ペニシリンはクシャミが生んだ大発見: 医学おもしろ物語25話 (平凡社新書 508)

著者 :
  • 平凡社
3.75
  • (12)
  • (19)
  • (24)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 213
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582855081

作品紹介・あらすじ

聴診器、レントゲン、輸血、ワクチン、麻酔…今では私たちが当たり前に恩恵を受ける医療技術の数々。その進歩の陰には、不屈の医師たちの人間ドラマがあった。時代の通説との葛藤、自らの命を賭した人体実験、思わぬ失敗が生んだ発見、研究者間の熾烈な競争など、25の物語を通して知る、医学史のおもしろ裏話。医学の発展は三分の努力と七分の偶然から!?瞠目のサイエンス進化論。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本書は2部構成で、診断編と治療編に分かれていますが、より面白いのは診断編の方です。
    輸血が当初は動物の血を使っていたこと、麻酔をする手術は150年前までなかったため、暴れる患者を押さえつける人手が必要だったこと、注射器の発明経緯や世界一細い注射針は日本製(テルモ)だということ、人工心肺、心臓ペースメーカーの発明など、多くは現役の医者たちがバトンタッチで試行錯誤、四苦八苦しながら改良を重ねていった長い歴史の集大成だということなどがよくわかります。
    1つのトッピクスが数ページの分量で抑えられているのも読みやすく、当時の日本の医療事情も絡めている点もいい。
    日本人が西欧に先駆けて発見していた(はずの)ピロリ菌や1804年に全身麻酔手術を世界で初めて成功させたのは日本人の華岡青洲なども興味深く読めます。

  • 医学系の読み物として、一般人にちょうど良いレベルな気がする。最新医療器具から、薬品までいろんな歴史があり今があるということが、良くわかる。
    今も昔も医学の進歩は命懸け?って感じ。

  • 成毛さん推薦



    mmsn01-

    【要約】


    【ノート】

  • 世に当たり前に存在する技術、知識が如何に生まれたかを知れば敬いの心が生じる。「素人向け」医療技術、機器の誕生秘話25編。いつか子供に話してあげたい。

  • 新書文庫

  • 文庫サイズで200ページちょいしかないですが、中身はかなり充実。医学の進歩・発展において重要なさまざまなテーマについて、簡潔ながらしっかりとまとめられています。

    個人的には温度基準の発明、血圧測定の歴史、顕微鏡を発明した人物の秘密主義によって顕微鏡の発展が100年近く滞ったこと、コッホの三原則、結核治療とシャーロック・ホームズの生みの親との関係、麻酔薬の発明、あたりの章が特に面白かったです。

    内容もさることながら、各章で取り上げたテーマや史実についての脚注や参考文献、参照サイトのURLがきちんと巻末にまとめられているのがポイント高いです。自分の気に入ったテーマに関しては、この脚注からさらに読書を広げていくのも一興でしょう。

  • 医学の進歩の陰にある、様々なドラマを25話収録。おどろきの裏話の連続で飽きない。華岡青洲の話など。201406

  • ひとつひとつがタンパクに書かれている。

  • なんやかや医学の歴史を紹介していて面白く読める。
    特に古代ギリシアあたりの、まだ近代医学が萌芽すらしていなかったような時期の医学が興味深い。

  • 医史学の本と言うと、確かにあまり見かけないので面白く読めた。
    有名な逸話の本当のところ、過度に日本人の功績を評価しない実直さも好感。
    特許で取らなかったことで人類が物凄く助かっている、という発見が多いのに驚嘆、現在を振り返り嘆息。

  • 成毛眞さんが『面白い本』で紹介していたので買いました。副題にある通り面白エピソード満載で、それでいて単なる話のネタではなく発明・発見のあらましが分かるようになっています。医学には全くの門外漢なのでこんなことを言うのもなんですが、近代以降の超重大発見は大体取り上げているのではないでしょうか。良い本です。

  • サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」「暗号解読」との衝撃的な出逢いから四年余り。その後、同作のような page turner との遭遇なし。
    佳作をひとつ。
    本好きのためのサイトを運営する成毛眞氏(元マイクロソフト日本の社長)の「面白い本」(岩波新書)の紹介。
    『ペニシリンはクシャミが生んだ大発見』
    シロウトにも楽しめる医療機器や治療法の開発史。
    例えば、麻酔の発明では…
    1740年に創立されたロンドン王立病院の手術室は最上階にあり、大きな鐘がぶら下がっていた。
    その理由は?
    最上階で外の明るさを取り込みやすいこと。
    泣き叫ぶ患者の声が外に聞こえないこと。
    鐘はオペレーションベルと呼ばれ、痛みに耐えかねて暴れる患者を押さえつけるためのスタッフを集めるために鳴らされた。
    麻酔が実用化されるまでの手術光景。
    軟性内視鏡が発明される以前の硬性内視鏡のエピソードもスゴイ。
    だって曲がらないんですから。
    リアル・ホラー短編集みたい。
    惜しいのはショートストーリーの積み重ねであること。
    新書だから仕方ないんですが。
    サイモン・シンのように、多彩な人物、発見、発明、エピソードを歴史の時間軸上に並べて紹介しながら、相互の関係にも触れつつ、一大長編にまとめあげる…というような醍醐味はなし。
    ま、しゃあないです。

  • 医学に興味を持って接するにあたっての、導入医学史としては適任な書かもしれません。

  • 医療機器の発明エピソードがわかる。

  • 医学の発見や歴史について楽しく学べる本。面白かった!偶然や実験などについても分かりやすく書いていて、医学初心者でもすいすい読める。良本だと思う。

  • 1724 ファーレンハイト 当時寒剤をつかって得られた最も低温度を0度とし、自分の体温を96度とした。
    1742 スウェーデン セルシウス 水の氷点を0度、沸点を100度とした

