稲垣足穂 飛行機の黄昏 (STANDARD BOOKS)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 207
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582531572

感想・レビュー・書評

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  • すっきりとした文章ながら、天体や飛行機の記述はとても美しく、夜空を見上げたくなりました。
    ただ人名や専門用語もあり、解説を見ながらなのでなかなか時間がかかりました。もう少し知識があるともっと楽しめるのかなと思いました。

  • 独特の文体、難しいことは書いていないのに、なかなか頭に入ってこない…。でもモダンでお洒落な雰囲気は伝わってくる。また読み直したい。

    • yumickさん
      ああ、私もこの人の本を読もうと思っていました。
      ああ、私もこの人の本を読もうと思っていました。
      2019/04/06
  • 月や星、飛行機への思いを馳せた随筆集。
    小説家らしい柔らかさがあって、だからか、随筆として読めない部分もあり、難しかった。

    月は女性か、男性か。
    女神の名を冠しながら、イラストで描かれる際は男性のようである。
    そこで、左向きと右向きの両生具有者なんだという話は面白かった。

    一番、印象に残ったのは「黒」の哲学。
    光を吸い込んでしまう黒の存在。
    でも、私たちにとっては生きられる黒の世界。
    美しい音楽を味わうためには目を閉じればよい。
    美しい絵を味わうためには目を閉じてはいけない。
    至極当然の指摘なのだけど、闇の持つ魅力がすごく伝わってきて、なるほど、と思えた。

    芸術を愛する者は空に憧れるのか。
    そうして、空に達することを叶えた芸術は、ある日、武器となって地に堕ちてくるのだった。
    ジブリの「風立ちぬ」を思う。

    憧れって、素敵だ。

  • 何言ってるのか本当にわからない文しかない文章と、おおむねわかる文から成る文章と、わかる文章の3つが混在していて、不思議な読書体験だった
    わかる文章とおおむねわかる文章は主に実際にあった出来事や現実のことについて書かれてて、面白かった
    わからない文章は擬人法とか比喩とか突拍子もない発想やつながりのよくわからない装飾語がもうすごくて、何回読んでも最後まで意味わからなかったりする
    わからなさすぎて読み返すうちに好きになった文があって、正直いまだよくわからないが、将来見返した時にわかるようになることを期待して感想内で引用しておく
    「ボクは、"Goodnight! Ladies"のこの刻限、いつかの映画で観たように、ヴェニスの館の飾りつき鉄柵の門を出て、ちびくれた石段を幾めぐりしてゴンドラまで降りて行った連中のように、こちらも縞の仮面をつけ、黒マントーの裾をからげ、ピーター・パンや猫や蜻蛉や、道化共や、山羊の脚をした手合までも引き連れて、裏梯子を伝ってモータボゥトに乗り移ろうとした時、木星族ポン彗星が近付いている夏至近い深夜の空が、倖いにして曇っていなかったならば、換言してそこが下町の反映を受けて合歓の花色に染っていないとしたなら、こんな折こそ、われらの頭上は申し分のない「六月の夜の神戸の空」ではなかろうか?」

  • 星空を、こんなに雄弁に、科学的だけど華麗に書いた文章は初めてだ。博識で素敵だなぁ。化学的だけじゃなくて優雅でロマンチックだった。たくさんの夢を短い時間にたくさん見たような、不思議な心持ち。ただ読みながらイライラすることがあったので素敵な読後感が台無し!また読む。

  • ついにSTANDARD BOOKS読破!
    しかし、最後はなかなかの難関でした。独特の文章というか思考世界というかに慣れるまでがしんどい。
    途切れることなく続く文章。そして、どこからが描写で、どこからが空想で、どこからが思考なのか。
    でも、最後の方はこの訳のわからない感じが、ちょっと癖になってきてた。しかし、好みではなかったかなあ・・・。
    星に関しては野尻抱影が引用されていて、ここにも知の系譜が。これがこのシリーズのミソなのよね。
    第3期は2月からに刊行とか。楽しみだ!

  • 稲垣足穂作品は未読。なので独特の世界観とか雰囲気とかが分からず…。
    何作か作品を読んでから手にした方がいいのかも。

  • 稲垣足穂という世界を知るのにはいい本だと思います。これ、編集作業楽しかっただろうなぁ、と想像。

  • お天道さんもダンディに。得心せり。

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著者プロフィール

稲垣足穂(1900・12・26~1977・10・25) 小説家。大阪市船場生まれ。幼少期に兵庫・明石に移り、神戸で育つ。関西学院中学部卒業後、上京。飛行家、画家を志すが、佐藤春夫の知己を得て小説作品を発表。1923年、『一千一秒物語』を著す。新感覚派の一人として迎えらたが、30年代以降は不遇を託つ。戦後、『弥勒』『ヰタ・マキニカリス』『A感覚とV感覚』などを発表し、注目を集める。50年に結婚、京都に移り、同人誌『作家』を主戦場に自作の改稿とエッセイを中心に旺盛に活動し始める。69年、『少年愛の美学』で第1回日本文学大賞受賞、『稲垣足穂大全』全6巻が刊行されるなど「タルホ・ブーム」が起こる。

「2020年 『稲垣足穂詩文集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

稲垣足穂の作品

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