- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575512724
感想・レビュー・書評
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多島斗志之『私たちの退屈な日々』双葉文庫。
7編収録の短編集。タイトルとは裏腹に平凡な日常を送っていたはずの女性たちが足を踏み入れた波乱に満ちた闇の世界。物語からひしひしと伝わる女性の怖さ。饅頭こわいという意味ではなく……
中でも『預け物』が取り分け面白かった。
『取り憑く』。ストーカーと芸能人の追っ掛けは紙一重か。どこまでも執着する恐ろしさ。ある芸能人のファンになり、ストーカーのように付きまとうことになる主人公の主婦。やがて主婦の行動はエスカレートし、芸能人の自宅まで突き止め、待ち伏せするまでになる。終盤の畳み掛けるような展開と結末は見事。★★★★
『めぐりあい』。焼きぼっくりに火が点くだけでは済まされない再会。偶然25年前の高校時代に付き合っていた彼氏と出逢った主婦。成り行きで初めての肉体関係を持つ。しかし、男は経営していた会社を倒産させ、莫大な借金を抱え、行き詰まっていたのだ。執拗に彼女に執着する男。その結末は……★★★
『教え子』。主人公の主婦のかつての教え子が甥と結婚した。その教え子は不良少女で少年院に入っていた。もう少し捻りの効いた結末を期待したのだが。★★
『預け物』。サスペンスフルで、なかなか面白い。平凡な主婦が友人に預けた絵画を返してもらおうとするが、その友人は亡くなっており、知人の手に渡る。主婦は絵画の行方を追って、知人の知人を辿るが……高価な絵画なのかと思いきや……★★★★★
『記憶』。なかなかのサスペンス。高齢の父親が裏山を掘り返し、必死で探す物とは一体何か。娘は異常な父親の行動に気を揉むが……★★★★
『旅の会話』。やはり女性は恐い。友達同士の3人の女性が二泊三日の温泉旅行に行き、それぞれが自身の不幸を語る。勤め先の倒産の危機に、家庭の不和に続き、妹の交通事故からの……★★★★
『ねじこむ』。不幸の連鎖。息子の高級自転車が盗まれたねを皮切りに、前払いした授業料の持ち逃げに主人公の妻の骨折と続き、夫が会社をクビになる。理由を聞いても納得できない妻が取った驚くべき行動とは……★★★
本体価格581円(古本100円)
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一つも退屈な話がない短編集。
どの話もおどろおどろしく、オチがひどい。世にも奇妙な物語を思い出す。
「預け物」が一番面白かったかな。友人に預けていた絵を返してもらおうとしたら、友人が2週間前に亡くなっていたことが分かり、親類の、知り合いの、そのまた知り合いの、、という感じで絵を取り戻しに行くんだけど、その真の目的は?!というような話。
著者の本は初めて読んだと思うけど、他の作品も読んでみたい。 -
10年くらい前に読んだので記憶が曖昧ですが、
男性の筆者なのに、女性の心理描写が
うまく書かれてあるなという印象でした。
「症例A」を読んだときにも思ったのですが、
観察力とか想像力、そしてそれを文章におこす
表現力に長けた素晴らしい作者さんだと思います。 -
2018年9月23日読了。
2018年75冊目。 -
作者は行方不明のままなんでしょうか
安否が心配です -
女性の怖さを描いた短編集。
面白かったけどあっさり、案外勢いがあって気持ちよかった。
(図書館) -
2014年10月9日読了。
女は怖い。底知れぬ怖さを持ってるのは、いつだって女たちなのだ。 -
2014/8/30
最初は急に怖い話になったりとぞくぞくしたが、いくつかこんなはっきりしない性格な人いるかなと思うところが。最後のほうは流れが読めてしまったので飽きてしまった。 -
短編