    EMI electronic musical industries

    ビートルズの売上が大きく、それがCTの研究開発を支えた
    開発者 ハンスフィールド 単位に名を残す
    控えめな性格で、名誉欲がなく、田中耕一氏と似ている

  • ペニシリン発見~開発秘話をタイトルとする、その他もろもろの医薬系大発見に纏わる小噺集。どれをとっても興味深く、現在当たり前になっている数々が、奇跡とも思える過程を経て誕生した逸話に触れて、感動しきり。いやいや楽しいタイムトラベルでした。

  • なんとなく読んだだけ

  • 20120410

  • 今までに発見、発明された医学に関するお話が書かれており、非常に面白く読める本。一般読者を対象としているので、医学、生物学を苦手とする人たちにとっても、専門知識を必要とせず、かなり読みやすい内容になっている。おすすめ。

  • 現在医療現場で必要不可欠な存在となっている、体温計、CTやMRI、麻酔、ペニシリン、心臓ペースメーカー等の医療器具・薬品の開発秘話が一般向けに分かりやすく書かれている。
    それぞれの研究者が、己の信念や野心のため悪戦苦闘し、それまでの常識を覆して、新しい医療の礎を築くストーリーが面白い。身近な医療器具にも、先人達の大変な苦労があり、泥臭い人間ドラマが絡んでいるんだな。

  • 医学の発見や発明が書かれており興味深く読めた。
    それより怖いのは人間の嫉妬。
    せっかく有意義な発見や発明をしてもそれを認めようとはしたがらない業界。
    胃潰瘍の原因になるピロリ菌の発見も最初はけちょんけちょんに馬鹿者呼ばわりされたらしい。
    今は抗生剤の投与で1週間ぐらいで直るらしい。
    これも初めて聞くので安心した。

  • [ 内容 ]
    聴診器、レントゲン、輸血、ワクチン、麻酔…今では私たちが当たり前に恩恵を受ける医療技術の数々。
    その進歩の陰には、不屈の医師たちの人間ドラマがあった。
    時代の通説との葛藤、自らの命を賭した人体実験、思わぬ失敗が生んだ発見、研究者間の熾烈な競争など、25の物語を通して知る、医学史のおもしろ裏話。
    医学の発展は三分の努力と七分の偶然から!?
    瞠目のサイエンス進化論。

    [ 目次 ]
    第1部 診断編(何でも測らないと気がすまない男―体温測定;秘めた恋を脈で診断―脈拍測定;初めて測ったのは牧師―血圧測定;電話ごっこを見てひらめいた―聴診器;若旦那の趣味が昂じて―顕微鏡;細菌学の巨人の大失策―ツベルクリン反応;人類初体験の透視する見えない光―エックス線(X線) 深夜の極秘人体実験―心臓カテーテル検査 二重らせんのダーク・レディ―DNA 大道芸がヒント―胃カメラ(胃内視鏡) ビートルズが支えた最新技術―CT ノーベル賞をめぐる大波乱―MRI)
    第2部 治療編(毒殺事件を呼ぶ先端治療―輸血;農婦に教わった予防法―種痘(ワクチンの誕生) 狂気を呼んだ四人の争い―全身麻酔 失われた処方を求めて―麻酔薬・通仙散 物理学を超えた町工場のオヤジさん―注射器 次々に産婦が死んでいく謎の病棟―消毒法 風邪ひきイタチに助けられ―インフルエンザ・ワクチン クシャミが生んだ大発見―ペニシリン(抗生物質) 亡き患者への想いを胸に―人工心肺 靴墨の缶で作った命の機械―心臓ペースメーカー 一万回のセックスを観察―セックス・カウンセリング 病原菌を飲んで自説を証明―胃潰瘍の治療(ピロリ菌の発見))

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ペニシリンは偶然の発見だった。
    そう言いたいであろうタイトルに沿った医学の発展に貢献した発見の物語が25話載っている。

    色々な発見の話があって、面白い。
    この話の中でも日本は、西洋で発見された技術を使って、よりよいものを作るという姿が見られたりするのも面白いと感じた。

    無痛の注射針を作った岡野さんの話も載っていて、目次でもしかしてと思ったことに合点がいくと同時に職人が作ったすばらしいものは色々な場所で知られるものだと思った。

    いわゆる「セレンディピティ」を集めた本だが、出てくる人はみな癖が強い。

    どこかで聞いたことあるって話もあったりして、より身近に感じた。

    しかし、中には「他人のセックスを一万回観察」したり、「病気の原因を証明するために自ら病原菌を飲む」とか、キチガイじみた話もある。
    すごい発見をする人は何かが壊れていることも多い、と感じる。

  • タイトルがおバカっぽいので、軽い読み物だろうと思って買ってみたけど、かなり面白かった。
    インフルエンザから人間を救うために、フェレットさんたちが頑張ってくれたこととか、知らなかったなぁ。。。

  • 漫画『JIN-仁-』を同時期に読んでいたので、ペニシリンの発見にはドキドキ。著者も含め、学者の発想はためになる。面白い。

  • 割と低年齢層にも読めそうな内容です。中学生なら十分楽しめるかな。自分が子どもの頃に子供向けの百科図鑑が大好きで、よく歴史上の大発見なども本で読んでいました。この本は堅苦しさを抜きに、医学上の発明・発見を意外なエピソードと共に紹介してくれる。大変分かりやすく書かれており、自己参照にも気を使って書かれています。大人が読むと逆にそれが鬱陶しくも思えるが、何度も振り返って読みたい人にはいいと思います。

全29件中 1 - 29件を表示

百島祐貴の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×