増補 小さなものの諸形態 精神史覚え書 (平凡社ライブラリー い 8-2)
- 平凡社 (2004年4月8日発売)
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感想 : 2件
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- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582764963
作品紹介・あらすじ
「消滅へ向かいつつある存在とは、「今日の人間」全体ではないか。人類とは潜在的少数派ではないのか。」バルトークからシモーヌ・ヴェイユまで、いくつかの断片に即して二十世紀という時代の経験を読み解き、思想態度のかたちを問う、十四篇の「考える言葉」。今日なお救い出すべきものを探りあてる批評的実践。
感想・レビュー・書評
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しばらく忘れていた「思考する」ということの大切さを思い出させてくれる書。
よくわからない(自分の理解が及ばない)論考もいくつかあったが、個人的には「文化崩壊の経験」と「小さなものの諸形態」、「落下する世界」が白眉。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このエッセイ集に収められた「友情の点呼に答える声」を20代始めに読んだことがあるのだが、ただただ衝撃の一言だった。市村弘正の思考は、奪い去られたもの、踏み躙られたもの、小さなものに対して一貫して向けられている。それは甘っちょろいヒューマニズムや博愛的なものとは無縁の、自らが「踏み躙った側、踏み躙るのを許した側」であることを自覚しその痛切な反省と批判から来るものだ。二十世紀と言う時代が上げた声無き悲鳴に耳を傾け続け、その痛みを救い上げたような言葉がここにある。どこまでも勇気付けられる。個人的に、本当に大切な一冊。
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