魚と水 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社
4.33
  • (6)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 45
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575858433

作品紹介・あらすじ

アキラとコージは一緒にいるとなんだか落ち着く、馬が合う友達。今日もアキラはなんだかんだでコージの家へ。「お腹すいてるだろ?」コージが作ってアキラが食う!コロナ禍の男同士の食卓。ゲイ・エロティック・アートの巨匠・田亀源五郎による『弟の夫』『僕らの色彩』に続く一般作品第3弾はグルメマンガ!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • LGBTへの偏見、差別、理解、友情、家族愛を描いた「弟の夫」(NHKでドラマ化もされた)、「僕たちの色彩」に続く田亀源五郎の一般誌(web)連載三作目。
    今回はグルメ漫画。

    友人の結婚式で知り合ったアキラとコージ。
    今ではコージの家で飯を喰い泊まっていく程の気が置けない友人関係の二人だが、いつしか友情とは違う感情を抱くようになっていく。と、いうのが大まかなストーリー。

    出てくる料理は
    第1話
    キャベツとしらすの炊き込みご飯、キャベツとツナ缶の煮物、梅と塩昆布のキャベツもみ、つくりおき惣菜、のらぼう菜のみそ汁。
    第2話
    ムサカ、ナス揚げ浸し、麻婆ナス、ナスとピーマンのみそ炒め、焼きナス、ナスの冷製ポタージュ。
    第3話
    シンガポールチキンライス、トマトと玉ねぎのサンラータン風スープ。
    第4話
    ジャガイモとチーズのガレット、グリーンサラダ、カップスープ
    コロッケ、オレンジとレーズン入りキャロット・ラペ、プチトマトとカリフラワーのスープ。
    第5話
    ラタトゥイユ、ツナ缶とミックスビーンズのグラタン、バケット、ベーコンとタマゴのスープ。
    第6話
    おにぎり(梅と昆布とおかか)、だし巻き玉子、唐揚げ。
    第7話
    シーフード ガンボ(オクラ)スープ、オクラの肉巻き、オクラの唐揚げ、オクラとミョウガの塩昆布あえ。

    個人的に気になった料理は、
    まずキャベツとしらすの炊き込みご飯。
    キャベツで炊き込みご飯っての意外。
    しらすを使うって事は和風の味つけなのだろう。
    もし自分が作るとするなら、味つけはコンソメ顆粒、塩、胡椒。しらすの代わりにベーコンを使い、炊き上がったらバターを入れて洋風に作ってみたい。

    次はナスとピーマンのみそ炒め。
    ナスのみそ汁、焼きナス、なす漬け、父がナス好きで母がよく作ってくれた。
    たまに、大葉の千切り、茗荷の千切り、牛もしくは豚バラ入れたりピーマンの代わりにししとうを使ったりしてアレンジしていた。
    正直、子供の頃はそれほど好きではなかったが大人になってから好きになった一品。
    これ一品で白飯どんぶりで二杯はいける。

    三つ目はオレンジとレーズン入りキャロットラペ。
    去年 知人から貰って食べたのだが、いっぺんで気に入った。
    以来、惣菜店で時々買っている(閉店近くの割引を狙って)。←作れよ、自分。
    サラダなのでご飯のおかずにするには おかず力が足りないが、箸休めやカレーの付け合わせ等には充分にその力を発揮する。
    他に何か食べ方はないか?
    と、考えてみたら..........
    カップ焼きそばにのせて食べると更に美味いという事を発見した。
    カップ焼きそばは何でもいい。(自分は大体ごつ盛りを使う)
    普通に作って上にのせて食べるだけ。
    焼きそばのソース味とラペの甘みがマッチして、人参のシャキシャキ感、レーズンとオレンジがいいアクセントになっている。
    もう、キャロットラペなしでカップ焼きそばは食べられない!!
    しかし、カップ焼きそばを食べる度にキャロットラペを買うというのも、どうかと思うので今度は自分で作ってみようかと思う。
    後、まだ試してはいないが冷し中華にのせてもいいかも。
    って、またしても本とは関係ない事をダラダラと書いてしまった。
    という事で.........

