- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582839197
作品紹介・あらすじ
活版や写植からデジタルフォントへ、文字印刷が急激な変化を遂げた平成の30年間。雑誌、マンガ、CD、テレビ……多様なメディアの書体の変遷から時代を読み解く。
感想・レビュー・書評
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ふむ
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読了:2023/8/18
スラムダンク、「ルカワ!!」にはお約束としてファン蘭が割り当てられ「フンフンフンディフェンス」にはゴカール、「オレたちは強い!!」にはゴナ。懐かしいなぁ…
幽白といえば真ん中に白線の入ったゴナ。「霊気が電流みたいに身体を貫く感じがする」と描写していて、なるほどなぁと思った。
「「きゃりーぱみゅぱみゅ」はゴナが似合わず、新ゴが似合う」
並べて書かれているから余計に思うけど、やっぱり新ゴってどこかギャグっぽいというか遊んでる感じがするんだよなぁ(写研びいき)。
「きゃりーぱみゅぱみゅ」を「一九九〇年代には存在しなかったような文字列」と描写しているのが笑えた。
<中ゴシックBBB>小回りがきく機能的なイメージ
<石井中ゴシック>手拍子のようなビートがある
<こぶりなゴシック>穏やかで、スピード感には欠けるけどその分地に足がついている -
実家に放置している自分の本棚を整理してくれ、と言われ、いま手に入れることの出来ない文庫を粗よりしながらパラパラ捲ると,漂ってくる時代の雰囲気、それは古本の紙質の匂いだけではなくて、使われている活字の書体からも感じます。そもそも文庫毎の活字の違いも、それぞれの文庫の作品の選ばれ方の傾向にマッチしている気分も思い出しました。新潮文庫らしさ、角川文庫らしさ、今は亡き旺文社文庫らしさ…。そんな古い話でなくても書体を巡る冒険は、続いているのです。小沢健二とスチャダラパー「今夜はブギー・バック」のシングルのデザイン、歌詞のフォントチョイスから始まる文字の記憶の物語。その曲が1994年なのでかれこれ30年の時代変化なのです。それは出版がDTP化する産業革命が裏地になっているのです。P210のハリーポッターを巡る「リュウミン」を他の書体の比較、知らなかった物語を顕在化してくれました。出版だけでなく音楽、マンガ、雑誌、そしてはテレビのテロップまで文字に関するテクノロジーとコンテンツの相互作用を解き明かしています。とはいっても、そのすべてが著者の個人的記憶の歴史でもあって、書体を語りながら、この30年のサブカルを思い出させるスィート・メモリーズでした。実はこの後「杉浦康平と写植の時代: 光学技術と日本語のデザイン」を読もうと思っていて、その大著の飛び板になったみたいです。
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著者とほぼ同年代で、大学で雑誌作りに励み、テレビ業界に就職した身には、懐かしさに溢れる一冊。