- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784584125403
作品紹介・あらすじ
2020年に廃止となる、大学入試センター試験。以降は「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」と呼ばれる新たな試験が実施されることとなる。この事実をなんとなくでも知っている人というのは、少なくないだろう。しかし、このセンター試験廃止の背景に、文科省による大規模な教育改革が存在することを認識している人は、教育関係者でない限りほとんどいない。変わるのは入試だけではない。学校教育は、「知識の習得」を中心とした従来の学習から「知識の活用」を目指すスタイルへと大転換を迫られている。その際鍵を握るのは、教育の実践者である教師であることは間違いない。果たして、現在の教師たちに改革を実行し教育をアップデートすることは可能なのだろうか。
感想・レビュー・書評
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多様な意見を認めるということはよく言われていることだが、その上でお互いが納得できる答えを探すことが求められており、その力をどう養っていくのかが大事になると感じた。
正解のない問いに取り組むに当たって大事な3つのポイント(p77)を述べていたが、特に自分軸を持つことが、これからの日本の教育において重要な課題になるのではないか。宗教や哲学が他の国と比べ浸透していない日本で、自分の思想を持つということの難しさを痛感した。 -
<目次>
第1章 センター試験廃止は教育改革の序章に過ぎない
第2章 知識の「習得」から「活用」へ~変わる学校教育
第3章 日本の学校教育に欠落しているものは何か
第4章 教師の精神性こそが弊害となる
第5章 教師の役割はもう「教えること」ではない
<内容>
最近、もやもやしていた点をすっきりさせてくれた本。ただし、前作と違い、著者の筆は重い。理由は著者の周りの環境の変化もあるだろうが、第4章の所であろう。今までの「いい教師」が、この教育改革(がうまくいけば)で「ダメ教師」となる。教師が「教えること」から「プロデュース」することへ(もしくは「ファシリエーター」へ)変わること。言い換えると、「教えない」。課題を出したら見守る、サポートする、アドバイスする。答えは1つではない。答えを「教える」訳ではないからだ。そこについて、著者はまだしっくり来ていないのではないか。ベテランの教師は基本的に要らなくなる。
一方、現場にいる私にはこの本でも解けない疑問がある。この改革をきちんとやった問、どれくらいの生徒が付いてこれるのか。この教育改革には、基本的な「学力」が必要と思われるが、小中でちゃんと身につけてくるのだろうか?それなら思う存分、新しい「LEARNING」ができるのだが… -
2020年大学入試問題からの第2弾である。
帯には「新しい教育に適応できている先生は、ごくわずか。今こそ教える人間の資質が問われる」としている。つまり、文科省の改革を是としている立場である。また、はやりのアクティブラーニングの良さも書いている。
現役の教員(校長)であるらしいが、はっきり言って現状の子供を試ているとは思えない。
この本は高校を対象とした話であると思うが、アクティブラーニングやディベートを行う。または問のない答えを考え、自分の意見を述べる授業をしたらいいという。一見良さそうであるが、前提となる基礎学力には何も触れていない。
きちんとした議論や話し合いが成り立つには、グループの知識レベルがある程度一定でないと、成り立たない。大学生と中学生と小学生をグループにして、まともな授業が成り立つのかを考えればわかる。三度の飯よりも勉強が好きという子供もいれば、苦痛で仕方のない子供もいる。その嫌いである子供も含めて、これまでの教育で知識の強制をすることで一定の教養が身についてきた事実も無視されている。
また、この手の本にありがちなのは、外国の例を出して日本のダメさを指摘することである。これもまともな引用ならばよいが、やり方の一部を取り出して、結果と無理やり結びつけている。今以上の学力向上には、アクティブラーニングや答えのない問題を議論することではなく、教員が教育に集中できる環境を作ることであると確信している。 -
教育業界の課題が列挙されていて、網羅性がたかく読みやすい。
この本を入り口にして、
活用/ラーニング/クリティカルシンキング/ディベート/指導者ではない/ワークライフバランス/プロデューサー/ジョハリの窓/マインドを変える
といったテーマに関心を広げていきたくなる。 -
●2020年から教育が大きく変わる。なぜもっと早く変わらなかったのか不思議だ。
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2020年に廃止となる、大学入試センター試験。以降は「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」と呼ばれる新たな試験が実施されることとなる。この事実をなんとなくでも知っている人というのは、少なくないだろう。しかし、このセンター試験廃止の背景に、文科省による大規模な教育改革が存在することを認識している人は、教育関係者でない限りほとんどいない。変わるのは入試だけではない。学校教育は、「知識の習得」を中心とした従来の学習から「知識の活用」を目指すスタイルへと大転換を迫られている。その際鍵を握るのは、教育の実践者である教師であることは間違いない。果たして、現在の教師たちに改革を実行し教育をアップデートすることは可能なのだろうか。
答えのない「問い」を生み出すことがどこまでできるか。 -
現行の学習指導要領が大幅に改訂されて、教育についてかなり大きな範囲で見直しがなされている。そもそもその背景にあるのは大学入試の変化、つまりセンター試験の廃止とそれに伴う大学入試の変化である。そしてなぜ大学入試が変わるのかとなれば、社会で求められる人材の時代経過に伴う変化にある。そんな教育に関する大きな変化を前にして、教師がこれからどうあるべきか、現状の教育の問題点はどんなところなのかについて分かりやすく事例などを上げながら解説してくれている。
自分自身のことを振り返りながら読んでみたのだが、なるほどと心に刺さる内容がたくさんあった。授業の内容や、教え方の見直し、そもそもこの本的には、教えるということもニュアンスとしては違う気がするが、今後の参考になる部分が非常に多い。未知の大学入試やその先の未知の社会に出て行く人材を自分たちはどのように教えて行ったらいいのか、いろいろと考えさせられた。