検証シベリア抑留 (平凡社新書 515)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582855159

作品紹介・あらすじ

「東京ダモイ」(東京へ帰還だ)-。今から六五年前、満州で関東軍将校・兵士・民間人がソ連軍に拉致・連行され、強制労働を科された。推定5万3000人の死者のうち、約4割が埋葬場所さえ未だ分からないという悲劇はなぜ起きたのか。当時の情勢を踏まえ、日ソ両国の動きを詳細に検証。今日に続くシベリア抑留問題の本質とその淵源に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:210.75A/Sh81k//K

  • 2010年刊行。著者は日露歴史研究センター代表(元朝日新聞社記者)。先に読破した「シベリア抑留」と被る内容も多いが、本書の特徴としては、①抑留体験を声高に主張してきた瀬島龍三(東京裁判ソ連検察側証人)の欺瞞の暴露、②反軍闘争と民主化運動の詳細。特に、シベリア天皇と称された浅原正基。これに関するソビエト共産党の思惑。③戦陣訓、ないし捕虜を恥と見る日本軍の心性とシベリア残留者の関係、④抑留者への特別恩給制度の不備。⑤韓国・朝鮮籍の抑留者の取り扱いなどが詳しい。

  •  「シベリア抑留」についての本を読むたびに、国家的悲劇という思いを持っていたが、本書はこの事案をよくわかりやすくまとめてあると感じた。
     本書を読むと、当時のソ連のあまりにもあくどい国家戦略と日本の国家的過ちがよくわかる。
     「第一義的にはソ連に最大の非がある」という事実と、「明治以降の日本の大陸侵略政策の破産が関東軍将兵らのシベリア抑留につながった」という経緯や、終戦時の対ソ交渉時の経緯を読むと、当時の日本の政治指導部がいかに愚かであったのかと痛感する思いがした。
     そして戦後の日本政府の保証問題についての対応と旧西ドイツ政府の対応である。あまりにも日本政府の対応はひどい。
     なぜこうも両国の「戦後処理」に差があるのだろうか。これは日本の民族性というよりは、この戦争に対する両国の戦後の認識に差があるからなのかもしれないと感じた。
     本書を読んで、あまりにも重い歴史的事実に立ちすくむ思いとともに、日本政府の戦後処理の誤りは今も続いているのではないのかとの感想も持った。

  • [ 内容 ]
    「東京ダモイ」(東京へ帰還だ)―。
    今から六五年前、満州で関東軍将校・兵士・民間人がソ連軍に拉致・連行され、強制労働を科された。
    推定5万3000人の死者のうち、約4割が埋葬場所さえ未だ分からないという悲劇はなぜ起きたのか。
    当時の情勢を踏まえ、日ソ両国の動きを詳細に検証。
    今日に続くシベリア抑留問題の本質とその淵源に迫る。

    [ 目次 ]
    第1章 国家補償を求める抑留者たち
    第2章 極東ソ連軍の満州侵攻
    第3章 スターリン秘密指令
    第4章 捕虜の収容所生活
    第5章 反軍闘争と民主運動
    第6章 対ソ交渉の錯誤
    第7章 捕虜蔑視という呪縛
    第8章 「瀬島疑惑」の謎を解く
    第9章 全面解決への道

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