- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582835953
作品紹介・あらすじ
ポスト00年代型最終決戦評論。テレビ版〜旧劇場版〜そして新劇場版Qへの道のりをジャンル横断的分析。「まど☆マギ」「ピンドラ」を論じた著者が庵野ワールドに挑戦する…。
感想・レビュー・書評
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評論を私が読むのは苦手なのは、論説の正しさやロジカルな流れなどを検証することが一切出来ないからだ。じゃなにをしちゃうかというと、見ているのはその人の過程や方法論ばかり。例えば、その人がこの論説を組み立てるためにどれだけたくさんの本を読んで要素を分解してるのか、だとか、論証をバックアップするために選択した資料はなぜそれであったのか。
自説を補強するための論の組み立て方が気になって仕方ない。
今回の論考で面白い流れだなあと思ったり、気になってメモしたのはこの辺り。
1. 組織と個人の葛藤というモチーフの発見。
2. 赤木ナオコ博士の思考パターンを擁した、ネルフ本部を管理するスーパーコンピュータは三基からなり、それぞれメルキオール、バルタザール、カスパー
3. 父とその恋人の争いという、過去の作品のテーマにも出てきたテーマの踏襲においてはアレンジがなされ、そのアレンジを分析することでその作品の独自性をどこに持ってこようとしたかを探ろうとする
4. 庵野監督作品のうち、トップをねらえ!、ふしぎの海のナディア、エヴァを並べてその順に父役に男の独善性が強くなる
5. サスペンスを維持するためのミサトの存在
6. ネルフの職員はゲンドウに敬意をもたない、サラリーマン感覚で勤務
7. 動機の不在がテーマなのでシンジをエヴァに乗せる理由付けに苦労した、そこはまどか☆マギカにも共通している、動機づけの模索
8. 謎解きと批評とに二分化する現代の評論
9. 宇野常寛の『ゼロ年代の想像力』のエヴァ論は大きな欠陥がある。議論の説得力はその時代の流行が決める。宇野は「大きな物語の崩壊」という時代のビッグワードに自論をなんとか当てはめたいという気持ちが宇野の論を歪めたのではないか詳細をみるコメント0件をすべて表示