- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582527216
感想・レビュー・書評
-
ローレンツといえば「すりこみ」の発見者として有名だが、ハイイロガンの行動について「すりこみ」以外にも説明が多くあり楽しく読めた。
「すりこみ」に代表される不可逆的な能力と、それ以外の社会性のある行動、また学習によって得られる行動などがクリアに描かれていて、よくこんなところまで観察したな、というのが率直な感想。
特に社会性のある行動については、様々な事例をもとに紹介してあり、高いレベルで書かれていると思う。
あるハイイロガンが表した「悲しみ」から、配偶者の「死」を知る場面が印象的。
https://twitter.com/prigt23/status/1020301839768608769詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ハイイロガンのような社会的な動物の行動は極めて複雑だ。本能的な盲目的行動に走るかとおもえば、人間の行動にも通じるような絆を形成したりする。とくに家族の関係が長期にわたり維持されるのが興味深かった。巣立ちにおいて関係性が消失するわけではないのだ。
また、個々の一生に物語ありで、動物番組で単純化されるような簡単なものではない。盲目的本能行動なのか、いちずな恋なのか報われないアドスの物語は印象に残った。
動物行動学の用語が理解できず、またその前提としている理論について知らないので書いてある内容の半分しか楽しめなかった。エソロジーはあまり聞かない学問だが、機会があれば勉強してみよう。
最後に、主観的観察と客観的観察を大事にすべきという言葉は、行動学の大家の言葉だけに重みがある。また、引用したように、法則だけではなく構造を知らねばならない。物理学や数学だけが科学ではない。生物学を学ぶことの自信をもらった。 -
辞書的にまた読みましょう。