- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582768374
感想・レビュー・書評
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人斬り山田浅右衛門の時代・・・江戸時代は死体の臭いが漂う。
第一章 屍都周遊 第二章 様斬(ためしぎり)
第三章 ヒトキリアサエモン
第四章 胆(きも)を取る話
第五章 仕置人稼業-浅右衛門の弟子たち
付論 人斬りの家・女の家 注有り。
付録 山田浅右衛門の代々
主な参考文献と史料
江戸時代の“死体”事情と、据物師・山田浅右衛門の存在を語る。
お江戸の死体事情。川や堀、井戸への身投げ。
首吊りと、死体の存在が身近にあったこと、同心等の検死をする
「検使」をする者たちには、検使マニュアルが存在したことが
示されています。時代劇の同心たちの検死風景が浮かびます。
戦国~江戸初期の武士たちの試し斬りについて。
武家文化での、刀剣は武家の魂。試し斬りでその価値を見出す。
だが、江戸の太平の世に移行するにつれて、武士にとって
直接関わることが不仁、穢れとなり、試し斬りのプロが登場。
山田家以前の御様御用(おためしごよう)を拝命された者たち。
芸者と称される試し斬りの技の難解さと、仕事に対する罪悪感。
そして、山田浅右衛門(朝右衛門)の事。
何故、御様御用を代々拝命されたのか?何故、浪人だったのか?
将軍家御様御用の他、大名や旗本諸家の刀剣の鑑定(試し斬りも)。
刑死体から採取した人の胆により製薬した、丸薬の販売。
死体の販売まで行っていたという。
巷では、人体の一部を薬として用いる民間療法があったそうな。
山田家の弟子たちは、藩士もしくはその子弟で、試し斬り修行の
ため。藩の御用と他の藩からの死刑執行の外注も行った。
山田家の、男は芸を受け継ぎ、女は家の継承。
最期に、明治維新以降の山田家のその後。
フランスの死刑執行人一族サンソン家からの繋がりで、
日本の御様御用の一族山田家について知りたいと考えての読書。
国の違い、文化の違い等の比較も出来て、興味深い内容でした。
しかも読み易い文章。史料の提示や引用も、適材適所の感です。
だけど、スプラッターが苦手な人にはお勧め出来ません(^^;詳細をみるコメント0件をすべて表示