- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575670431
作品紹介・あらすじ
根津権現門前町にある裏店、通称『ごんげん長屋』の住人で、樽ころをしている国松の女房のおたかが倒れてしまった。身重のおたかの身を案じた長屋の女房たちが交代で世話を焼いたことで、おたかはなんとか快方に向かうのだが、住人の厚意に恐縮しっぱなしの亭主の国松は、お勝に意外な決意を打ち明けてくる――。くすりと笑えてほろりと泣ける、これぞ人情物の決定版。時代劇の超大物脚本家が贈る、感涙必至のシリーズ第二弾!
感想・レビュー・書評
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心がなごみ、笑顔が出たり、驚いたりと飽きることがありません。
ゆく年に ― ごんげん長屋つれづれ帖シリーズの2作目
2021.03発行。字の大きさは…中。
天竺浪人、悋気の蟲、雪の首ふり坂、ゆく年に、短編4話。
質舗の番頭を務め、女手ひとつで3人の子供を育てるお勝の奮闘物語です。
文政元年(1818年)、江戸は根津権現社の近くの「ごんげん長屋」に住まいして、お琴12才、幸助10才、お妙7才の3人の孤児を引き取り、女手ひとつで育てるお勝38才は、女ながら質舗・岩木屋の番頭を務めています。そして20年前に旗本家の当主の手がつき、今年19才になる男の子を生むと、屋敷を身一つで追い出された悲しい過去があります。
【天竺浪人】
同じ長屋の手習い師匠の浪人・沢木栄五郎は、妻の弟で小倉藩小笠原家の杉原三十郎が公金53両を失った事を知り、その建て替えのために公金に手を付けてしまいました。それが発覚して、藩を逐電しましたが。その事情を知った義弟・杉原三十郎が訪ねて来て涙ながらに詫びて行きます。
――― 義父が死ぬときに三十郎に、53両の件を話しました。それまで公金横領で逐電したと蔑んでいましたが、自身の公金紛失のためにと知り。三十郎も栄五郎も納得する始末をお勝が仲介します。
【悋気の蟲】
いなせな鳶の岩造と女房・お富が夫婦喧嘩を始めた。岩造の行李(こうり)から女の名前の入った手ぬぐいや扇子が出て来た。お富は、女を囲っているとわめくが。岩造は、忘れていたが、数年前に火事場で助けた料理屋「文弥」の娘・鈴のお披露目に配ったものだった。
――― 当時13才の鈴が、嫁に行くので父と一緒に挨拶にきて事情が分かる。止めに入ったお勝は、お富の悋気に手を焼いていた。当時の江戸では役者と鳶は、若い女の人に人気があった。
【雪の首ふり坂】
錺職人の親方・芳次郎の娘・お波は、貸本屋の儀助に流行病に罹っていると噂を流され、奉公先を追い出され、夫婦約束をしていた者にそっぽを向かれ首を括って死んだ。そして妻・お貞もまもなく亡くなります。芳次郎は、雪が降るなか仇を討とうと寺の前で待っていて凍死します。
――― お勝は、芳次郎が亡くなった日に儀助が賭場で殺されたのを知り複雑な思いを抱きます。
【ゆく年に】
お勝の住む「ごんげん長屋」も師走(12月)の忙しさがおとずれる。国松一家が、ここを出て八丁堀へ引っ越していく。囲われていた旦那と別れたお志麻が、長屋の貸本屋・与之吉と出合茶屋から出て来るなど人の移ろいが。お勝の奉公先の質舗・岩木屋でも年の瀬を前に餅搗き道具の貸出が始まり、大晦日払いために質草を入れる動きがとあわただしくなります。
――― 国松のかみさん・おたかが病気した時は、長屋の大家が月々店賃から積み立てている「店子入用金」を使って面倒をみます。店子入用金は、毎年の井戸浚い、餅搗きの費用、修繕費にも回されますが、店子に万一のことがあった時にも使われます。
【読後】
この物語は、文政元年(1818年)11月20日から、同年の大晦日までを書いています。こまかく江戸模様がよく書かれています。読んでいて、心がなごみ、笑顔が出たり、驚いたりと飽きることがありません。今作の中で沢木栄五郎の潔さがでた「天竺浪人」が特に良かったです。
269ページ
2021.08.01~03の3日間で読了
※シリーズの感想と読了日
かみなりお勝 ― ごんげん長屋つれづれ帖シリーズの1作目 2021.04.29読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4575670235#詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
薄いのであっという間に読み終わる。
今作は同じ長屋の住人を中心で、お勝の得意な小太刀は出てこなくて小粒な内容。
寺子屋の師匠の過去の話しや妾と本妻との騒動、悋気を起こした夫婦、妊娠中毒気味の住人を皆んなで助けたことで負担に感じた夫婦が長屋を出る話し。
お勝や住人達があいだに入り解決して行く。こういった長屋の日常が淡々と過ぎて行くのが描かれている。 -
内容(ブックデータベースより)
根津権現門前町にある裏店、通称『ごんげん長屋』の住人で、樽ころをしている国松の女房のおたかが倒れてしまった。
身重のおたかの身を案じた長屋の女房たちが交代で世話を焼いたことで、おたかはなんとか快方に向かうのだが、
住人の厚意に恐縮しっぱなしの亭主の国松は、お勝に意外な決意を打ち明けてくる――。
くすりと笑えてほろりと泣ける、これぞ人情物の決定版。
時代劇の超大物脚本家が贈る、感涙必至のシリーズ第二弾!
令和4年4月20日~21日 -
「うるさいよ、隣」
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202103/シリーズ第2弾。今回も長屋ならではの人情・助け合いがあたたかく、面白く読めた。