- Amazon.co.jp ・本 (130ページ)
- / ISBN・EAN: 9784577051900
作品紹介・あらすじ
風がふいて、わたしの心をゆらした。
どうしてあんな気もちになったんだろう。
ことばはすうっと上にあがり、天井にくっついた。
わたしがパパのことをおもいだしているのを幸介さんもママも知らない。
わたしのなかに、だれにもいえないことばかりがたまっていく。わたしはわるい子どもになったのだろうか。わたしはぎゅっと目をつむった。
——本文より
感想・レビュー・書評
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貝ちゃんは小学生。
ママとパパは離婚して、そして新しいお父さん・幸介さんとママと3人で暮らすようになった。
ママと幸介さんは引っ越ししようと言っていて、しかし貝ちゃんはクラスメイトと離れたくないから転校したくない。でもそれが言えない。
保育園から一緒の高広くんと話したいのに話せない。
クラスメイトの世里ちゃんに高広くんのことが好きと打ち明けられて、モヤモヤする気持ちがあるのに何も言い出せない。
モヤモヤする日々に、今はもういないパパとの思い出を振り返る貝ちゃん。
そんな貝ちゃんだったけど、よぉく周りを見渡せば、少しずつだけど自分の言いたいことを言えるようになってみれば。
もうひとりじゃないかもしれない。
貝ちゃんの気持ちを追いながら、読んでいるこちらもなんだか前向きになれるお話でした。 -
岩瀬成子さんの作品はあまり好きじゃなかったけれど、これはよかったです。
両親の離婚、再婚、引っ越しの予定、子どもの気持ちの及ばないところで起こる出来事にとまどいながらも自分の気持をうまく口に出せない4年生の貝。
保育園の頃の思い出や、「パパ」との思い出。もどかしさも感じながら、少しずつ前に進むよう変わっていく貝を応援したくなりました。
内容は、主人公と同じ、4年生以上におすすめだと思いますが、字も大きめの総フリガナというのは、本が読めない子にも読みやすくするため? -
親の離婚、再婚、引っ越し……。繊細な悩みを抱える少女が主人公。同じような悩みを抱える子どもに寄り添ってくれる物語。
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揺れ動く貝ちゃんの気持ちに共感。幸介さんと仲良くなれるといいな。
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土曜日だったし、夜中に一気読みしちゃった。
4年生くらいから読めるもので、こういう静かな、内面に深く深く潜り込んでいくような物語は貴重。多くの子が読みたがるような「楽しい」お話ではないけれど、この物語が必要な子はきっといる。
この小学四年生の女の子「貝」と同じように、所在なさに孤独を抱いていたり、言いたいことを飲み込んでばかりの自分が嫌になったり、友達と同じ子を好きになってしまって悩んだりする子はいるだろう。この物語は、そんな子たちに寄り添ってくれるはず。
「ひとりかもしれない」と寂しさを感じながらも、新しい父親や友達との関係をゆっくりと紡いでいく主人公に、そっと勇気をもらえるような作品だった。