フィレンツェの世紀 ルネサンス美術とパトロンの物語

著者 :
  • 平凡社
4.50
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 50
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582652086

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ふむ

  • EU企画展2022「Ciao!イタリア」で展示していた図書です。

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB12310764

  • フィレンツェ旅行を思い出しながら読み進めた。副題の通り、パトロンたちが主役であり、彼らが都市フィレンツェをどのように飾り立てていったのか、その背景にはどのような社会的背景があったのか、詳説されていた。
    制限があるからこそ、想像力はいかんなく発揮される。そのことを、ここぞとばかり思い知らされた。
    特に、建築について。ブルネレスキからミケロッツォ、サンガッロにいたるまで、注文主とどのようなやりとりを行ったのかを知ると、より一層その凄さがわかるように思える。

    あと、ブランカッチ礼拝堂の注文主、フェリーチェ・ブランカッチの話。制作背景よりもその人の人生や人となりの方が面白かったとは!あの人間くささ…確かに、マザッチョとマゾリーノによるあの装飾は素晴らしい構図で、絵画作品としても見どころ満載だ。そのことは、アルベルティの絵画論でも例に挙げられていていることからも、当時から高い評価を受けていたことがわかる。しかし、それ以上にフェリーチェの波乱万丈だけれども必死に商人として生きる姿。フィレンツェ市民の、儲けと誇り、というモットーのもと躍進する姿。その過程で実現された、最高の美術作品。たまらん。
    最近ネットで、何で歴史がつまらないかって、人物のキャラがみえてこないからだって言いあってたけど、まさにそう。こうやってキャラがみえて、ようやく同時代的な解釈が可能となり、より身近なものと美術史もなっていく。
    しかしただの社会史にならないようにしなくてはならない。社会史のみならず、アプローチの仕方は様々だが、つねに中心には絵画があってほしい。最後は、ヴィジュアルに落ち着き、なんておもしろい、興味の惹かれる作品なのだと思わせる研究が重ねられることを願う。

    あとがきにて、クアトロチェントに対する見方が変わってくれたら本望だ、という言葉があった。変わったというか、視野が広がったという感じ。共和制の仕組みは色々と読んでも、理解するのは大変だす。再び勉強になりました。カタストがね…資産税についてがね…_| ̄|○

  • 15世紀のフィレンツェでのルネサンス建築、美術の発展をフィレンツェにでの市民社会の段階的発展特にメディチ家三代の興隆を基点として読み解く。
    ペストなどはあったが、比較的平和で安定的な時代で共和制が発展し、芸術も教会ではなく、有力市民が牽引した。教皇が各地から税を取り立てるためのインフラとなる銀行業が発展し、そのなかでメディチ家が財を蓄え政治的にものし上がって来た。その最初がコジモ・デ・メディチであり、彼は70代まで生きて、様々な建築、絵画、彫刻のパトロネージを行った。特に建築つまり自分の家、ヴィッラ、教会に置ける礼拝堂は、家柄を顕示するものであり力が入れられた。また結婚も当時社会的なつながりに置いてとても重要視され、持参金が非常にかかり、それを基に家具や芸術品も買われた。
    芸術全般が盛んとなり、ギベルティ、ブルネレスキ、ドナテッロなどの彫刻家、ミケロッツオなどの画家が生まれる。コジモの子ピエロの時代は短いが、孫のロレンツォ・イル・マニフィコにかけてマザッチョ、ボッティチェリ、ピエロ・フランチェスカ、ミケランジェロ、(レオナルド・ダビンチはフィレンツェではあまり評価されず、別の場所に演奏家として送られてしまう)。メディチ三代の興亡とそれに絡む他の有力者、芸術家が織物のようにこの時代のフィレンツェのありようを浮かび上がらせる。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

【石鍋真澄】成城大学文芸学部教授

「2016年 『ピエロ・デッラ・フランチェスカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石鍋真澄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×