    いつもの様に、閑話休題。

    巷では田亀版「きのう何食べた?」と言われているが、どちらかと言うと「作りたい女と食べたい女に」に近い気がする。(こちらは男だが)

    それは兎も角 残念な点が幾つかある

    先ず、グルメ漫画なのに調理シーンがほとんどなく料理のレシピも載っていない。
    これって結構不親切。
    自分はキャベツの炊き込みご飯なんて本書を読むまでに知らなかったのでどうやって作るのが気になった(結局ネットで調べたけど)。
    グルメ漫画なら調理シーンとレシピはしっかり描いてほしかった。

    次に所謂「サービスカット」が多い。
    自然な流れで描かれてはいるが、そこまでする必要性ってあるのか?と、疑問に感じてしまう。
    それを入れる分、調理シーンをしっかり描くべきなのではないかと思うのだが。

    そして、ラストの展開。
    友人として付き合ってきたアキラとコージだが、最終回では まさかの展開に。
    読んでいたこちらは驚くしかない。
    作中、お互いが「気になる」描写はあるが 実は二人とも「ゲイ」だったという描写は全く無い。
    異性同士なら兎も角、同性同士で友情が愛情に変わり同性愛者になるなんて事があるのだろうか?(「ゲイ」としての意識も無いのに)
    そして、ラストのアキラの台詞が露骨すぎるのも残念。

    そもそも、ゲイ漫画家だから必ずゲイ要素を入れなければいけないならないのだろうか?
    ちゃんと「物語」を描ける実力があるのだから、そろそろ作者にはゲイ要素の無い作品を描いてもいいのではないだろうか?
    個人的には人情コメディなんかを描いてもらいたいのだが。

    全7話という短さではじっくりと描く事も出来なかった事もあるだろうけど名作とも言える「弟の夫」を描いた田亀源五郎の作品としてはイマイチな出来だった。(グルメ漫画という事で期待した自分としては)

    • 本ぶらさん
      >キャベツで炊き込みご飯っての意外
      確かに。
      キャベツを炊いたら、ペニャペニャで全然存在感がない気がするんだけど、意外とキャベツの風味が...
      >キャベツで炊き込みご飯っての意外
      確かに。
      キャベツを炊いたら、ペニャペニャで全然存在感がない気がするんだけど、意外とキャベツの風味が残るのかな?
      シラスは生臭くなりそうで、やる勇気が持てない(^^ゞ

      ていうか、ガンボにシンガポールチキンライスって、この手の漫画もあの手この手でくるんだなーって感心しちゃいました。

      >オレンジとレーズン入りキャロットラペ
      全然想像が出来ない。
      ていうか、キャロットラペがそもそもわからない(爆)

      >所謂「サービスカット」が多い
      それは、ゲイ的な「サービスカット」ということですか?
      それって、サービスと言うんだろうか?
      うーん…w
      2023/11/21
    • darkavengersさん
      本ぶらさん

      サービスカットは主人公達の入浴、着替えシーン程度の物です。
      一部ではそれをサービスカットと言うようです。
      本ぶらさん

      サービスカットは主人公達の入浴、着替えシーン程度の物です。
      一部ではそれをサービスカットと言うようです。
      2023/11/22
  • ゲイ・エロティック・アーティスト田亀源五郎による一般誌連載作品。ゆる目のグルメ漫画であり、友人関係の男ふたりが恋人になるまでの恋愛漫画でもある。作中はコロナ禍の世界であり、またウクライナ侵攻にも言及がある。

    同性の主人公たちがセクシュアリティの葛藤を感じさせないまま、穏やかにロマンスを楽しむという描写は昔からひとつの様式として存在するけれど、線が細い美形というわけでも美少年というわけでもない主人公たちで語り直されることに、改めて新鮮さも感じる。

  • 田亀源五郎版「きのう何食べた?」
    恋人以前の二人がコロナ下の世間で食を通じて互い惹かれていく姿を描いた連作短編。
    田亀源五郎の一般紙向けの作品というと啓蒙色が強い印象だけど、本作は主役の2人がおっさんということを除けば、お話的にはほとんど少女漫画のよう。というかBL漫画か。
    毎回入るセクシーショットはご愛敬。

  • 本編はもちろん
    巻末の出会い編と
    作者あとがきがよかった
    なるほどキャラが生きているなぁ と

    途中はいってくるエロに関係ない
    シャワーシーンや
    お着替えシーンはサービスシーンなんかな?
    と思って読んだ

    特に物語的には事件もなく
    でもコロナ禍だからこそ感じる
    日常の大切さ
    お互いの大事さ
    こんなパートナーがいたらいいなあ

  • すごく好き。全部あたたかい話。

    2話:「ムサカ食べる前のゲームのカットインみたいなコージ」が好き。

    3話:自分は「この映画苦手なんだね。それでもあなたと一緒に見たい」という言葉、もし言われたら嫌すぎる(2時間拘束は嫌)。なので、それでも一緒に見るって、すごい絆だなぁと思った。

    4話:うれしすぎたのかマスクを忘れてしまいそうになる場面が好き。

    6話:アキラがパクパク食べるからそのために冷凍からあげを常備するようになったのかな、と一瞬思ってしまった。でも「コロッケ作るの面倒」って感じてる回があるので単純に自分が疲れた時のためかもしれない。

