不知火判事の比類なき被告人質問

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575245714

作品紹介・あらすじ

誰もみたことのない衝撃の逆転裁判がはじまる――。フリーライターの湯川和花は殺人事件の裁判を傍聴するのだが、結審直前に衝撃的な被告人質問を目の当たりにする。左陪席の不知火春希裁判官が予想外の質問を被告に投げかけ、悲しすぎる事件の真相を自白のもとに晒して法廷の景色を一変させてしまう。こうした不知火判事の質問は「他に類を見ない質問」と法曹関係者の間で囁かれていた。

感想・レビュー・書評

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  • 知人から刑事事件のルポルタージュの仕事を譲られた、フリーライターの湯川和花。
    初めての裁判で、傍聴マニアも注目する、そそっかしい左陪席の不知火春希を知り……。

    不知火の質問から、思いがけない事実が明らかになっていく、意外性がまずおもしろかった。
    さらに、弁護側からも新たな証拠や見方が示され、新たな展開続きなのが楽しい。

    海外で活動していたため、よく言えば、日本の法廷の慣習にとらわれない。
    悪く言えば、ルールを破って暴走する。

    多く登場する、弁護士の尾崎篤彦もいいキャラ。

    和花の頓珍漢な推理も含め、コミカルで楽しいミステリ。

  • 【収録作品】二人分の殺意/生きている理由/燃えさしの花/沈黙と欺瞞/書けなかった名前

    意外性はあるし、おもしろいのだが、裁判官による被告人質問って、こんなに自由なのか。

    公判手続きの整理とかで、検察官や弁護士と事前に打ち合わせをする機会もあるわけなので、公判でのびっくり質問はどうなんだろうか。検察官からすれば、「早く言ってよ!」という気がするが。
    実務を知らないので、実際に刑事裁判を傍聴してみたい気もする。

  • 誰もみたことのない衝撃の逆転裁判がはじまる――。フリーライターの湯川和花は殺人事件の裁判を傍聴するのだが、結審直前に衝撃的な被告人質問を目の当たりにする。
    左陪席の不知火春希裁判官が予想外の質問を被告に投げかけ、悲しすぎる事件の真相を自白のもとに晒して法廷の景色を一変させてしまう。

    どんな落ちが?となかなかワクワクしながら読めた。

  • 5編からなる法廷ミステリ。「最後に必ずどんでん返しが」というところが本書のセールスポイント。このどんでん返しが、凄い。かなり斜め上からの離れ業で、びっくり。50ページくらいの短編の最後の2,3ページでここまでひっくり返せるものなのかと、驚愕した。惜しむらくは。この結論に達した不知火判事のロジカルな思考展開がもう少し丁寧に書かれていたらとは思うが、そうすることにより短編としての「キレ」をそぐことになるのだろう。最近こういった驚天動地の大どんでん返し物が流行っているが、その中でも秀逸な、そして癖になりそうな作品である。

  • 目次
    ・二人分の殺意
    ・生きている理由
    ・燃えさしの花弁
    ・沈黙と欺瞞
    ・書けなかった名前

    初めて読む作家の本だったので、新人かと思ったらデビューして10年以上たっている中堅作家さんでした。
    なんで新人と思ったかというと、あまり文章が上手くないから。
    ガチャガチャとわかりにくい文脈は、もう少し整理して書いてほしいと思いました。

    不知火判事の目の付け所は面白く、質問が比類なさ過ぎて、どんでん返しすらない無双状態というのを、法廷で被告人とまたは検察や弁護人とと丁々発止のやり取りを経てからの解決だったら、もっとわくわくできたかなと思います。

    ただ、これも文章力の問題だと思いますが、遺書の文言の不自然さを、捜査陣が誰も気づかなかったのだとするとうかつすぎるし、文章を読んだだけでも登場人物二人の見た目の特徴が同じであることにだれも気付いていないのも違和感。
    二人の顔の特徴を読めば、どういう関係なのか気づきそうなものじゃないの?

    だから読者に対してフェアであると言えば、そうなのだと思いますが、もう少し読みやすい文章になるよう、情報を整理して書いてほしいと思います。
    今後に期待。

  • 不知火判事のズバッと真実を見抜く質問が爽快感。シリーズ化しても面白そうだったかなー。
    個人的には「燃えさしの花弁」が好き。

  • 発想や動機は面白かったが、検察側も肝心の不知火判事も、そんなガバガバの理由でそこまで言います?という感じ
    犯人の自白もなく証拠も全く無いのに動悸があったってだけで逮捕して裁判まで漕ぎ着ける事って、実際出来るのかな?出来ないよね?出来たら怖すぎるんですが…

  • 不知火さんスゴイ…
    続編希望。

  • 法廷ミステリ連作5編。左陪審員の不知火判事が鋭い洞察力で比類なき被告人質問を行い真相を暴いていく。不知火判事の着眼点に、なるほどそこに気が付ければ良かったのかという気持ちになる。面白かったんだけれど、パターンが一緒で少し平坦な作品に思えた。

  • 面白かったです。最後の話はオチが読めてしまったけど。
    不知火判事は粗品にやってもらいたい。

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著者プロフィール

1976年、青森県生まれ。実妹とコンビを組み、2002年、「ビッグコミックスピリッツ増刊号」にて漫画原作者デビュー。『あいの結婚相談所』『バカレイドッグス』などの原作を担う。2012年、「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で小説家としてデビュー。2019年に上梓した短編集『夫の骨』が注目を集め、2020年に表題作で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。

「2022年 『残星を抱く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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