姑の遺品整理は、迷惑です (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575525625

作品紹介・あらすじ

郊外の団地で一人暮らしをしていた姑が突然亡くなった。業者に頼むと高くつくからと望登子は自力で遺品整理をすることに。だが「安物買いの銭失い」だった姑を甘く見ていた。部屋の至る所にぎっしり詰め込まれた物、物、物。あまりの多さに愕然とし、夫の手を借りようにもさすが親子、こちらも物が捨てられないタイプときた。一日も早く退去したい望登子の前に次々と難題が……。「どうしてこんなに溜め込むの!?」切実な叫びに共感必至の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 始めの方はあまり読み進めれなかった。亡くなった姑の文句ばっか言っててちょっと心苦しくて笑。

    姑の多喜が脳梗塞で呆気なく亡くなってしまい、1人団地住まいをしていた3Kの部屋の遺品整理をする。
    しかも4階!遺品整理業者に頼めば早いじゃんと思ったけど高いんだ。

    多喜さんはモノを溜めがちだったけど、それを一つ一つ文句言いながらだけど嫁の望登子が片付けながら、また団地のご近所さんとの話から多喜の生前の様子を思い浮かべて片付けてる姿がほっこりした。
    一方で望登子の母は15年前に病気で亡くなっているが姑とは正反対の性格で生前のうちに身辺整理もしっかりと行っていた。でもそこまで完璧だと少し寂しかったり。母はどんな人だったっけ?と思い出してる望登子の様子は少し寂しそうだった。

    わたしも生きてるうちに生前整理はある程度しておきたい。まだ若いと思ってるから全然する気はないけど笑
    また親にもある程度は生きてるうちに整理はしておいてほしいとも思う。姑にも。
    でも生きてるうちにまだまだ知らない親のことを知りたいなって思うからもっと頻繁に会いに行こうと思った。

  • 今、まさに、実家の片付け問題に直面しているので、他人事とは思えなかった。この本を読み始めて、実家の片付けや、自分の洋服の整理にちょっとだけ着手できた。この本をバイブルにするといいかもしれない。
    実母と姑の真逆の性格が、最後には双方とも良さとして描かれていたので、心が温かくなった。長所は短所。短所は長所なのだ。

  • 読み始めは星3、後半で星4、ラスト数ページで星5になった作品です。

    亡き母の事も思い出しながら読んだので、ラストは涙が勝手にツルツル溢れ出しました。

    物は断捨離できるけど、人との思い出は残したいし、残る。
    大切なのは物ではないのだなと、改めて思いました。

    人はいつか死ぬ、でもどんな人にも生きた証がある、歴史がある。そして、それはちゃんと終わる。

    主人公の実母が手帳に書いた最初の一言は、娘であり親でもある自分にとっても、とても共感できました。

  • 『姑の遺品整理は、迷惑です』
    垣谷美雨(かきやみう)さん

    知り合いの先生がお薦めしてくれた本。

    遺品整理の本について初めて読んだ。
    私の両親はまだまだ健在で、死ぬと思っていない。でも、この本を読んだら、人はいつか死ぬ。
    きっと自分に遺品整理の順番がくるんだろう。

    「人それぞれ」「一長一短」
    みんな考えそれぞれ違うからこそ、
    今のうちに両親と話しておきたい。
    沢山話をして、色んな考え方とか知らなかった本人のエピソードを知りたい。

    【本の背表紙より】
    郊外の団地で一人暮らしをしていた姑が、突然亡くなった。嫁の望登子は業者に頼むと高くつくからと自力で遺品整理を始める。だが、「安物買いの銭失い」の姑を甘くみていた。至る所にぎっしりと詰め込まれた物、物、物。あまりの多さに愕然とし、夫を駆り出すもまるで役に立たない。無駄を溜め込む癖を恨めしく思う望登子だが、徐々に姑の知らなかった顔が見えてきて…。誰もが直面する”人生の後始末”をユーモラスに描く「実家じまい」応援小説。

    【本の帯より】
    切実な叫びに共感必至!「実家じまい」応援小説
    捨てたい嫁、捨てない姑の家を片づけるはめにー
    どうしてこんなにら溜め込むの⁉︎

    重たくて大きい家電製品、でるわでるわの日用品…
    “もったいない”が積み重なって、次世代の悲劇に!
    これを読めばもう怖くない、前向きな「お別れ」ができるはず。

