ミステリな食卓 美味しい謎解きアンソロジー (双葉文庫 み 36-01)
- 双葉社 (2023年6月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575659085
作品紹介・あらすじ
極上の謎解きに加え、趣向を凝らした料理の描写も楽しむことが出来る、人気作家の短編作品を収めたミステリアンソロジー。ふと空いた時間のおともや、頑張った一日のごほうびに、読んで美味しい1冊はいかがでしょう? 編者 山前譲/監修 日本推理作家協会
碧野圭/近藤史恵/斎藤千輪/太田忠司/新津きよみ/西村健
感想・レビュー・書評
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碧野圭、近藤史恵、斎藤千輪、太田忠司、新津きよみ、西村健『ミステリな食卓 美味しい謎解きアンソロジー』双葉文庫。
食の場を舞台にしたミステリー短編6編収録のアンソロジー。日本推理作家協会の協賛のもと、推理小説研究家の山前譲が選定した作品を編集。
西村健の『バスを待つ男』が絶品。
近藤史恵『苺のスープ』。冒頭から登場する37歳独身会社員の奈良瑛子が主人公かと思っていたら違った。そして、タイトルの『苺のスープ』とミステリーがどう繋がるのか解らなかったのだが、終盤の怒涛の展開に納得。主人公は『カフェ・ルーズ』の店主、葛井円で彼女が探偵役だったのだ。『ときどき旅に出るカフェ』に収録の1編。★★★★
新津きよみ『雲の上の人』。長野県上田市の蕎麦屋『名月庵』の双子姉妹、亜美と裕美の物語。ミステリー色は薄く、どちらかと言えば家族の物語という感じだ。双子姉妹ならではのエピソードが描かれる。★★★
碧野圭『はちみつはささやく』。確かにミステリー。人の心の中を解き明かすのは難しい。状況証拠による推論という謎解きは仕方無いか。『菜の花食堂』のオーナーの靖子先生が定休日に月2回開催する料理教室を舞台にしたライトミステリー。料理教室に熱心に通っていた24歳の和泉香奈という生徒が長期欠席する。その後、香奈は料理教室を訪れ、教室を辞めると話す。彼氏から彼女が作る料理を理由に別れを告げられたと言うのだ。★★★★
西村健『バスを待つ男』。既読作。傑作である。定年を迎え、特に趣味も無く日常を過ごしていた70歳になる元刑事が見付けたのはシルバーパスを利用しての都バスの小さな旅。旅先で出会う様々な日常のミステリー。しかし、謎を解くのは元刑事の妻というのだから何とも面白い設定だ。ある日、見掛けたバス停のベンチに腰を下ろす白髪の男。いつも同じ時間に同じバス停でベンチに腰を下ろす男は何故かバスには乗らないのだ。★★★★★
太田忠司『ミステリなふたり』。在宅のイラストレーターで専業主夫の新太郎と肉食系刑事の景子の夫婦が軽妙な会話の中で、未解決事件の謎を解く。作中に描かれる肉じゃがのレシピが事件解決のヒントとなる。★★★★
斎藤千輪『京都の賀茂ナス』。初読み作家。このアンソロジーの中では一番美味しそうな料理が登場する。元ミュージシャンで今はサンドイッチカフェを経営する鈴音が足を運ぶイタリアンレストラン。そのレストランを舞台に描かれる鈴音のかつての仲間だったリョウに纏わるミステリー。女同士の男を巡る泥々のドラマと美味しそうな料理は似合わない。★★★
本体価格720円
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6人の作家さんたちによる美味しい謎解きアンソロジー。
作中に出て来る料理の描写がどれもすごく美味しそうで、食べてみたいものばかりでした。
『苺のスープ』と『京都の加茂ナス』が特に印象深かったです。
読むとほっこりした気分になれました。 -
あ、カフェ・ルーズが出てきた!と思ったら、大好きな近藤先生の『ときどき旅に出るカフェ』に収録の1編だった。ということは・・菜の花食堂も。
知っているお話もあったけれど、アンソロジーと相性のあまり良くない私にしては満足いく本だった。
ミステリなふたりはちょっとドキドキしたが、バスを待つ男はよかった。加茂ナスも代官山の街も好き。 -
近藤文恵さんのものは既読。
ミステリーというより謎解きと言った方がしっくりくる。
美味しそうな食事×ミステリーで、楽しく読めた。
蒼野圭さんの「はちみつはささやく」が一番好きだった。
「菜の花食堂のささやかな事件簿」シリーズも読んでみよう。 -
小説推理2016年2月号近藤史恵:苺のスープ近藤史恵、ランティエ2018年11月号新津きよみ:雲の上の人、2016年2月だいわ文庫菜の花食堂のささやかな事件簿碧野圭:はちみつはささやく、ジェイ・ノベル2017年1月号西村健バスを待つ男、週刊小説1997年太田忠司:ミステリなふたり、2019年11月ハルキ文庫トラットリア代官山斎藤千輪:京都の加茂ナス、の5つの短編を2023年6月双葉文庫から刊行。近藤さん、新津さん、碧野さん、西村さんは既読。が、面白いものはやはり面白い。西村さん、斎藤さんは本編も読みたくなってきた。
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近藤史恵さんの作品が好きで、食繋がりいいなと思って手に取った本。事件!というよりも日常の一幕という感じで力が入らず読めた。
近藤史恵さんの『苺のスープ』(既読だけどやっぱり好き)、碧野圭さんの『はちみつはささやく』の二作品が印象的。 -
シリーズ物の抜粋が多かったかな
面白かったから
シリーズで読みたいな、と
思った