バイ貝 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575714586

感想・レビュー・書評

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  • 日々降り積もる鬱を昇華する為に奮闘する主人公。
    今度こそ「こます」と決意した行動が更なる鬱を生む。
    この負の連鎖に目を覆いたくなる。
    紆余曲折の果てに辿り着いた境地は
    「静かに静かに鬱が降り積もっていた。私はそれをもはや美しいと思うようになっていた。」
    その一文に救われた。
    小さな愉悦を感じ減鬱しようとする行為。主人公は大変にアクティブだ。
    負の連鎖からの脱却のきっかけは、最初から身近に有った事。
    人生ってそんなもんだよね。笑

  •  カネを稼ぐのは辛く苦しく、カネを遣うのは楽しくて気色がよい。カネを稼ぐために蓄積した鬱を霧消するために、主人公はホームセンターで鎌を買い、中華鍋を買い、はたまた宝くじを買い、結果なぜか鬱が溜まった。
     他に鬱を消す方法がないかと趣味を持とうとする。カメラにのめり込んでからは、鬱の計算もしなくなるのだが、最後に行き着くのは「カメラを使うたびに鬱が溜まっていく」という事実であった。最後の降り積もる鬱は最高に美しい!!

     資本主義の世界では、何でもかんでも価値の尺度は金額で換算される。お金をかけさえすれば楽しいことが待っているのか。お金さえあれば幸せなのか。そういうものから解放されたくて東京を去った私にとって、これはなかなかに考えさせられる小説でした。何はともあれ、この本を読むことは非常に愉快な経験で、私の鬱は随分霧消しました!

  • あとがきにあるように、最後の数行にやられました。なんだ、この読後の爽快感は…!


    資本主義経済に疲弊して、なんだか金銭価値だけで物事が動くことに違和感と少々の吐き気を覚えていた頃、この本に出会いました。

    読みすすめてみると、町田康臭炸裂の面白日記な感じで、パンチの効いたリズミカルな日本語にただただ興ずることができました。しかし、意外なクライマックスに心が打ち震えました…。


    この世のあらゆるものは、実は「一般的等価形態」だけで量れるものではないのだ、と筆者が気づくのとほぼ同時に、その概念がわたしにもストンと腑に落ちる感覚がありました。


    あとがきが素晴らしく、その部分だけでも二度拝読いたしました。

  • いかに満足のいく買い物をするかを巡る葛藤だけで一冊小説書いちゃいました、という感じ。ぱーっと散財して憂さ晴らししたいとか、コスパ的にはどっちだとか、誰しも経験するあるあるばかりでさくっと読めた。

  • リフォームの話だと思って読んだ。違った。

  • この本を読んで素敵な買い物ができました。
    今までなら、2700円で使い回しが効きそうな靴下を買っていましたが、
    4000円の派手な柄の靴下を買ってみました。
    するとファッションの幅が広がってとても楽しくなったのです。

  • 自身の鬱を晴らすために、物を買い使いこなすことを前提にするが、本来の目的とは逆の効果を生み、さらに物欲を煽る。不思議な物語の転がり方である。口語体での面白味は薄れているが独特の言葉使いは健在である。

  • 面白すぎ

  • 解説が素晴らしい

  • 珍妙な峠を先に読んじゃったのでこっちも読みました。でもそんなに繋がってるわけではなかった。こっちはエッセイ調で文体もいつもの町田康だから町田康的なおっさんがちらつくときがあり、何で小説の主人公=作者、みたいなテクがあるんだろうか。犬飼ってるし。というより、文体が特徴的だからこういう小説家が主人公の小説はぜんぶこのおっさん、てなる。そうなるように書いてるんだろうけど。最後の章とかいったいどんな顔で文章作ってたんだろうかと考えてしまう。
    話の中身はねめちゃくちゃ面白かったです。ほんと買い物ってうまくできんのよねーーーーーーー。

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著者プロフィール

町田 康(まちだ・こう)
一九六二年大阪府生まれ。作家。九六年、初小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。二〇〇〇年「きれぎれ」で芥川賞、〇五年『告白』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。

「2022年 『男の愛 たびだちの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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