誰かが見ている─標的─ (二見書房 シャレード文庫)

著者 :
  • 二見書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576101354

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  •  ちょっと薄気味悪くて気持ち悪い話。

     折坂史哉は二十代後半のごく普通の会社員だった。
     そして、今日もいつもと同じ日常が始まって終わるはずだった。

     残業が深夜に及んだその日、史哉は何者かに襲われる。
     意識がないままに体中を弄ばれ、気がつくと全裸で横たわっていた。
     意識を取り戻した史哉が辺りを確認しても、周囲には誰もおらず、史哉の携帯には自身が吐精する様子を写した写真が何枚も残っていた。

    「この写真をばら撒かれたらどうしよう――」

     青くなった史哉は、無言の悪意に怯える日々が始まった。
     そして更に、今度はコーヒーに混ぜられた睡眠薬のせいで意識を失い、今度はオモチャを使って弄ばれる。
     やはり、史哉が目を覚ましたときには誰の姿もなく、史哉はただただ恐怖に怯えるしかない。

     おまけに、三度目は弄ばれた現場を、嫌われ者の同僚・林に見られ脅されてしまう。
     脅迫者が二人に増え、逆らうすべもない史哉は、性奴のような日々に憔悴していく――
     そんな史哉を救ったのは、アルバイトの瀬戸だった。
     林にいたぶられている現場に遭遇した瀬戸は、「同意だった」という林の言葉を跳ね除けると、問答無用で林を殴り倒した。
     そのまま史哉を連れて、自宅に帰るが――

     という話でした。
     なんとなく、BLというよりはギャルゲーにありがちの設定だなー……という気がしました。
     誰だかわからない脅迫者に自分の写真をネタに脅されて、それをまた違う人間に見つかって、今度はその人間にもひどい扱いを受けて――のループ。
     途中で一回、あんまりな空恐ろしさに本を閉じました。
     実際にこんなことあったら、本当に気持ち悪いですよね。

     まあ、途中でヒーローが現れて、史哉は助かるけれど、今度は林が死んでしまって――と途中から別の要素が入ってくる。

     個人的には殺すのはやりすぎだと思ったのが一つと。
     殺してしまって警察が出てくるのはいいんですけど、あんなに簡単にあっさり捜査は終わらないような気がするんですけど――
     死ぬ前に気絶するぐらい殴られてるんだったら、もちろん怪我はしているだろうし、そしたらその怪我が死ぬ前についたものか、そうじゃないものなのか、確認された上で、当然、「誰がつけたのか」の話になるだろうし。
     携帯電話だって「無くなってる」からって、調べられないわけじゃないから携帯電話会社に言って、通信履歴を調べることぐらいはするだろうし。
     そしたら、死んでるはずの時間に、史哉にメールが送られていることと、その内容は当然ながらわかるだろうし。
     そうなったら「脅迫されてる理由」を聞かれるに違いない、と思うんだけど――と思ってしまう。

     もちろん、こんなこと気にして、イチイチ答えを書いたら一冊じゃ収まりきらないのもわかるし、話の焦点がずれていくのもわかるんだけど!
     推理小説大好きな僕としては、ものすごく気になるんですよ。そういう細かいことが!
     でも、そんなこと書いてらんないのもよくわかるので、やっぱり「殺す」っていう設定にしないほうがよかったんだろうな――と思ってしまいました。

     個人的にはそんな妙に細かいことが気になってしまったんですが、そんな細かいことが気になってしまうくらい話としては面白かったので、うっすら寒い思いをしたい人にはオススメします。
     ただし、本命よりも先にヤられちゃう系の話が好きじゃない人にはオススメしません。

  • 陵辱系。触手ナシ。理不尽すぎる理由で酷い目に遭っちゃう受けのお話です。なんて災難な受け・・・。

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著者プロフィール

小説家。2006年『妖樹の供物』(二見書房・シャレード文庫)でデビュー。

「2014年 『巫女姫ウェディング ~いじわるな愛と束縛~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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