいのでありました
    その空気感がダメです
    いろいろ悪い事を思い出しそうだったので飛ばし読みしてます

    自分には辛い内容もあったが何とか読み終えた
    時を感じさせる素晴らしさで大人には感涙ものなんでしょうね

  • 高校生の生活の中からの視点で描かれる淡い生真面目な恋、なんともしがたい環境、性の問題、老い、生と死、災害、人間関係、様々な課題に様々に立ち向かう人間たち。嫌な人間も描きつつ、しかし、いつも我慢してるから、こんな時に文句がいっぱいでてくるんだ。許してね、みたいな場面もあり、なんとも温かい。  ほのかな恋ごころ、フワッとして、暖かくなる。また読みたくなるいい作品だった。

  • 2.4

  • 別れと旅立ちの切なさと不安きらきらした希望。
    過ぎ去った日のきもちや感覚を再体験しているよう。

  • コーシローの一生を通して、各世代の人生が繋がってゆく壮大で温かな物語だった。
    巧みで美しい表現で様々な人の人生を瑞々しく描いており、一気に読んでしまった。言葉や文字では表せない満足感が得られた。リアルでは犬が苦手な自分だが、不思議とコーシローは可愛く見えてくるのだから、著者の力量が凄い。

    • まりちゃんさん
      星月夜さんの表現力に感服しました。
      星月夜さんの表現力に感服しました。
      2024/04/02
  • マメム様よりご紹介いただいた2冊目。

    高校で拾われて育てられることになった犬のコーシロー。お世話する「コーシローの会」面々の各世代ごとの物語。

    各世代を繋ぐ大事な役目のコーシロー、メインではないですが、なんと人語を理解し、感情を匂いで感じとります!でも犬なので何もできません笑
    各章ごと青春の物語、凄いステキなお話ばかりで温かい優しい気持ちになれます(*≧∀≦*)

    マメム様、スゴイ素敵なお話をご紹介ありがとーゴザイマシタ!
    面白かったです٩(^‿^)۶

    • あかぴさん
      マメムさん
      こんにちは!とても楽しく読みました。
      また、機会あればご紹介いただけると嬉しいです!
      マメムさん
      こんにちは!とても楽しく読みました。
      また、機会あればご紹介いただけると嬉しいです!
      2024/03/16
    • マメムさん
      あかぴさん、お返事ありがとうございます。
      「人語を理解する犬」をキーワードに、知念実希人さんの『優しい死神の飼い方』をオススメしてみます^_...
      あかぴさん、お返事ありがとうございます。
      「人語を理解する犬」をキーワードに、知念実希人さんの『優しい死神の飼い方』をオススメしてみます^_^
      2024/03/16
    • あかぴさん
      マメムさん
      新たにご紹介くださり、ありがとうございます!
      絶対読みます(*'▽'*)
      マメムさん
      新たにご紹介くださり、ありがとうございます!
      絶対読みます(*'▽'*)
      2024/03/16
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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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