死にたいって誰かに話したかった (双葉文庫 み 31-04)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575526332

作品紹介・あらすじ

あたたかい家庭がほしいと願いながら、恋人どころか友人もできず空回りばかりしている奈月は、生きづらさを抱えて日々暮らしていた。悩みを共有できる人がいないか、「生きづらさを克服しようの会」を勝手に発足し、勧誘チラシを撒く。すると、モテなさすぎて辛いと話す男性から連絡がきて――。どうして私たちは他の人のように「普通」に生きられないのか。生き方に悩む男女が不器用に前進していく。

感想・レビュー・書評

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  • カタルシス的な展開や救いは特になかった。生きづらく、死にたいと思っても、淡々と生きていく。ただ、その思いを同じような誰かと共有することで、少しだけその重荷が軽くなるのかな、と想像しました。問題はそんな同士をどう見つけるか、で、勇気も対人行動力も少ない自分には高いハードルだな、とも感じました。なんとかハードルを小さくする方法を考えてみます。

  • 人生の日常が破綻気味の「生きづらさを克服しようの会」の四人の面々。その中心は、あたたかい家庭がほしいと願う、言動が周囲と噛み合わない奈月。自分のビジュアルに悲観している恋愛渇望男子。破綻気味の夫婦間を不倫で壊滅させそうな元医師。裕福で完璧な家庭を目指して、完成目前で自分の行為から根底から崩した女性・茜。
    今までの生きづらさを共有しようと、それぞれの気持ちと経験を語り始める。
    彼女らは、死にたいとは、言っていない。生きたいとも思っていないかもしれないけれど。共感したり、助け合っってみたり、生きていく方法を少しずつ見つけていく。
    誇張されて書かれているけれど、誰しも思い当たるような生きづらさ。茜の「幸せって堂々と宣言できなければ、価値がない。」という気持ちは、多少理解できる。堂々と言えなければ、幸せな真似さえしてしまう。それを一生続けるのは、キツイだろうなと思う。自分の理想に溺れる感じ。

  • タイトルからして、重めの話かなと思いつつも、気になり手にした本。
    不器用で空回りし周囲に疎まれ続け孤独を感じる奈月。恋愛に価値を置きすぎて不器用な行いでやはり空回りし続ける雄太。自身の不倫で家庭崩壊しかけていた元医師の薫。一見誰もが羨む生活を手に入れ他人を見下すことで安心感を得てきた茜。このバラバラな4人が「生きづら会」のメンバー。それぞれの主人公に劇的な状況の変化が訪れるわけではなく、最後まで淡々と話が進んでいくところに逆にリアルさを感じた。人生はままならない。

    奈月については自己肯定感が低すぎて友達になりたくないタイプ、雄太は恋愛=幸せという図式を盲信しバランスがおかしい。薫と茜はタイプは異なるがどこか歪んでしまっている。そんな人たちが月2回集まり話をして行くうちに、お互いがお互いを自然に思いやれるような関係性が出来上がっていた。

    生きづらさは結局、自分の作り出す「こうあるべき」という価値観に捉われ、そうなりたいのになれない自分を責めてしまっている状況かなと思う。こうであるべき、と思うのは、やはり他人の目を気にしているから。ただ、人は、自分が思うほど他人を気にしている余裕はない。それがわかれば多少の生きづらさは解消されそうだが、特に心にゆとりのない時や状況が面白くない時などは、なかなか難しい。

    人と人が関わっている限り、生きづらさを全く感じない人はいないのではないか。少し前に読んだ本で「人生の主役は自分」という言葉が心に残っている。他人を軸にすると辛いだけだが、少しでも好きなこと、美味しいもので自分を労りつつ、日々を楽しく過ごしていくことがやはり大事かなと思った。

  • 生きづらさって理由はともあれ、ハイスペックな人もセレブだって、抱えているのかもしれない。
    ナニをやってもうまくいかない奈月。生きづらさを克服しようの会を作る。
    会は1人が2人、3人、4人と増えていく。
    ピアカウンセリングの中で、みんな何かを取り戻していく。
    仲間っていいね!

