大事なことはすべて立川談志に教わった

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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584135105

作品紹介・あらすじ

立川談志の弟子だからこそ書けた師匠の才能、鋭さ、怖さ、優しさ…

感想・レビュー・書評

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  • サラリーマンをやったことないから落語家になるよりもサラリーマンやっている方が楽というか甘いという意識が僕には若干わからないのだけど読みやすい語り口調で書かれていて気がついたら読み終わっていた。
    ドジだったと二つ目時代を語る談慶師匠の今だから気付けた、真打ちになってからわかった談志師匠の教えというか気持ちなんかはやはり熱いし、本当にシャイでカッコいいお師匠さんだったんだなあ。
    そういう方の元にいたという財産が潜伏期間というモラトリアムに似た時間が今や談慶師匠の武器になるという時間の流れも、いろんな職業に就いていても戦う武器になるのだろう。
    5つのことを覚えろと言われたら十のことを覚えようとする事で進化していく、相手の言った事の意図を読んで応えていくというのは何事にも必要な要素だなと読んで大納得。

    本にも出てくるシナリオライターの吾妻さんの専門学校の授業の中で僕が教室で談慶師匠の落語を観せていただいた時には談慶さんになられていたのだと読みながらその時間軸を把握したりしたのだった。

    落語家さんになるということというよりは惚れた師匠に弟子入りするというその関係性はやはり知らない世界である種の憧れがあるのは僕がよくしていただいてる方々が師弟関係である人が多いのも関係しているのかも。僕も憧れている人を勝手に師匠と思う気持ちがあるから。

    出会いと時間と想いが人を前に進ませていくんだな。

  • FB仲間の方が一生懸命奨めておられたので一読。
    師匠・立川談志の「無茶ぶり」をどうにかこなし、長い前座期間を経て、二つ目・真打ちへと昇進していく中で、師匠の思いを理解していく様子がよく整理されていて分かりやすかった。
    また、三遊亭兼好師が著者に語った「(五代目)円楽が男性的なら、談志師匠は女性的」という対比は、なるほど言い得て妙。
    著者の言葉でいうと、談志が「魅力的な性悪女」だったからこそ、弟子たちは振り向いてもらおうと必死になって、大小の「無茶ぶり」にも耐えてこられた。それが立川流の求心力だったわけである。
    その「魅力的な性悪女」亡き後の立川流は、さてどうなるのだろう?

  • 立川流の師匠方の本を読んでも、いつも思うのだが、これだけ惚れ込んだ相手を師匠と呼び、濃密な時間を過ごせたということは、とっても幸せなんではないか、ということだ。軽い嫉妬心さえ覚えてしまう。

    師匠も書かれているが、この本は落語や立川談志を知らない人が読んでも楽しめる人生訓的な要素も強いが、それも立川談志に惚れぬいた師匠だからこそ辿りつけた境地なんだと思う。

  • 立川談志師匠の元で厳しい修行を積んだはずの談慶さん。修行のエピソードを時には冗談も交えて柔かな語り口で書かれていて、非常に読みやすかった。会社勤めでも共感できること多々あり。

  • ワコールで3年間勤めた後に立川談志に入門した談慶。
    たった3年しか勤務してないのに何だかとてもサラリーマンぽい発想をする。

    この本も落語ファン、談志ファンよりもサラリーマンも意識して書かれているように読めた。第5章なんてズバリ「落語家流処世術とサラリーマン人生を楽しむ方法」っていうくらいだ。

    "想定外は自分の甘さだと引き受けよう"など9年に及ぶ前座時代の師匠からの無茶ぶりから学んだ教訓を説く。芸人という浮き草稼業と給与所得者を比べて、後者は安定しているという記述がチョクチョク出てきて、本人自身がまだそこに拘っているのが「深読み」出来る。
    組織に属することは悪いことじゃない、組織あっての人間なんだと、一見そこから自由に見える落語家の立場から逆説的エピソードを交えながら語るところからも、それは端々に感じられる。

    でもさ、与太郎とか落語で描かれる落伍者(談志がいうところの業の肯定?)は組織に属することすら出来なかったもの、組織に属することが困難な人、状況じゃないの?


    そういうところをサラリーマンぽさと表現したけれど、慶応卒だし、元々持っていたものかもしれない。

    噺家なのに文章の構成が下手というのもいただけない。
    ★ふたつだけど語られる逸話自体は面白いから★みっつ。
    因みに有名な冷蔵庫の中身腐らせ事件の張本人。

  • 終始丁寧で淡々と書かれていますが、それぞれの場面では修羅場だったと思います。
    でもそこで逃げずに立ち向かったからこそ、真打ちの御披露目に何百人もの方々にお祝いしていただけたのでしょう。

  • いい本だった。
    私は落語ファンであり、立川談志のファンである。
    採点が甘くなるのは勘弁してもらいたい。
    それでも、二つ目昇進に9年かかった時の苦悩や葛藤は、落語ファンならずとも共感を呼ぶと思う。

    ただ、惜しむらくは、タイトルに合わせたのか自身の体験を「サラリーマンでも〜」などと一般化してしまっている点。
    それぐらいは読者に任せてほしい。

    それでも、落語中興の祖である立川談志のエピソードが満載。ファンが楽しめるのは勿論だが、ファンならずとも面白いエピソードが盛りだくさん。
    オススメです。

  • 談慶師匠は、プロになるまでの修行の厳しい道のりを、ご自身の人生そのものの茨の道として描き出している。Twitterでも元気のない人に一読を奨めておられる。何か一つのことを極める必要がある人にとっての応援歌である。

  • 住宅ローン>あの厳しい立川流で真打ちになった方ですから大丈夫です。と即OK
    談志師匠の凄さ。

  • どうしても「赤めだか」と比較してしまうが、談慶の方が談春より出来が悪いので、こちらの方が親しみ易い。ただ、作品の完成度が高いのは「赤めだか」。

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著者プロフィール

落語立川流真打。著述家。1965年11月16日生まれ、長野県上田市出身。1988年慶應義塾大学卒業後、株式会社ワコール入社。営業マンとなるが、芸人の夢を諦めきれず、1990年吉本興行福岡一期生オーデションに合格し所属となる。1991年ワコールを退社、吉本興業も退所し、立川流Aコースに入門、「立川ワコール」を名乗る。2000年二つ目に昇進。師匠七代目立川談志による命名で「立川談慶」に改名。通常3年程度で二つ目になるが、前座修行10年は異例。2005年真打昇進(慶應義塾大学卒初の真打)。趣味の筋トレは50歳を超える今でもベンチプレス100㎏以上を上げる。
著作は落語家としては異色の20冊超え。『大事なことは立川談志に教わった』(KKベストセラーズ年)、『教養としての落語』(サンマーク出版)、『落語はこころの処方箋』(NHK出版)、『落語に学ぶ粗忽者の思考』(WAVE出版)、『不器用なまま、踊りきれ。 超訳 立川談志』(サンマーク出版)、『天才論 立川談志の凄み』(PHP新書)などがある。

「2022年 『武器としての落語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

立川談慶の作品

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