致死量の友だち

著者 :
  • 二見書房
2.76
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本棚登録 : 170
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576220345

作品紹介・あらすじ

学校で苛烈な虐めをうける宇打ひじり。クラスでは言葉によるものだけではなく、暴力もうけており、死をも考え始める。そんな状態の中、美しいクラスメイトの夕実から毒を使って一緒に仕返しをしようと誘われる。夕実も校内で悍ましい仕打ちをうけていた。彼女に誘われるまま、仕返しを考えるようになったひじりは、夕実から毒の知識を得るとともに、彼女からの指示によって毒物を集めて報告するなど、憧れや恋に似た依存を強めてい
く。そんな中、夕実が……。

感想・レビュー・書評

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  • ❇︎
    学校という閉ざされた空間の中での虐め。
    積極的な首謀者と傍観者という名の共犯たち。
    見て見ぬふりをする教師。
    家族はバラバラで家にも居場所なんてない。

    苦痛ばかりの毎日から逃げ出し、全てを
    終わらせたいと思ったひじりは、偶然
    同じように虐めに合っているクラスメイトの
    夕実から声をかけられる。

    夕実との出会いはひじりに希望の光を灯すが、
    同時に毒のように徐々にひじりを狂わし始める。

    とびきり美しく妖しい猛毒に魅入られ、
    魅せられた少女の物語。







  • ジャンルとしてはホラーイヤミス?でよいのだろうか。夕実とひじりがじわじわと復讐計画を進めていく様子に「どうなるんだろう?」と思っただけに、中盤以降の展開と○○オチにがっかり。プロローグの時点で夕実はひじりを実験材料か何かとして利用しているんだろうなとは思ったけれど。

    田舎とはいえ図書館や私立学校の調理室などに簡単に侵入できてしまう、クラスメイト全員の詳細情報を把握している、自販機の飲み物に毒、出てくる人間が全員ヤバい上警察にも薬が蔓延しているetc.はホラーとしてもミステリとしてもちょっと出来が悪いんじゃないだろうか(重箱の隅をつつくけれど、○○含めて設定の描写が甘い・校正が抜けているのも気になった。主人公は中学生なのか高校生なのかが序盤でぱっと分からないし、制服の飾りはリボンなのにp65ではスカーフになっている)。私立の進学校なのにいじめやスクールハラスメントが当たり前、保健室の先生が嘱託産業保健師だったりするのもどうなっとるねん。

    これだったら夕実とひじりの復讐譚、二人(三人)の少女の関係性にテーマを絞ったほうが良かったのでは……と思った。似た系統の木爾チレン「みんな蛍を殺したかった」もだが、この手の話はストーリーや設定や描写を上手く作り込んでいないと(≠詰め込みすぎると)一気に陳腐になってしまう気がする。少女たちの秘密の(闇い)関係、という設定自体は個人的には好きだし、上手く作れば面白くなるのにもったいない。

  • 荒唐無稽な学園ミステリー?ホラー?
    いじめの描写も、教師の態度も、家族の存在感全て薄っぺらく、主人公のキャラクターの方針もブレブレで非常に残念な本でした。技術的な部分が追い付いていないような印象を受けました。

  • イヤミス毒ホラーで、三浦しをんがネットで推しコメントをしているのを見てなんで?と思って手にとりました
    この人の本は円城塔先生との共著以来

    系統としてはみんな蛍を殺したかったや触法少女好きなら間違い泣く楽しめると思います
    かなり設定や内容も練られていて、伏線も自然に回収されていて読んでいて面白かったです
    図書館や私立学校の調理室への侵入も学園関係者と付き合っていたことや、共犯者の職業を考えると不自然ではないと思いました
    飲み物への毒物混入シーンは実際にあった青酸コーラ事件がモデルでしょうか?
    ◯◯落ちは最初からかなり不自然な描写が多かったから、予想はしていましたが、そのまんまだったのでそこは残念でした
    裏切ってくれたら予想外の落ちだったんですけどね
    夕美のサイコパスキャラは出来過ぎな気もしましたが魅力的で、ひじりが信奉したくなるのもわかります
    探偵キャラの子も美少女であって欲しかった
    それなら後半の展開も別の意味合いがあってよかったのに
    でも大変楽しませていただきました 
    続編期待

  • 続編強く希望!続き気になる終わり方で…
    とりあえず妄想しておきます。
    ネタバレになるから、言えないけど後半が『うわ。マジかぁ。』って思いました。
    本当に帯通りの美しい女王蜂でした。

  •  確かミステリとして発売されたと思うのだが、個人的にホラー要素のほうが濃いと思う。「ノックスの十戒」を破っているからだ。なので、ホラー作品として語る。
     とにかく予想もしていないことが次々と起こる。しかも超常的な力によるものではなく、明らかに誰かが行っている。それがわからない。その点では十分に楽しむことができた作品だ。

  • いじめのターゲットになり、学校でも家でも悲惨な、食べる事にも苦労している様子がリアル。よくも悪くもない。読みやすかった。

  • 一冊、丸ごと毒にまみれた不快感100%作品。

    主人公は学校で苛烈ないじめを受け、家族からも疎まれている宇打ひじり。
    自殺を決意した日に、美しいクラスメイト・夕実に声を掛けられ、いじめ加害者を毒で殺害する事を持ち掛けられる。

    美しい夕美にどんどん惹かれ、恋に似た感情が高まり、彼女に言われるがまま僕のごとく行動する従順なひじり。

    百合要素にイヤミスをミックスさせた本作だが、登場人物が揃いも揃って癖の強い人ばかり。

    次々と起こる事件、犯人は一体誰?
    先が気になり一気に読み進め明らかになった黒幕にゾッ。

    毒と狂気に胸やけする。

  • 終盤になってタイトルの意味が分かって、そういう事か〜とひとり納得した


    個人的にミステリー(と思われる)小説ではガッカリだなと思う犯人と動機だったので残念だった

  • 日々、凄惨なイジメに耐えるだけの高校生ひじりに、美少女の夕実だけが近づき、ある日、クラス全員を殺さない?と持ちかける。劇薬の農薬や自然界にある毒物に詳しい夕実は、毒による殺害を提案。夕実の妖しい魅力と、イジメの復讐という提案の虜になったひじりは、夕実への依存度を強めていく。
     女生徒二人による犯罪計画の顛末やいかに!

     青蛙、と名のるからには、著者は岡本綺堂のような怪談が書きたいんでしょうか。ホラーという括りで評価するなら、なかなか怖い話です。どこから殺人鬼の魔手が伸びてくるかわからない展開で、正体不明の敵に対処しなければならない不安感は、ゾクゾクします。

     もちろん最後に種明かしはあるので、ミステリーと言えなくはないのですが、ミステリーとしては禁じ手を使っています。本格ミステリーファンが読んだら、きっと怒ります。著者はわざとやったのでしょうか。
     ミステリーとはっきり標榜しているわけでもないので、スクールガールコンプレックス的な表紙から連想するように、百合を全面に出した復讐劇、ホラーに終始したほうが良かったんじゃないかと個人的には思います。一気に読み切ってしまう、引き込まれる展開だっただけに、ラストが残念です。

     スプリーキラーにも衝動的なタイプと知能犯のタイプがいて、明らかに今回の犯人は後者。人を思い通りに操ることに快感を覚えるタイプなのだから、他のストーリー展開に出来なかったかなぁ、と思います。

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著者プロフィール

作家。『関西怪談』『大阪怪談』『魂追い』『あめだま』など著作多数。

「2023年 『関西の怖い街』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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