じい散歩

著者 :
  • 双葉社
3.29
  • (19)
  • (69)
  • (96)
  • (29)
  • (7)
本棚登録 : 779
感想 : 79
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575243574

作品紹介・あらすじ

明石家は夫婦あわせて、もうすぐ180歳。一家の主、新平は散歩が趣味の健啖家。妻はそんな夫の浮気をしつこく疑っている。長男は高校中退後、ずっと引きこもり。次男は自称・長女のしっかり者。末っ子は事業に失敗して借金まみれ。……いろいろあるけど、「家族」である日々は続いてゆく。飄々としたユーモアと温かさがじんわりと胸に響く、現代家族小説の傑作!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 初読みの作家さん。
    TVで見かけた「ちい散歩」かと思うと全然違う。大正生まれの頑固一徹な爺さんが、強烈な個性を発揮する物語。元大工で、妻との結婚を反対され、二人で東京に出てきて、程々に成功する。二人合わせて180歳に近くなるのに、息子3人はどうしようもない体たらく。妻もボケが始まって来るが、爺さんは大変元気で、別宅に助平な物品を大量に持ち、珍しい建物や喫茶店、レストランで店員の女性との話しを好むという性格。
    散歩よりも、どこにでもある家庭の問題がメインのよう。「これぞ、現代のスーパーシニア小説」と帯に謳っているが、自分の将来の理想か、と言われると・・・?

  • 実話じゃないんですよね?
    小説なんですよね?
    最後の言葉に、え?ってなったけど…

    ほんとにこんなにすごいお爺さんがいるのか??
    いや、多分いるだろう…

    お肉が好きな人は、元気っていいますもんね。

    長男と三男は、最悪だし、二男はわたし的にはとても好きなキャラだけど、世間一般にはどうだろうって感じではありますが、それをものともせず(と、見えるだけかもしれないけど)、マイペースに過ごしておられるお爺さん、さすがです‼️‼️
    たくさん食べるところも、スゴイです‼️‼️

  • ちょっと違ったけど、の一冊。

    勝手に想像していた自分好みの可愛らしい優しいおじいちゃんとはちょっと違ったけど楽しめた。

    かくしゃくアラ90にびっくり。
    認知症の妻との仲は微妙。これだけ長年連れ添っていれば夫婦どちらかの心にだけ引っかかってることって星の数ほどあるのかも。

    独身兄弟がまた見事にバラバラ個性的で良し。
    自称「長女」の健二が甘味。
    柔らかい言葉と母をサポートする姿に、ホッと和んだな。ラストは新平じいさんのスマイル、ピースサインを思い浮かべた。人生最後まで楽しまなきゃね。
    おやつのように軽く楽しめる作品。

  • 明石新平、もうすぐ89歳。年齢の割に元気な彼の趣味は散歩。もうすぐ88歳の妻には浮気を疑われ(情緒不安定気味なのが気掛かり)、長男は引きこもり、次男は自称「長女」、三男は借金まみれ。悩ましい状況ではあるが、カラッとした新平のキャラクターが好ましい。ま、昭和を駆け抜けてきた男性らしく、一本気なところが若干面倒ではあるが。
    今回改めて、藤野さんはホームドラマも上手い人だったと思い出した。ユーモアに包んではいるものの、なかなかに紆余曲折のあった新平の人生。現在パートと過去パートが交互に語られ、そのバランスが丁度よい。重すぎず軽すぎないから、却ってしみじみと、新平達の歩んできた昭和や平成に想いを馳せることが出来るというか。
    そして、タイトルにもなっている「散歩」、レトロな喫茶店やレストラン、名建築巡りがとても楽しい。これは、マップが欲しいなぁ…!
    ほのぼのしていたかと思えば、介護問題や手のかかる50代の子供問題など、リアルに考えさせられるところもあるが、ユルめの喜怒哀楽が藤野さんらしい。誰もが読んでいて「アイタタ…」と感じるところがあるだろうが、家族を見つめ直すいい機会となるはずだ。

  • あわせて180歳の老夫婦に、引きこもりの長男、LGBTの次男、借金まみれの三男。全員独身の三兄弟。
    一家の歴史と日常の物語。
    ドラマチックな展開があるわけで無し、日本のどこかにこういう一家がいるだろうと思えるただそれだけの話だが、これがまさに現実だなと感じられて、読みながら息苦しくもなる。
    読み終えたあ、自分の家のことを振りかえってみたくなるのではないだろうか。

  • 新平は89歳、妻英子は88歳。3人息子おり、3人とも50歳を過ぎたクセありの独身である。健康を心がけ、色々なところを散歩する外交的な新平。その新平に浮気をしているのではないかと、内向的な英子が疑いをかけてくる。

    過去と現在を織り交ぜながら、話はなだらかに進んでいきます。新平が建設業を営んでいたせいもあって、F.L.ライトや黒川紀章などの建築物の説明の丁寧さは、芥川賞作家らしいなぁ、と感じました。
    50を過ぎた息子たちの存在が面白く、次男(?)の存在が一種の清涼剤のようになっています。
    私も元気に年を重ねて、新平のような生活ができたらなぁ。でも、私から新平に一言。
    妻は昔の恨みは忘れませんよー(^_^;)

  • 新平じいさんは、94歳。
    すこぶる元気で逞しさを感じる。

    妻の英子さんが、90歳を過ぎて倒れてからも介護をしながら朝のルーティンをこなす。

    健康フードを食し、午後は3〜4時間の散歩をする。
    それが楽しくて仕方ないのが伝わってくる。

    それぞれ癖のある50歳を過ぎてる3人の息子たちのことも世間からみれば大変だろうと思うのだが、まったく暗さを感じさせない。

    老後が、どうなるんだーなどと愚痴らずユーモアがあるじいさん。
    なかなかいないよ。こんなじいさん。

  • ◆老いと向き合う家族小説 [評]青木千恵(書評家)
    じい散歩 藤野千夜(ちや)著:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/85683?rct=book

    株式会社双葉社|じい散歩|ISBN:978-4-575-24357-4
    https://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-24357-4.html

  • 藤野千夜さんの最新作。じいさんのゆるい散歩のテンポが心地よく、一緒に歩いているような気分になります。いいなぁ。私もこんな楽しい散歩をして過ごす時間が欲しい。そして、少しずつ変わっていく妻と、少しも変わらない息子たち。どうしようもないけれどこれが、家族。じいさん素敵です。温かく、とてもいい作品でした。

  • 文學界2018年2月号掲載を再構成し、小説推理2019年12月号〜2020年9月号掲載を加えて2020年12月双葉社刊。確かに散歩の話は出てきますが、メインではなくあまり関係がない。本人、妻、家族、近所のとりとめのないストーリー展開で、あまり興味を惹かれませんでした。主人公が元気な人だなぁというところには感心しましたが、いずれにしても、ふーんそうなんだぁという感じで終ってしまいました。

全79件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒。95年「午後の時間割」で第14回海燕新人文学賞、98年『おしゃべり怪談』で第20回野間文芸新人賞、2000年『夏の約束』で第122回芥川賞を受賞。その他の著書に『ルート225』『中等部超能力戦争』『D菩薩峠漫研夏合宿』『編集ども集まれ!』などがある。家族をテーマにした直近刊『じい散歩』は各所で話題になった。

「2022年 『団地のふたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤野千夜の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×