鑑定人 氏家京太郎

著者 :
  • 双葉社
3.65
  • (44)
  • (127)
  • (109)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 1078
感想 : 125
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575244830

作品紹介・あらすじ

民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉。所長の氏家は、女子大生3人を惨殺したとされる猟奇殺人犯の弁護士から再鑑定の依頼を受ける。容疑者の男は、2人の殺害は認めるが、もう1人への犯行は否認している。相対する警視庁科捜研との火花が散る中、裁判の行く末は——驚愕の結末が待ち受ける、圧巻の鑑定サスペンス!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 連続猟奇殺人事件の容疑者の弁護をする吉田弁護士に鑑定を要請された民間の鑑定センターを経営する氏家京太郎。容疑者は最初の二件の容疑は認めているが、三件目は自分の仕業ではないという。吉田や氏家の動きや検事、判事、警察、センターの職員、容疑者・被害者の家族との関りを詳細に追っていく。じりじりと真相に向かって盛り上げていくいつもの描き方は見事で、主人公たちの屈託もよく描かれている。ただ、心理の様相や組織間の確執、世間の反応などがいつもどおりというか、ワンパターンなのは気になる。たくさん中山七里の本を読んでくれば、それも仕方がないか。

  • 科捜研を辞職し、民間の鑑定センターを立ち上げた、氏家京太郎。
    スタッフは、元科捜研の精鋭揃いで、日々、様々な依頼をこなしている。

    今回持ち込まれた依頼は、人権派弁護士と言われている、無茶な依頼でも断れない吉田士童弁護士。

    事件は、三人の女性を殺害し、死体から子宮を取り出す猟奇的な事件の容疑者「稀代の殺人鬼」と呼ばれている、那智貴彦。
    彼は、二人の殺人は認めたが、三人目は、否認している。

    死刑回避のため、虚偽の供述との見方が大勢を占めたが、氏家は、証拠集めと分析に、スタッフ共々、奔走する。

    科捜研・黒木対氏家
    担当検事・谷端対吉田

    氏家は、黒木とは、鑑定ミスが原因で決別し、親の仇のように扱われている。
    吉田は、谷端とは、法定での伝言ミスがきっかけで、袂を分かち、以来犬猿の仲。

    確執ある二組が、
    ・犯行態様の稀に見る猟奇性
    ・永山基準を巡る裁判所判断
    ・被告の親が、所謂「上級国民」と言われる、財務省官僚であること

    以上をもって、裁判にたいして、興味をもたれている事件に、立ち向かう。

    今作も、一気読みの作品。
    シリーズになってほしい。

  • またまた 新しいヒーローの登場。
    氏家京太郎は、ちょっととぼけたユーモアのある 切れ者 鑑定士。
    自分の仕事を納得の行く形で遂行するため
    警察組織配下の科捜研を飛び出し、民間の鑑定センターを立ち上げ
    少数精鋭の研究所を作り上げる。

    三件の猟奇殺人で起訴された容疑者は、論理的にものを考える人物。
    自分の罪に見合った正当な裁きを受けると言い、精神鑑定は拒否。
    ところが、最後の三件目の事件だけは自分がやっていないと主張。
    三件目だけ別件であると証明するための鑑定を引き受けるのですが、
    科捜研には 試料が一切残っていないという。
    三か月以上も前に 河川敷で起こった事件のサンプル集めをどうする?

    科捜研在籍時の同僚との個人的な確執。
    大きな組織に対する不信感。
    研究室から飛び出して動き回って得られる人脈と情報。
    描かれている人物が魅力的で、ページを捲る手が止まらない。

    浦和医大の光崎教授とは、ヒポクラテスシリーズの大御所ですよね?
    (このシリーズは読んでいないのだけれど)
    また、サンプルの収集に重要な役割を果たした”県警のアマゾネス“ 高頭冴子。
    9月に出たばかりの『越境刑事』で活躍するのは彼女のよう。
    読者を楽しませるのがうまいなぁ、中山七里氏。
    そして、氏家シリーズも続くのかな?
    そうだったらいいのに、と密かに楽しみにしています。

  • 鑑定人の作品が続いてしまった。
    図書館の予約がこのタイミングでした(。-_-。)

