激安エアラインの時代 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 116
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856323

作品紹介・あらすじ

成田‐福岡間や大阪‐札幌間の運賃が、わずか三八〇〇円。こんな時代を、いったい誰が想像しただろうか?そもそも「なぜ安くできるのか」、「本当に安全なのか」。激安航空の「からくり」に迫るとともに、それを可能にした航空自由化の道のりを振り返り、来る「アジア大航空時代」を展望する。

感想・レビュー・書評

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  • 一年ほど前、読書会の課題図書になっていたので読みました。
    LCCの可能性についての記述が興味深く、今も時折参考にしています。

  • 勉強になった。

  • 所在:展示架
    資料ID:11200008
    請求記号:687.2||Su48||632

  • 飛行機にはあまり縁がないのが、ここまで安くなると興味沸く。

  • 【新刊情報】激安エアラインの時代 687.2/ス http://tinyurl.com/75wuvjz なぜ安くできるのか、本当に安全なのか。激安航空の「からくり」に迫るとともに、それを可能にした航空自由化の道のりを振り返り、来る「アジア大航空時代」を展望する。 #安城

  • 初めて海外出張したのが20年ほど前になりますが、当時は飛行機のチケットは1冊になっていて、そのために稟議書も書く必要があり、価格もかなり高かったと思います。現在では搭乗する何日か前に申し込めば、日本の航空会社でもかなり安い価格で利用できます。この20年で飛行機のチケットは最も値下がり率の大きいものの一つではないでしょうか。

    この本では、世界で実力をつけた激安エアラインが日本に乗り込んできて、今までと比較すると信じられないような価格で飛行機に乗れる時代が来ることを告げています。その価格を達成するために
    ギリギリまでサービスを絞り込んでいるので、今まで飛行機に乗るときに味わっていたような感覚はなくなり、新幹線にのっている気分でしょうか。

    速く目的地に移動する手段と割り切れば良いのでしょうが、観光に使うのであればともかく、ビジネスのために長時間乗る場合には、ゆったりと座りたいと思ってしまいます。飛行機による移動も、ますます二極化が進んでいきそうな気がします。

    この本で学んだことは、いわゆるLLC(格安航空)は誰にでもいつでも安いわけでははく、安く使うためには知っておかなければならないポイントがあることでした。

    以下は気になったポイントです。

    ・LCC(格安航空)にはメリットも多い反面、デメリットもある、誰にも優しいエアラインではないため、特性を知らないと、支払う運賃が高くなったり損をすることもある(p12)

    ・エアアジアは有償座席キロ当たりのコストは3円程度で、ANAの13円、8円のスカイマークより安く世界最高(p16)

    ・ANAの提携先はアジア最強のエアアジア(マレーシア)、JALはジェットスター(オーストラリア)である(p20)

    ・キャンペーン価格の運賃は「誘い水」で、多くても全座席の10%程度、数段階に分かれている残りの運賃との組み合わせでフライト全体の採算をとる、最後に売れ残りを処分するのではなく、事前に売れ残りを想定して最初に処分価格で販売する(p30)

    ・LCCでは標準からはみ出したことへの対応力は乏しい、何かを相談したりするのは至難の技(p38)

    ・搭乗便が遅れると接続便を待たせたり、降機ゲートで係員が接続便まで誘導するサービスはLCCは請け負わない(p39)

    ・エアアジアのチケットを2か月前に購入すれば年金生活でも3か月に1度は海外旅行を楽しめる(p53)

    ・日本は85年までは国際線運航はJALのみであり、日本関係路線はJALの思惑通りにIATA運賃が決定されて運輸省が追認していた、日本貨物が85年、ANAが89年、JALウェイズが2000年に加盟した(p60)

    ・IATAは89年に為替交換率の廃止に同意(それまでは1ドル=296円を採用)して、日本発着の普通運賃はようやく海外と同れレベルとなった(p63)

    ・2010.10.31の上限認可制の導入により、金額が上限を超えなければ申請を不要とする制度に改めた、これにより臨機応変に運賃を変更できるようになった(p66)

    ・航空自由化とは、1)新規参入、2)輸送力(需給調整の撤廃=1999年に廃止)、3)運賃の3要素の自由化を指す(p92)

