エコノミストが教える経済指標の本当の使い方 (HEIBONSHA BUSINESS)
- 平凡社 (2014年3月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582629118
感想・レビュー・書評
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この人の書く本は、理屈の順序がしっかりしているのと、順序に抜けがないので、その論理に不慣れな人間にも分かりやすい。経済現象は連関しているのだが、その連鎖プロセスが一つでも抜けると迷子になる。特に本作はアメリカ経済から話をスタートしていき、日本経済を語るために、その説明は必須だ。有難い。
先ず、経済状況が良いとは。これはGDPで示す。では、GDPの計算は。最終消費者が買った金額と日本が輸入した金額の差し引きである。
で、この日米のGDP成長率は密接に連動しているという事だ。アメリカ経済が良くなれば、日本からのアメリカ向け輸出が増えて、日本経済も良くなる。アメリカ経済が良くなると、円に対してドルが上がりやすくなり、ドル高円安になる円安になり、更に輸出がしやすくなる。アメリカでの需要が増えるか、円安で輸出がしやすくなるか。この二点により、アメリカ経済が良くなると日本経済も良くなるというわけ。
しかし、リーマンショックにより、金融商品から一気にお金が引き上げられ、世界中の株価が下がった。引き上げられたお金は、信用できる現金に集中することとなり、日本円が買われたため、円高になった。円高は、企業にとってはダメージ。これにより日米が連動しなくなってきた。またアメリカが金融バブル崩壊後に大胆な金融緩和を実行したことも理由である。
(ちなみにこの本は2013年頃のもので、少し古い)
金融緩和とは。お金の量を増やす。金利を下げるなど方法があるが、アメリカは住宅ローン担保証券を大量に買って、その対価としてドルを供給した。日本は金融緩和をしなかったので、結果的にさらにドルが溢れ、円が稀少になり円高になった。その後、アベノミクスの金融緩和で日本は株価を上げ始めたが。
アメリカと日本は、金利もかなり連動している。金利と言うのは、国債の利回りのこと。国債とは国がお金を調達するために発行する債権のこと。購入時の価格が変動することによって、返却時とのお金の関係から利回りが計算される。国債の人気が出ると、国債の値段が上がる。その場合は、金利が低くなる。逆に人気が下がると値段は下がるので、金利は上がる。国債の人気が上がると言うのは、基本的には景気が悪い。つまり株価が下がると、金利が下がる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
GDP、GNI、金利、為替、輸出、輸入、経常収支、失業率、インフレ率、ISMなど、基本的な経済指標について、相互の関連性を含めてわかりやすく解説しています。
入門書に適していると思います。 -
初心者向けのマクロ経済解説本。
例えばアメリカの雇用統計が発表されるときは、株価や為替が変動する。
なぜそのようなことが起こるのかについて、用語解説とともに説明されている。 -
経済指標の著作が多い著者が、2013年に八重洲ブックセンターで3回シリーズで行った講演会を1冊にまとめた本。
経済指標の話も出てくるが、それよりも経済を見るためにはどうすればよいのか、経済指標をどのように見えるのか、その基本を講義形式のような形で理解できる本。
1章 経済指標って何?
2〜3章 アメリカ経済と日本経済との関係
4章 ユーロや中国経済との関係
5章 日本経済は復活するのか?
経済指標の最初歩の本としてはよいと思う。 -
これからのアベノミクスに注目すべき点。民間投資を喚起する成長戦略の具体策、それの進め方。
産業の六重苦の是正。法人税、経済連携協定(TPPなど)、労働規制の緩和、環境規制、エネルギーコスト。 -
エコノミストである著者が、GDPなどの経済指標の読み方について書かれた本です。大きくは、GDPの考え方とアメリカ経済が日本経済に与える影響が解説されています。
なるべく解説が難しくならないように書かれているのでサクサクと読めたのですが、読み終えたときに少し物足りなさも感じました。マクロ経済のはじめの一冊という感じです。