    • yururi4525さん
      そうですね、行きづらさって、結構、色々な方が持っているものかもしれませんね。ほんと、仲間がいるって、素敵だなぁ・・・と、私も想いました。
      そうですね、行きづらさって、結構、色々な方が持っているものかもしれませんね。ほんと、仲間がいるって、素敵だなぁ・・・と、私も想いました。
      2023/06/12
  • 人生詰んだ男女4人。「死にたい」から抜け出せたのは、「生きづらさ克服しようの会」の結成だった 『死にたいって誰かに話したかった』南綾子|ブックレビュー|COLORFUL
    https://colorful.futabanet.jp/articles/-/1908

    死にたいって誰かに話したかった|COLORFUL
    https://colorful.futabanet.jp/list/books/639bdbe4b5762203f0000001

    死にたいって誰かに話したかった - 南綾子 (文庫) | 双葉社 公式
    https://www.futabasha.co.jp/book/97845755263320000000

  • 久しぶりに、まるで導かれたように目に留まり、手に取った本だった。娯楽として読むにしてはあまりに重い。しかし、確実に誰かの心を救う物語だ。

    主人公奈月は、病院事務で働く37歳。人に合わせようし、空回りし、日々考えている。そんな奈月が始めたのが、生きづらさを克服しようの会。通称生きづら会。自分にコンプレックスを持つ雄太を始め、一人一人、仲間が増えていく。

    生きづら会は、傾聴の場。テーマにそって、各々が話したいことを話す。話していく中で、自分自身の核に気が付き、向き合っていく登場人物達。
    向き合えたからといって、途端に世界が変わるかけではない。それでも…
    向き合えた方が、きっと自分自身にとってあっている道へ進んでいけるチャンスは増えるのかな、と思う。

    今、SNSが主流で、人と繋がる機会は増えていると思う。増えているけど、心からのコミュニケーションって、その中でどれだけできているんだろう。どれだけ、素の自分に向き合えているだろう。

    登場人物達が徐々に自分自身に向き合っていく過程に、私は救われました。途中、何度も本を閉じてしまったけれど、それでもあっという間に読み切ってしまいました。

  • 直球なタイトル、ずっと気になっていた本。
    生きづらさを共有できる存在を求めてできた「生きづらさを克服しようの会」。
    認識していたもの+話をしていく中で明らかになっていく生き辛さ。

    周りを気にして空回ったり、卑屈になって人を遠ざけたり。自分に重なる部分もあってチクリと痛む。
    否定も肯定もなく話を聞いてもらうことで、自分と向き合っていく4人。前進したと思ったら、また打ちのめされ絶望しかかっても、隣に人がいてくれるだけで救われる。
    吐き出すのにはものすごく勇気は必要だが、こんな会に出会えたら幸運だなと思った。

  • 私にも"ひょん"は訪れますかね

  • みんな良かれと思ったり必死に頑張るのに上手くいかずに空回りしてしまう人達ばかりが集まり話す会が開かれます。
    読んでいると登場人物の恥ずかしかったり、辛かっただろうなと思う過去、現在の出来事に心がざらつき冷たくなります。
    解決しません。
    しないまま皆がまた新しい道を歩み始めます。
    ただ、話す相手と生きづらさは無くならい抱えながら進んでいく事を選びます。
    聞いてくれる相手、受け入れる覚悟、したいと思える事が見つかればそれでも明日もなんとかやっていこうと思えるのかもしれません。

  • 面白かった。読んでよかった。

    私の暮らしは恵まれてる方だと思っている。なのに
    何年も何年もずーっと死にたいと思っていた。とはいえ生活にはそれほど支障がないから普通に過ごしていた。

    でも色々あってカウンセリングを受けることになって、この本と出会ったのは、数回カウンセリングに行ってみて、自由に話していいと言われたけど既に話すことないな、ヒマだな、と思い始めたところだった。

    この本のタイトルを見たとき、これだ、と思った。

    自分でも気づいていなかったけど、心の中で抱え過ぎていたトラウマや恥、後悔を軽くしてもらえた気がする。自由に話す、の意味が少し分かった。
    話の流れも、あ~よかったよかった、ってなってからハラハラさせられるから最後まで楽しめた。激重の話、からの「ふくろはぎもげる!」は笑った。おもしろかった。

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