漢字廃止の思想史

著者 :
  • 平凡社
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  • / ISBN・EAN: 9784582833126

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  • 【書誌情報】
    著者:安田敏朗
    価格:4,200円+税
    出版年月日:2016/04/15
    ISBN:9784582833126
    版型:4-6 552ページ

    漢字廃止・制限論と擁護論との対立が、さまざまな「応世」と偏狭頑迷な「伝世」の主張となって激しい思想戦を繰り返してきた。その逆説の構図をあぶり出す意欲作。
    http://www.heibonsha.co.jp/smp/book/b217173.html

    【簡易目次】
    目次 [001-005]
    凡例 [006]

    はじめに 009

    第一章 漢字廃止・制限論をどうとらえるか 013
    1 「大東亜共栄圏と日本語の進路」――「伝世」か「応世」か 013
    2 「日本語の歴史とともにある漢字」「日本人の心性をあらわす漢字」という言説 017
    3 漢字リテラシーという恫喝 020
    4 大韓民国と漢字――文字とナショナリズムの恣意的結合 024
    5 日本語の科学は世界を変えるのか 028
    6 分析わくぐみとしての「伝世」と「応世」 029
    7 「応世的伝世」と「伝世的応世」、そして「応世」の「伝世」化 031
    8 本書の射程 033

    第二章 文明化の思想 043
    1 明治初期の漢字廃止論――前島密「漢字御廃止之議」をめぐって 043
    2 漢字廃止論のひろまり 052
    3 社会進化論という「応世」 058
    4 国語調査委員会の方針へ 078

    第三章 競争の思想――国際競争と産業合理化のなかで 081
    1 文明国間の競争 081
    2 能率の思想――機械化という「応世」とカナモジカイ 095
    3 実業家から研究者へ――心理学および教育測定とカナモジ論 140
    4 まとめにかえて 169

    第四章 動員の思想――能率と精神のあいだ 171
    1 日本語簡易化へのうねり 171
    2 戦争と漢字制限 194
    3 漢字制限への政策的あとおし 205
    4 国語協会の成立 207

    第五章 革命の思想――マルクス主義という「応世」 229
    1 高倉テルの言語論 229
    2 左翼ローマ字運動事件 241
    3 大島義夫とプロレタリア・エスペラント運動 250
    4 唯物論言語理論の可能性と限界 253
    5 黒瀧雷助と「国定日本字」 257
    6 平井昌夫 260
    7 ことばの革命とは 263'

    第六章 草の根の思想――「昭和文字」の射程 265
    1 「新国字」論の歴史と思惑 265
    2 「新国字」とは 268
    3 「昭和文字」とは 273
    4 帝国議会への請願 286
    5 草の根思想のゆくえ 293

    第七章 総力戦下の思想戦――標準漢字表をめぐる攻防 295
    1 思想戦としての標準漢字表 295
    2 思想戦本番 323
    3 思想戦ののこしたもの 350
    4 まとめにかえて 362

    第八章 それぞれの敗戦後 365
    1 「標準漢字表」からの再出発――国語審議会と当用漢字表 365
    2 「漢字封建制」言説の流行――「民主主義」の流行とともに 368
    3 カナモジカイの敗戦後 380
    4 未完の言語革命 391
    5 島田春雄の敗戦後――「国語クーデターに抗す」 407
    6 「日本民族の優秀性」のその後――田中寛一の場合 412
    7 いきのびる「能率」 420
    8 まとめにかえて 431

    おわりに 433

    注 [441-532]
    あとがき(二〇一六年三月 安田敏朗) [533-538]
    事項索引 [540-544]
    人名索引 [545-549]

  • ○田中館愛橘
    ・たなかだて/あいきつ。その記念科学館では,姓の文字は「舘」という異体字で表記されている。こだわりがあるのだろう。「二松學舎大学」と同じように。
    ○田中寛一『日本の人的資源』(1941年)
    ・シラバスをみるたびに,このリソースの訳語であるらしい「資源」ということばはどうにかならないものかと思っていたが,戦前から使われていたことばとは知らなかった。

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著者プロフィール

一橋大学大学院言語社会研究科准教授。近代日本言語史専攻。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。
著作に、『漢字廃止の思想史』(平凡社、2016年)、『「国語」の近代史――帝国日本と国語学者たち』(中央公論新社、2006年)などがある。

「2018年 『大槻文彦『言海』 辞書と日本の近代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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