UFOとポストモダン (平凡社新書 309)

著者 :
  • 平凡社
3.14
  • (1)
  • (9)
  • (28)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 107
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582853094

作品紹介・あらすじ

UFO(空飛ぶ円盤)と宇宙人についてのおびただしい言説。そこから、アメリカ社会=現代社会の論理が浮かび上がる。たとえば、初期の宇宙人は優れた科学を持つ金髪の白人だったが、灰色の肌をした吊り上がった目の邪悪なものへと姿を変え、ポストモダンの時代には節足動物や昆虫になってしまった。これはいったい何を意味しているのだろうか?UFO神話、政府陰謀説を丁寧に読み解き、エイリアンと人類の未来を予測する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • パノプティコン⇒超パノプティコン
    自分を監視する。
    クレジットカード・広告としての人体。

    UFO神話を超える、
    ユビキタス

  • (後で書きます。見取り図とストーリーありきのお役所向けパワポみたいな内容だが、参考文献リストはあり)

  • UFOや宇宙人に関する言説そのものに焦点を当て、それらがどのような文化的背景のもとで形作られていったのかということを考察している本です。

    どちらかと言うとカルチュラル・スタディーズ的な手法を用いて、オカルトの領域へ切り込んだ研究という印象で、このような議論に詳しくない者としてはそれなりにおもしろく読めたのですが、アメリカのサブカルチャー研究に詳しい読者にとってはどのように受け止められたのか、ちょっと気がかりではあります。

    たとえば日本では、従来民俗学者によってこうした研究が進められてきた経緯があり、今和次郎の考現学や宮田登の都市伝説研究のほか、大塚英志のサブカルチャー評論も、それらの伝統を踏まえてなされています。おそらくオカルトやニューエイジ・サイエンスのそれなりに長い伝統を持つアメリカでも、同様の研究の蓄積があるのではないかと思うのですが、本書ではそうした議論が紹介されておらず、大澤真幸の『虚構時代の果て』(ちくま新書)における時代区分に依拠して考察が進められていることに、少し違和感を覚えました。

  • 「UFO」と「宇宙人」に関する言説から、アメリカ社会=現代社会の論理を読み解く。

    UFOと陰謀論は何故繋がり、何故これほどまでに広まったのか。
    これからの「UFO神話」はどう変わっていくのか。
    こういった「神話」だと気づくにはどうすべきか。 など

  • 1947年アメリカ合衆国ワシントン州上空、"Flying saucer"という異物を産み落としたUFO×メディア論の契機「ケネス・アーノルド事件」。そして20xx年極東の島国の思想論壇界に一定の位置を占める「理想の時代」「虚構の時代」「不可能性の時代(動物の時代)」という区分。おおまかにこの動線上に本書のダイナミズムは集約されていると思う。そう思う私がいることを担保に是非論と違う地平でフェーズの上昇がここに成された…などと宙を見上げ嘯いてみたい。いや、実際に広く人口に膾炙され得る「リテラシー」と換言することも出来る。
    『人類はなぜUFOと遭遇するのか』を噛み砕いた、あるいは現代日本人の感覚に馴染むように組み直したものと今のところ捉えているが、逐次セットで参照されたい、したいのである。

  •  ポスト・モダン思想をつかってアメリカの現実社会の歴史とUFO空飛ぶ円盤の噂の歴史を紐解く読み物。
     UFO伝説を3つに分けて、論じていく。オカルトをちょっとかじった人には堪らないエピソードがてんこ盛りです。バミューダ・トライアングルってあれはまったくのデタラメの話だったのか……
     論証が粗い部分があったが題材が題材なので暇つぶしに十分。新書だから安いし
     。この著者に覚えがあると思ったらピンチョンの研究書の人なのか。サブカル関連に詳しいはずだわ。

  • ≪目次≫
    第1章  UFO神話の誕生と変遷
    第2章  空飛ぶ円盤神話(1947-73)
    第3章  エイリアン神話(1973-95)
    第4章  ポストUFO神話(1995-)

    ≪内容≫
    UFOの話をキーに、空飛ぶ円盤やエイリアンが社会の中でどのように信じられてきたのかを分析したもの。面白いが難解。


    ≪忘備録≫
    〇空飛ぶ円盤は、誰かが乗って操縦している円盤型の乗り物というニュアンスだが、UFOは、あくまでも空を飛んでいる物体で飛行機や鳥や気球や球電(プラズマの火の玉)などと確認されていないもの。
    〇話し言葉(パレール)は、常にそれを話している人がその場でコントロールしているが、文字=書き言葉(エクリチュール)は、発信者の手を離れていしまい、真の意図が誤読されても訂正することができない。(ジャック・デリダ)

