- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582856996
感想・レビュー・書評
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いままで現代型うつといえば、若者が怠けや未成熟であるからと言われてきたが、本当にそうなのだろか?ということを投げかける本。
従来型うつと現代型うつには共通点がある。それは「頑固さ」。従来型うつも現代型うつも他人のいうこと(アドバイス)を素直に受け入れない。ただし、従来型うつは社会の規範や社会人としての使命や人間としての倫理観にたいして頑固なことに対して、現代型うつは自分のあるべき姿や本来の自分はこうなんだというこだわりに対して頑固。頑固の対象が違うから従来型と現代型では異なったもののように周囲からはとらえられるし、とくに現代型うつは周囲から「わがまま」「未熟」ととられられてしまって反感されやすい。
うつの現れ方が違うのは(新しい現代型うつがでてきたのは)社会背景にあり、従来型うつはものがない時代から目に見えて豊かになっていく高度経済成長期の世代を生きてきたものであり、生きていくためや家族を養うためには理不尽なことでも歯を食いしばって頑張り、頑張りすぎて疲弊することから起こる。対して、現代型うつはものが満たされた時代に育って心や自己実現を乱していくような時代背景がある。従来型うつは「生存の不安」が背景にあるが、現代型うつは「実存の不安」からきている。従来型うつも現代型うつは、見た目はまったく異なるもののようであるが、ひとつの病理を反映したものだといえる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代型うつについて知りたくて読書。
最近問題となっている現代型うつ(新型うつ)。心理カウンセラーとしてももっと学ぶべきものだと考えている。
発症が多い世代はゆとり世代プラスα。
ゆとり世代は複数の定義があるが、義務教育の授業時間削減は昭和50年代初頭から始まっている。これが広義と定義されるが、この世代も含め昭和40年代後半以降が多いように思われる。
大きな要因は家庭環境。
中流から比較的裕福な家庭。進路や洋服、食事に至るまで子どもに選択させず親が選択やレールを敷いてきた環境の人が多い。そのため、首尾一貫感覚SOC(Sense of Coherence)が乏しくなる。
この世代が増えてくると社内でのコミュニケーションにギャップと障害が発生する。その対処法についても述べられているので参考になる。
従来のうつ病、現代型うつ、双極性2型障害、なんちゃってうつである偽装うつ。それらに加えて、アスペルガー症候群、パーソナリティ障害などの発達やコミュニケーション障害。
うつ病と双極性2型障害以外は薬物療法やカンセリングでは効果がないと言われる。発達障害については治療できないとされている。現実的な対処方法は、周りが理解することも大切であるが、本人に自覚させること。そして、これらの症状の人に乏しいのは、自分は悪くない。他人が悪い。責任転嫁することで自分を肯定する名人で、自分にも原因があるかもしれないと考えることができない精神の幼稚さがあり、自己改善する力や自己客観視が著しく低い。そのため、自己客観視を高めるための自己分析や深層心理へのアプローチなどの訓練や地道な作業が有効になると思われる。
今後はこれらの訓練や専門家養成の需要が増えていくと予測している。
正月早々読み応えがある内容だった。
読書時間:約1時間5分
本書はクアラルンプールの紀伊國屋書店で購入しています。 -
結局、「現代型うつ」は、サボりなのか病気なのかわからなかった。
たぶん、サボりのように見えるけど、病気なのだろう。
うつにならせないためには、SOC(Sence of Coherence)の能力を高めるとよいそうだ。
・どんなにつらいことに対しても、何らかの意味を見出せる感覚
・直面した困難な状況を、秩序だった明確な情報として受け止められる感覚
・どんなにつらいことに対しても、「やればできる」と思える感覚
最後に、「鈍感力」を高めるといいそうです!
実行してるかも(笑) -
吉野 聡 (著)
責任感が強い人がなりやすい「従来型うつ」に加えて、最近は自己主張の強い「現代型うつ」が目立つ。職場で上司は、うつの部下とどう向き合えばいいのか。「現代型うつ」世代の精神科産業医が提言する。 -
文字通り、現代型打つについて解説した一冊。
2013年出版と今となっては古いものの、十分参考になる一冊だった。 -
SOC(首尾一貫感覚)が健康生成に重要とのこと。
SOC-有意味感、把握可能感、処理可能感 -
首尾一貫感覚SOCは重要だ
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従来型と現代型の違いを分かりやすく説明。
青い鳥症候群ととらえたのはわかりやすい。
支援の仕方も具体的。
何度も読み直したい。 -
現代型うつのみならず、比較対象として出された従来型うつの実例と説明も多く、両方がとてもよく理解できた。
一般人向けの良書だと思う。
著者が専門家でありながら、一般人が抱く現代型うつ病患者に対する不満やストレスに実感をもって理解を示している点がよい。
そのうえで「それでも現代型うつは病気なのだ」ということを論理的にわかりやすく説いているところがすばらしいと思う。 -
この本はいいと思う、まだかじり読みしかしてないけど。
もともとこの精神科医の先生は尊敬しているんだけど、みずから「現代型うつ」世代という、1978年生まれの方。
中高年以上の方々には特に興味をもって目を通して欲しいな