    ・IATAの会議では加盟社の規模によらず平等の投票権を持ち、全会一致の原則であったので、運賃は高い水準で承認されていた、定価を守らないキャリアには罰金(p99)

    ・2000年2月に航空法の抜本的改正が行われ、認可制の運賃を届け出制へ、需給調整を撤廃、路線ごとの免許制を廃止等である(p113)

    ・ジュラルミン等の金属を多用した機体では錆が大敵なので、湿度は8-0%に下げられていた、複合材を多用している、B787とA380では除湿基準が 12-15%であり肌の乾燥が緩和された(p162)

    ・世界の旅客機メーカは、100席以上はボーイングとエアバスだが、それ以下ではカナダのボンバルディア、ブラジルのエンブラエル、最近ではロシアと中国が参入、日本が参入するには最後のチャンス(p169)

    ・JALの放漫経営(ホテル事業、リゾート開発等)は高く設定した航空運賃で穴埋めされていた(p189)

    ・ユニット(1座席を1km運ぶ)コストは現時点では、JAL:12円、ANA:13円である、1円下げるのに1000億円のコストカットが必要(p195)

    ・人件費を下げるのは外注化や別会社化で行ってきたが、これからは「マルチタスク」によって時間を有効に使ったり、業務の無駄を省いて生産性を高める傾向が強まっている(p199)

    ・関空の赤字を多額の黒字を稼ぎ出す伊丹空港と統合する法律が11.5月に成立した、新会社の設立は12.7.1である(p229)

    ・28ある国管理空港の滑走路や駐機場等の基本施設で利益を上げているのは、羽田・新千歳・小松空港のみ、関連事業の上もので利益を上げているのが他の空港、合算すると、広島・松山・鹿児島が黒字、函館・熊本もあと一歩のレベル(p230)

    ・鉄道の所要時間が3-4時間になると、鉄道が圧倒的に飛行機に対して有利になる、ただし5時間を超えているレベル(東京ー博多:5.30、東京ー札幌:5:01(予定))では飛行機有利(p239)

    2012年6月3日作成

  • ●海外LCCとの比較
    ●なぜ安いのか
    ●ピーチ、ジェットスター、エアアジアジャパンの違い
    ●新幹線(リニア)との食い合い

    まあ、日本もようやく重い腰を上げて海外基準に合わせ始めた、という状況ですね。 これまでの成功体験を華麗に捨て去って、新たな成功をつかんでほしいものです。

  • タイトルからするとLCCの話かと思うが、
    その話ばかりではなく、レガシーキャリアや、
    中途半端な日本のスカイマークなどのキャリアの話が中心。
    空の利権のグローバルな歴史あり、JALの再生を受けてANAがどのようにするかなど、航空業界の実態(給料等)がわかりおもしろい。

  • 今、航空業界がこんなにも群雄割拠とは知らなかった。アライアンスで繋がるレガシー航空会社と新興の格安航空会社たち。自由化を進める国際論調の中で、役者はそろった。苦戦する日本の航空会社の健闘を祈りたい。政府としては空港の効率活用やハブ化によりアジアの玄関口の座を取り戻すこと。これにつきる。

  • 規制緩和の波が本格的に襲う日本の航空業界の俯瞰と歴史。よくまとまっており、特に世界の規制の流れと日本の当局のズレの浮き彫りが顕著に示される。日本は交通行政が鉄道、船舶、自動車、航空で全く分断されている。
    個別でいえば航空の問題が国鉄についで出てきており、フラッグキャリアの保護、関空に代表される放漫財政はその表れであるが根本は、利用者を無視した規制者、被規制者の怠慢であることがよく分かる。

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著者プロフィール

昭和22(1947)年生まれ。航空アナリスト。首都大学東京客員教授。
利用者サイドに立ったユニークな評論をモットーに活躍中。東京都や成田市の航空および空港問題の委員会委員などを歴任。
著書に『進む航空と鉄道のコラボ』『日本の空はこう変わる』(交通新聞社新書)、『間違いだらけのLCC選び』『JAL再建の行方』(草思社)、
『エアライン敗戦』(中央公論新社)、『空の上の格差社会』『激安エアラインの時代』(平凡社新書)など。

「2018年 『こんなに違うJALとANA 124』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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