ハングルの誕生 音から文字を創る (平凡社新書 523)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582855234

感想・レビュー・書評

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  • ハングルは15世紀に、驚くほど精緻な「音の分析」をもとに創られた文字。現代の言語学者も驚嘆するその〈緻密な仕組み〉とは? 圧倒的な漢字文化の只中で、文字革命はいかに行われたのか? ハングルは、15世紀に李氏朝鮮で創られた〈文字〉である。精緻な「音の分析」をもとに創られたこの文字は、現代の言語学者も驚嘆するほどの〈緻密な仕組み〉を備えている。これほどの文字を、第四代国王・世宗(セジョン)と、彼に仕えた若き秀才たちはどのように創ったのだろうか?
    また、当時の朝鮮は、行政を執り行う際の文書も、歴史を記述するのも、風景や人情を詠む詩歌も、すべてに漢字が用いられてきた。しかも、隣り合う中国との外交などでの付き合いもある。日本以上に、圧倒的な漢字文化のまっただなかにあった当時の朝鮮で、文字革命はいかに行われたのか?
    ハングルの仕組みを〈言語学的〉に、そしてその成り立ちを〈歴史〉から見ていくことで、〈奇跡の文字ハングル〉の合理性、秘められた可能性を探っていく。

    [第22回アジア・太平洋賞大賞受賞]
    韓国ハングル学会より[2012年度・周時 経(チュ・シギョン)学術賞受賞]

  • 広く一般向けとするには、言語学の用語や概念がちょっと難しいかも。

  • たまたま最近読みかけだったののだが、本日が「ハングルの日」と知り、あわてて読了。ハングルとひらがな・カタカナの違いを知るには本書前半の言語学からのアプローチ、共時的分析が役に立つだろう。学習経験のある者にとってもそれなりに発見がある

  • [ 内容 ]
    現代の言語学者も舌を巻くほどの精緻な「音の分析」によって、一五世紀の中頃、“ハングル=訓民正音”は創られた。
    圧倒的な漢字文化のまっただなか、合理的な仕組みと、美しさを兼ね備えた文字を、国王と若き学者たちは、どのように創ったのか?「音が文字になる」奇跡の瞬間を、ハングルの創生とともにたどる。

    [ 目次 ]
    序章 ハングルの素描
    第1章 ハングルと言語をめぐって
    第2章 “正音”誕生の磁場
    第3章 “正音”の仕掛け
    第4章 “正音”エクリチュール革命―ハングルの誕生
    第5章 “正音”エクリチュールの創出
    第6章 “正音”―ゲシュタルト(かたち)の変革
    第7章 “正音”から“ハングル”へ
    終章 普遍への契機としての“訓民正音”

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    [ 参考となる書評 ]

  • 文字には形・音・義があるという観点からの、漢字とハングルの比較が非常に興味深い。

  • あとがきで「専門的な書物以外には、ハングルの真の面白さ、深さを、広くエクリチュールの言語学的、文字論的な視座、<知>という視座から描いたものは、これまで存在していない。」と著者が謂うように、<訓民正音>の成立から<ハングル>へと、歴史的に詳細に辿りつつも、射程の深い言語論として読める良書。

    このほど本書は、毎日新聞社と社団法人アジア調査会が主宰するアジア・太平洋賞-第22回-の大賞を受賞したという。
    以下はその選考委員でもある田中明彦氏による毎日新聞掲載評-11/14-からの引用-
    著者は20世紀言語学のさまざまな概念を紹介しつつ、ハングルが、音素、音節、形態素の三層を一つの文字のなかに透明な形で併存させる極めて精巧な文字であることを、読者の知的好奇心を満たすように次から次へと論証する。
    音素も音節も形態素も、いうまでもなく現代言語学の概念であって、ハングルの創造者たちは、この現代的概念を15世紀にすでに自家薬籠中のものとしていたのであった。
    もちろん、いかに優れた文字も発明されただけで真の文字になるのではない。使われなければ、文字として「誕生」しないのである。本書後半は、漢字漢文原理主義の強固であった韓国で、どのようにしてハングルが国民の文字としての地位を獲得していったかの経緯の叙述であり、この部分もまた読み応えがある。
    ハングルの誕生は、東アジア文化の歴史の中での一大事件であった。ハングルの誕生を語りつつ、本書は、日本語も含め東アジアにおけるきわめて興味深い言語史ともなっている。本書によって得られる東アジア文化理解は大きい。

    -2010.11.16記

  • 韓国旅行してみて、改めてハングルについても学びたいなあ、と思う今日この頃。やっぱりルーツをたどって理解するのがいいんじゃないだろうか。

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著者プロフィール

野間 秀樹(ノマ ヒデキ)
●言語学者。美術家。
●著書に、『言語存在論』(東京大学出版会)、『言語 この希望に満ちたもの:TAVnet時代を生きる』(北海道大学出版会)、『新版 ハングルの誕生:人間にとって文字とは何か』(平凡社。韓国語版は、朴守珍・金珍娥・金奇延共訳、돌베개〔トルべゲ〕)、『K-POP原論』(ハザ)、『韓国語をいかに学ぶか』(平凡社)、『図解でわかる ハングルと韓国語』(平凡社)、『한국어 어휘와 문법의 상관구조〔ハングゴ オフィワ ムンポベ サングァングジョ〕』(韓国語 語彙と文法の相関構造、太学社〔テハクサ〕、大韓民国学術院優秀学術図書)、『史上最強の韓国語練習帖 超入門編』(ナツメ社)、『史上最強の韓国語練習帖 初級篇』(高槿旭と共著、ナツメ社)、『新・至福の朝鮮語』(朝日出版社)、『韓国語学習講座 凜 1 入門』(金珍娥と共著、大修館書店)など。
●編書に、『韓国語教育論講座1–4』(くろしお出版)、『韓国・朝鮮の知を読む』(クオン。韓国語版は、김경원〔キム・ギョンウォン〕訳、위즈덤하우스〔ウィジュドムハウス〕)、『韓国・朝鮮の美を読む』(白永瑞と共編、クオン)など。
●大韓民国文化褒章。アジア・太平洋賞大賞。ハングル学会周時経学術賞。パピルス賞。
●美術家としては、東京、札幌などで数回の個展、リュブリャナ国際版画ビエンナーレ、ブラッドフォード国際版画ビエンナーレ、プラハ、オストラヴァ、ワルシャワ、ポズナニ、京都、名古屋、横浜、ソウル、大邱などで各種の美術展、また現代日本美術展佳作賞など。
●東京外国語大学大学院教授、ソウル大学校韓国文化研究所特別研究員、国際教養大学客員教授、明治学院大学客員教授・特命教授などを歴任。
●韓国と日本、双方の血を嗣ぐ。
 twitter.com/nsem17657228

「2024年 『定本 韓国語講座』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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