  • 田亀源五郎版「きのう何食べた?」。よしながふみに負けていないグルメ漫画。SMとかXXXXのない田亀先生もちゃんと面白い。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

ゲイ・エロティック・アーティスト。
1964年生まれ。多摩美術大学卒業後、アート・ディレクターをしつつ、1986年よりゲイ雑誌にマンガ、イラストレーション、小説等を発表。
1994年から専業作家となり、ゲイ雑誌『G-men』(ジープロジェクト)の企画・創刊にも協力。
同時に、日本の過去のゲイ・エロティック・アートの研究、およびその再評価活動を開始。
また、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツなどのゲイ・メディアでも活動開始。
2006年『G-men』企画より離脱。
2015年、『弟の夫』で第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。
2022年、フランスPrix Sade賞(サド賞)

●マンガ
『嬲り者』(ビープロダクト)
『柔術教師』(ピープロダクト)
『獲物』(ジープロジェクト)
『銀の華(上・中・下巻)』(ジープロジェクト)
『PRIDE(上・中・下巻)』(ジープロジェクト発行、古川書房発売)
『田亀源五郎短編集 天守に棲む鬼/軍次』(ジープロジェクト発行、古川書房発売)
『田亀源五郎[禁断]作品集』(ポット出版)
『ウィルトゥース』(オークラ出版)
『君よ知るや南の獄(上・下巻)』(ポット出版)
『外道の家(上・中・下巻)』(テラ出版発行、技術と人間発売)
『髭と肉体』(オークラ出版)
『童地獄・父子地獄』(ポット出版)
『田舎医者/ポチ』(ポット出版)
『筋肉奇譚』(オークス・コミックス)
『銀の華 復刻版(上・中・下巻)』(ポット出版)
『冬の番屋/長持の中』(ポット出版)
『エンドレス・ゲーム』(ポット出版)
『奴隷調教合宿』(ポット出版プラス)
『嬲り者〈復元完全版〉』(ポット出版プラス)
『弟の夫(1〜4巻)』(双葉社)
『僕らの色彩(1〜2巻)』(双葉社)
「GUNJI」(H&O Éditions/フランス)
「ARENA」(H&O Éditions/フランス)
「Goku - L’île Aux Prisonniers (3 volumes)」(H&O Éditions/フランス)
「Racconti Estremi」(Black Velvet/イタリア)
「LA CASA DE LOS HEREJES 3 volumes」(Ediciones La Cúpla/スペイン)
「VIRTUS」(H&O Éditions/フランス)
「VIRTUS」(Ren Books/イタリア)
「The Passion of Gengoroh Tagame」(PictureBox/アメリカ)
「Endless Game」(Bruno Gmünder/ドイツ)
「Gunji」(Bruno Gmünder/ドイツ)
「L’inverno del pescatore」(Ren Books/イタリア)
「Fisherman’s Lodge」(Bruno Gmünder/ドイツ)
「Cretian Cow」(Massive/アメリカ)
「The Contracts of the Fall」(Bruno Gmünder/ドイツ)
「Passion of Gengoroh Tagame: Master of Gay Erotic Manga (expanded edition)」(Bruno Gmünder/ドイツ)
「아우의 남편」(Imageframe 길찾기/韓国)
「Le mari de mon frère」(Akata/フランス)
弟之夫 (臉譜出版/台湾)
Der Mann meines Bruders (Carlsen/ドイツ)
My Brother’s Husband ด้วยสายใยรัก (Dexpress/タイ)
O Marido do meu Irmão (Panini Brazil/ブラジル)
Chồng Của Em Tôi (Sky Books/ヴェトナム)
El marido de mi hermano (Panini Mexico/メキシコ)
El marido de mi hermano (Panini España/スペイン)

●小説
電子書籍Kindle版『デカとヤクザとニンジンと 田亀源五郎小説作品集』(Bear’s Cave)
電子書籍Kindle版『田亀源五郎小説作品集SINGLE 工事現場の夜』(Bear’s Cave)

●評論
『ゲイ・カルチャーの未来へ』(Pヴァイン)

●画集
『日本のゲイ・エロティック・アートvol.1 ゲイ雑誌創生期の作家たち』(ポット出版)
『日本のゲイ・エロティック・アートvol.2 ゲイのファンタジーの時代的変遷』(ポット出版)
『日本のゲイ・エロティック・アートvol.3 ゲイ雑誌の発展と多様化する作家たち』(ポット出版)
「THE ART OF GENGOROH TAGAME」(H&O Éditions/フランス)
Gengoroh Tagame Sketchbook(Massive/アメリカ)

「2023年 『外道の家 下 【復刻版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田亀源五郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×