  • [ 内容 ]
    UFO(空飛ぶ円盤)と宇宙人についてのおびただしい言説。
    そこから、アメリカ社会=現代社会の論理が浮かび上がる。
    たとえば、初期の宇宙人は優れた科学を持つ金髪の白人だったが、灰色の肌をした吊り上がった目の邪悪なものへと姿を変え、ポストモダンの時代には節足動物や昆虫になってしまった。
    これはいったい何を意味しているのだろうか?
    UFO神話、政府陰謀説を丁寧に読み解き、エイリアンと人類の未来を予測する。

    [ 目次 ]
    第1章 UFO神話の誕生と変遷(誤伝としての「円盤」の誕生 理想の時代、虚構の時代、動物の時代、そしてUFO神話のなぞ)
    第2章 空飛ぶ円盤神話(1947‐73)―近代のプロジェクトの継続(近代のプロジェクト、継続か放棄か? 超越的な他者としての近代科学)
    第3章 エイリアン神話(1973‐95)―近代のプロジェクトの放棄(大文字の他者から他者の他者へ 後期UFO神話の始まり ほか)
    第4章 ポストUFO神話(1995‐)―ポストモダンのかなたへ(目に見える陰謀と内破するUFO神話 「彼ら」から「それら」へ)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 戦後のUFO神話の変遷と、当時の社会状況(受け手側の文化的・歴史的状況)を比較しながら論じた1冊。

    視点のユニークさと論の進め方は頷けるが、何となく論旨が飛躍している部分があったりして、腑に落ちない部分もあり消化不良気味でした。

    とはいえ、この本を切り口に、いわゆるポストモダンの社会状況や思想に入っていくこともできるつくりになっている点は評価したいと思います。

    正直、期待が大きかっただけに星3つです。

  • 鏡リュウジさんオススメ

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

きはら よしひこ KIHARA Yoshihiko 大阪大学教授。
著訳書に
『カーペンターズ・ゴシック』
(翻訳、ウィリアム・ギャディス 著、本の友社、2000年、
 新版:国書刊行会、2019年)、
『トマス・ピンチョン 無政府主義的奇跡の宇宙』
(木原善彦 著、京都大学学術出版会、2001年)、
『J.G.バラードの千年王国ユーザーズガイド』
(翻訳、J.G.バラード 著、白揚社、2003年:新装版、2009年)、
『UFOとポストモダン 平凡社新書』
(木原善彦 著、平凡社、2006年)、
『逆光 上・下』
(翻訳、トマス・ピンチョン 著、新潮社、2010年)、
『ピンチョンの『逆光』を読む  空間と時間、光と闇』
(木原善彦 著、世界思想社、2011年)、
『これは小説ではない フィクションの楽しみ』
(翻訳、デイヴィッド・マークソン 著、水声社、2013年)、
『幸福の遺伝子』
(翻訳、リチャード・パワーズ 著、新潮社、2013年)、
『シガレット  エクス・リブリス』
(翻訳、ハリー・マシューズ 著、白水社、2013年)、
『トマス・ピンチョン 現代作家ガイド7』
(麻生享志、木原善彦 編著、彩流社、2014年)、
『ベスト・ストーリーズ1 ぴょんぴょんウサギ球』
(「ヘミングウェイの横顔「さあ、皆さんのご意見はいかがですか?」
 リリアン・ロス 著・木原善彦 訳」所収、若島正 編、早川書房、2015年)、
『民のいない神 エクス・リブリス』
(翻訳、ハリ・クンズル 著、白水社、2015年)、
『オルフェオ』
(翻訳、リチャード・パワーズ 著、新潮社、2015年)、
『ベスト・ストーリーズ2』(「手紙を書く人
 アイザック・バシェヴィス・シンガー 著、木原善彦 訳」所収、
 若島正 編、早川書房、2016年)、
『実験する小説たち  物語るとは別の仕方で』
(本書、木原善彦 著、彩流社、2017年)、
『10:04 エクス・リブリス』
(翻訳、ベン・ラーナー 著、白水社、2017年)、
『JR  JR FAMILY OF COMPANIES』
(翻訳、ウィリアム・ギャディス 著、国書刊行会、2018年)、
『両方になる CREST BOOKS』
(翻訳、アリ・スミス 著、新潮社、2018年)、
『オーバーストーリー』
(翻訳、リチャード・パワーズ 著、新潮社、2019年)、
『アイロニーはなぜ伝わるのか?  光文社新書』
(木原善彦 著、光文社、2020年)、
『秋  CREST BOOKS』
(翻訳、アリ・スミス 著、新潮社、2020年)、
『ウィトゲンシュタインの愛人』
(翻訳、デイヴィッド・マークソン 著、国書刊行会、2020年)など。

「2017年 『実験する小説たち 物語るとは別の仕方で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

木原善彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×