    【本文より】
    ・人生は残り少ない。落ち込んでいる暇はない。どうせみんな死ぬんだ。偉い人も偉くない人も金持ちも貧乏人もみんな死ぬ。その証拠に、夫の両親も実家の両親も死んだ。
    ・めげるな、自分。
     明日も頑張ろう。
    ・人間っていうのは、歳を取ってみないとわからないことが意外なほどたくさんあるね
    ・親になるというのは誰にとっても初めての経験でしょう。だから、うまくやれる方が奇跡だと思わない?
    ・最初から業者に任せてしまう人もいる。中には、現地に一度も足を運ばない人もいると聞いたことがある。そういう人たちは、自分の過去や親との関係に向き合わずに済むのだろうか。自分もそうしていれば、傷つくことも後悔することもなく、精神的に楽だったのかもしれない。
    だけど、自分の心の整理のためには必要なことだったという気もしている。
    ・それなのに、ご近所の人々に助けられるとは、なんという幸運だろう。
    ・姑のお陰で自分まで好かれている。姑同様、嫁まで善人だと思われている。
     それは心地の好いものだった。
     フワフワの暖かい毛布に包まれているような気分だった。
    ・(多喜さんから沙奈江に)他人より自分の気持ちを大事にしろって、口を酸っぱくして言われました
    ・多喜さんが方法を教えてくれたんです。まず、相手にわからないように、そっと深呼吸して、自分の正直な気持ちは何だと自分に問いかけるんです。
    ・もっと我儘に思ったように生きてもらいたかった。たまには迷惑をかけてもらいたかった、姑みたいに、たくさんのエピソードを残してほしかった。それどころか、どういう性格の人だったのか、何を思って暮らしていたのかもわからない。
    ・人それぞれ個性があるということでしょうか。
     どの人も一長一短ということですか?
    ・どうしてもっと母やお姑さんと話しておかなかったのかと思う
    ・親に死なれると、みんなそう思うみたいだよ
    ・でも、仕方がないとも思うよ。親が死んだからこそ、遺された方は優しい気持ちになるんだもの。
    ・なかなか売れないのも困ったものだけど、覚悟を固めるための猶予を与えられてると考えるとありがたいね。
    ・第一子誕生、望登子と名付けた。これで私の人生から孤独という文字が消えた。
    ・お母さんが、どんなことに喜びを感じ、何に怒り、悲しみをどう処理し、どう人生を楽しんだかを、教えてもらいたいです。だってわざと遺してくれたんでしょう?きっとそうよね。
    ・人それぞれだよね。お母さんは、何かにつけて人と比べるのを嫌っていたもの。
    お母さんとお義母さんから、たくさんのことを学ばせてもらいましたよ。
    望登子(もとこ)は幸せ者です。

    〈解説 門賀美央子(もんがみおこ)さん〉
    ・人間関係における「迷惑」って一体何なのだろう。
    ・経験を糧に得る知恵こそが宝
    ・でも、やっぱりこれだけは。
    もし、自分が多喜のような生き方をできない自覚があるなら、遺品整理の目処くらいはきちんと付けておきましよう。後に遺された人のために。そして何より自分のために。

  • 姑の遺品整理に纏わる苦労話かと思ったらそれだけじゃなく、遺品整理をへてその人と向き合うことができるんですね。私の母も終活中で捨てられるものはなるべく捨てて物が増えることをとても嫌っています。ちょっとくらいいいじゃんと思っていたんですが、これを読んで「誰かの持ち物」と「遺品」だと捨てる時の心のハードルの高さが全然違うんだな、と思った。

  • 片付けするところは淡々と短文で。手は動かしつつも、考え事したり文句いったり昔を懐かしんだり、そこはつらつらと。いれかわる文体は、片付け作業そのものです。わかるわかると共感しながら読みました。

    また、もったいないとか誰かにあげようとかリサイクルへとか言うやつに限って、それは誰がやるの?ときくと「めんどくさい」と言いますね。。そんな主人公の夫が、後半、協力的で自分の持ち物も減らすようになったのは大きな収穫だと思います。

    最後のほうで小旅行にでかけ、清々しい場面になっていますが、それは片付けとか断捨離したあとのあの晴れ晴れした気分をよく投影していますね。世の人がみんなそれに気づいたら、ゴミ屋敷とか空家問題はかなり減ると思うんだけどな。…と勝手に思いますが飛躍し過ぎでしょうか…

    それから私論ですが、ものを処分するときは、心こめて「ありがとね」って言いながら処分します。そうしていくと、自然と無駄な買い物や物の無駄な消費が減ります。












  • 本棚の見える所には置きにくいタイトルの本である。
    使える物を捨てることに抵抗があるのはわかるが、高齢になると捨てるのにも労力がいるのか、気持ちの問題か、壊れても捨てない。処分はせずに新しいものを購入して、どんどん物が増えていく。
    他人には見られたくないものは処分しておいた方がいいし、ミニマリストとはいかないまでも、物を増やさない生活は大事。

  • 姑が突然亡くなり遺品整理することとなった嫁。
    狭い部屋に詰め込まれた物の多さに姑を恨めしく思う。
    遺品整理を通して姑や実母の事を思い返すお話。
    人事ではないので考えさせられる。

  • そこまで痛快じゃなかった。でも安定の面白さ

  • 他人の物を捨てるって想像以上に大変な作業だということが分かりました。元気なうちに断捨離をして物を増やさないでおくことが、遺品整理する人にとっては重要なんだと感じる一方で、人間関係やご近所付き合いやその人の性格が持ち物に現れていて面白かった。

    私は持ち物が多いと落ち着かないので、少なめ。
    誰かに遺品整理をしてもらわないといけなくなった時のために、なるべく物は減らしておかないといけませんね。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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