- Amazon.co.jp ・マンガ (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575855159
作品紹介・あらすじ
エリオットは、盗難・破壊されたレールを施設及び保線する車両「エストリャル・フガス号」を取り仕切る男・ケニティの不正について調査することに。はみだし者たちに紛れ作業員として潜入したエリオットが目の当たりにしたのは、あまりに過酷な作業環境と、その現場をギリギリのところで捌くケニティの姿だった……。大陸を渡す唯一の遠距離移動手段である“鉄道”と、そこに関わる男達の壮絶なアクションドラマを、『銃座のウルナ』の伊図透が渾身の筆致で描き出す!
感想・レビュー・書評
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タイトルが印象的な伊図透のハードボイルド作品。
嘱託調査員エリオット・オマシが鉄道事業に関する不正、妨害の調査をするというのが大まかなストーリー。
第一部はサスペンスタッチ。
第二部は二台の列車による追撃がメインとなるアクションタッチの二部構成で全六話を収録。
与えられた指令を淡々と遂行していくエリオット。(作中、嘱託調査員としてのエリオットの生き方を例えるかの様に線路作業工程を示す「枕木、鉄軌、犬釘」の言葉が何度も出て来るのが印象的である)
だが組織と自分の仕事に疑問を持ち、ある決断を下す。
前作「銃座のウルナ」のウルナもそうだったが、悩まない人間なんていない。
何が(どちらが)正しくて間違いなのか?
その答えを出すのは自分自身でしかない。
ウルナもエリオットも自分自身で答えを出す。
ウルナはその答えによって未来への希望を手にする。
だが、エリオットは嘱託調査員として生きるよりも人間(ひと)である事を選び、自身の未来を閉ざしてしまう。
ラスト、エリオットの行動に応える様に線路作業員達はある事をする。
それは情でも憐れみからでもない。
彼を仲間と認め、人間エリオット・オマシを証明する為だったのだ。(と思いたい)
男泣き必至の名シーンである。(当然と言うか例によって自分は泣いた)
続編は無理だが伊図透には又このようなハードボイルドな作品を描いてくれる事を望んで止まない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アーネストボーグナインそっくりだなと思っていたら2時間映画を意識しているかのようなラストに大興奮。この人『北国の帝王』好きすぎでは。
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犬釘とは鉄軌(鉄道レール)を枕木に留める釘のこと。
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2022/9/30購入
2022/10/10読了 -
4.5
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「銃座のウルナ」の伊図透の新作。
架空の大陸を舞台に、鉄道の敷設・保線の作業列車「エストリャル・フガス号」とその作業員の話。
「銃座のウルナ」もそうだけど、伊図透は世界設定が抜群に巧い。広大な大陸を繋ぐ唯一の長距離移動手段であるため、鉄道の維持は人命よりも重く、またその管理運営を担う鉄道管理局が絶大な権力を持つ世界。鉄軌目当ての盗賊が跋扈し、破壊された線路を修復する巨大なディーゼル駆動の機関車。面白くない訳がない。
是非ともシリーズ化してもらいたい傑作。