    民間の鑑定事務所、氏家のキャラ、他作品の光崎教授&アマゾネス冴子の登場…
    そして中山七里お得意の連続猟奇殺人。

    なんだろう…今一つだったな_φ(・_・
    警察、科捜研、検事側の体質への批判や不満とその落とし穴的な事がサラッと流されてて軽い気がした。

    事件は解決したけどスッキリはしなかった〜

    • みんみんさん
      おびさんおはよ♪
      生欲って読んだ?
      おびさんおはよ♪
      生欲って読んだ?
      2023/04/18
    • おびのりさん
      おはようございます、みんみん。
      正欲未読です。気がついた時には、図書館予約700番越え。文庫本待ちです。
      皆さん続々と読んでますけど。じっと...
      おはようございます、みんみん。
      正欲未読です。気がついた時には、図書館予約700番越え。文庫本待ちです。
      皆さん続々と読んでますけど。じっと待つ。
      私は、鑑定人☆4なんですけど、サイン本だから。為書付き。しかも、中山さんは、すごくお上手で、片面に堂々とね。
      それだけでも、好きになってしまう。
      サインなんて、作家さん面倒だろうけれど、ファンサービスよ。今村将吾さんは、全国サイン書きまくりの旅したみたいだし。
      そして、知念さんのサイン本1冊あるんだけど、幼稚園児のお絵かき?的なぐるぐる。まあ、書店に頼まれたんだろうけど。
      2023/04/18
    • みんみんさん
      メロリンが読んでるみたいだから楽しみにして…
      おびレビューを待つ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      中山さんは担当のリクエストに来るもの拒まずで書くらしい…...
      メロリンが読んでるみたいだから楽しみにして…
      おびレビューを待つ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      中山さんは担当のリクエストに来るもの拒まずで書くらしい…今村さんも油ぎってるし笑
      2023/04/18
  • 民間で科学捜査鑑定を請け負う氏家と警視庁科捜研との闘い。

    凶悪な連続殺人事件の3人目の被害者の犯行のみ否認している件で、証拠となる鑑定をすることになった氏家。

    頑なで忠誠心が強く、個人よりは組織を、理よりは情を重んじる男である黒木と忖度にも圧力にも情理にも負けないのは真実のみと考えている氏家との対決に時間を忘れてしまうほど…。

    知識、技術も抜きんでいるのにそれをおくびにも出さず、相手の短所よりは長所に目を向けようとする氏家に好感を持てる。
    部下が、信頼しついていくのもわかる。

  • 3人の女子大生の惨殺に対して1件は否認する容疑者。
    弁護士から依頼された民間の氏家鑑定センターが、対立する立場の警察、科捜研、検察から分析協力が得られない状況で、真実に迫る物語です。

    冒頭のプロローグ的な氏家所長の筆跡鑑定もとても良かったです。
    氏家所長の人柄が好ましく、シリーズ化してほしいです。

    今作もヒポクラテスの光崎教授など他の中山七里作品から登場していて、次は誰が出てくるのかと楽しみです。
    刊行ペースが早いので、著作を全て読み切れていなく、今作にも登場した千葉県警のアマゾネスが活躍している『逃亡刑事』も読めていないので、いつか読みたいです。

  • 若い女性を絞殺して死姦した上、子宮を摘出して川に遺棄するという、猟奇的殺人事件が3件連続して発生した。逮捕されたのは、死体愛好癖のある若手医師の那智。理性的なサイコキラー那智は、2件目までの犯行はあっさり認めたものの、3件目は自分の犯行でないと否認した。

    那智の弁護を引き受けた "やめ検" の吉田弁護士は、科捜研OBで民間の科学捜査鑑定所(氏家鑑定センター)を主宰する氏家に協力を依頼した。御子柴シリーズで顔馴染みの、あの氏家だ! 新シリーズ誕生?

    本事件の担当検事は田端。犯人特定の決め手となったDNA鑑定を行ったのは、科捜研副主幹の黒木。検察官時代の吉田と田端、科捜研時代の氏家と黒木の間には、それぞれ深い遺恨があった(どちらも、田端・黒木のミスを吉田・氏家が直訴・糾弾して逆恨みされたものなのだが…)。

    那智事件の法廷は、あたかも2組の遺恨試合の様相を呈してくる。

    「無謬性という名の信仰」が引き起こす冤罪を恐れる氏家、ひたすら真摯に真実を追求しようとする氏家のプロフェッショナリズムは素晴らしい。それにつけても、田端や黒木の狭量で傲慢な態度、酷いな。読んでいて不快だった(著者の術中にまんまと嵌まってしまったかな)。

  • 世間を騒がせた、3件の猟奇的な女性殺害事件。
    DNAで特定された容疑者は、3件目の犯行だけを否認していて……。

    リーガルミステリ。

    おもしろかった。

    権力を持ち、高圧的な警察、検察、科捜研。
    いち民間企業である〈氏家鑑定センター〉は、どう立ち向かうのか?

    少数精鋭の優秀な人材ばかりで、話と仕事の速さが、痛快。

    他のシリーズのキャラクターをふんだんに登場させるのが、最近のスタイルという印象。

  • 逃亡刑事の中に出てた氏家京太郎さん。
    ちょい役でしたけど、他作品がある感じだったので調べたら氏家さん主役ありました!

    ハラハラドキドキとかはなく、予定通りに話は進みますが、へーへーホーホー...科学捜査スゲェ、氏家さんすげぇぇぇぇえって感じです( ̄◇ ̄;)
    警察辞めた人ですけど、そんな仕事してる人のお話です。

    面白かったです(╹◡╹)


  • ❇︎
    中山七里さんの他シリーズの登場人物が、
    垣間見えるのも読んでいて楽しめた点でした。

    悪徳弁護士、法医学の権威、この鑑定人も
    シリーズとして続くのを期待してます。

    そして、一つの事件を各人別々の立場と
    視点から描いたオースルター総出演の小説を
    いつか読んでみたいと思いました。

    ーーー
    鑑定人が事件の事実と真実を明らかにする物語、

全125件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中山七里の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×