安倍晋三が第2の田中角栄になる日~「米中同盟」という国難

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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584135174

作品紹介・あらすじ

"尖閣紛争"で、日米安保は発動しない!安倍首相のジレンマとは何か。気鋭の国際ジャーナリストが警告する、「田中外交」の蹉跌と「安倍外交」の将来。

感想・レビュー・書評

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  • 中国、アメリカ、ソ連との外交、北朝鮮による拉致問題、尖閣諸島問題、TPP問題などについて、独自の視点から解説されている。

  • 安倍さんは、消費税を上げる、TPPにも参加、靖国神社へは参拝しないと、早くから予言し、それを的中させている青木さんの本。普通に考えて、碌な戦力も持てない日本の総理大臣が、アメリカの意向に正面から反対することは、戦争を覚悟することに等しい。だから、どれもこれも、できないのは、いわば当然なのである。やろうとしてトラの尾を踏んだのが、田中角栄であると本書は語っている。さて、それでも青木さんは安倍さんに望みを託しているように思える。国民がどれだけ目覚め、覚悟を持てるか?それが主流になってからこそ、首相が自由に行動できるのではないか。

  • 衝撃的だったのは、安部総理が月刊朝鮮2013年4月号で、NPT体制化で核兵器を保有する事はないと発言していた点(98頁)。

    この事は、今後日本が核武装の是非を議論をする上で、国内外からの圧力として大きな足枷となるのではないか。

    核武装せよ!と声高々に主張している『保守』の人達は、この事実について目を向けるべきだろう。

    上記以外に感じたのは、戦後の日本は、外交・安全保障・政治経済のフリーハンドを実質的にアメリカに奪われたままであることを、今の日本人は忘れてしまっているのではないかということ。

    さらに近頃の政治の動きと合わせると、安部総理は日本人の反米ナショナリズムの忘却を利用し、反中国・反韓国感情で反米感情を上書きし、アメリカの枠組み(戦後レジューム)を温存しようとしているのではないかとさえ感じた。

    この本では、安部総理がアメリカの虎の尾を踏む事に警戒を示しているが、逆に尻尾を振るのではないかと感じている。

    安部総理が、対外的にナショナリストに見えても、日本から見て本当にナショナリストかどうかは注視する必要があると感じた。

  • 発売と同時に購入してたのに、ようやく読み切りました。
    読み始めてからすぐ体調を崩してぐずぐずしていたので、この手の頭を使う本がなかなか読めなかったのです。

    田中角栄、という政治家に関して、リアルタイムで知っていることはほとんどありません。
    けれど青木さんは前々から、割と頻繁に田中角栄の名を出していたし、良くも悪くも有名な総理大臣経験者です。知識としてはある程度知っていました。
    今回は、安倍首相と比較しつつ、過去の日中関係から現在の状況などを 分析したり、日本と中国を取り囲む周辺国とのかかわりに言及したりと、内容はぎっしりと詰まっていると思います。
    そしてやはり日本にとっても中国にとっても重要な位置にいるアメリカについても、その思惑などが推測、解説されています。

    日中関係、日米関係だけでなく、現在の日本の置かれた状況を理解する上でも参考になる本です。

  • 残念ながら田中角栄氏が本当に活躍したころの記憶がありません。印象に残っているのは、中学生の頃に前総理大臣であった彼が逮捕されたことと、それ以降の闇将軍としての噂です。

    確かにある程度の資金を貯めるまでは戦後のドサクサ時にいろんなことをやったかもしれませんが、関越自動車道や新幹線を作れるような素地をつくったのは偉大な功績と思います。また、米国に先駆けて中国と国交を結んだのも、エネルギー資源の確保のことを考えていたのではと思っています。

    さて、この本は現在(2013.10)の総理大臣である安倍氏が田中角栄になる、という観点から書かれています。安倍氏は二度目の総理になってからは、一度目の時に強調していたような憲法改正は強調していないように思えますが、最終的には憲法改正(その前に憲法改正の手続きを決めた決まりを変更(p203))を考えていると思います。

    日本の歴史を見ても、常に日本はその時々の覇権国と、同盟を結んでいます(蘭→英→米)が、今後はどうなるのでしょうか。私の生きている間に、その相手国は変わるのでしょうか、という想いを起こさせてくれた本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・オバマ大統領は「尖閣は安保5条の適用範囲である」と言っていない、言ったのは前ヒラリー国務長官、新ケリー国務長官、レオン前国防長官という閣僚(p31)

    ・歴代アメリカ大統領が要求してきた「拉致問題棚上げ」は、安倍氏にとっては譲れない一線(p36)

    ・領土問題については、ロシアのほうが話し合いができる共通の土壌があるA(p41)

    ・長州と会津の歴史観が合わないのだから、日米の歴史観があわないのは異常ではない(p47)

    ・日中国交正常化を契機に、日本はそれまで国交を結んでいた台湾と断交している(p56)

    ・中国を訪問した田中角栄は周恩来と喧々諤々の論争をしている、最大の関心事は中ソ対立であり、ソ連を牽制するための日中和解こそが最優先事項であった、戦争賠償ですら二の次で、尖閣・靖国問題は議論のテーブルにすらのらなかった(p57)

    ・日本政府が中国と国交正常化を成し遂げて、アメリカにできないような対中技術援助を行って資源も押さえていった、その一つが出光で、中国天津からの石油を日本に運び神戸で製錬した(p75)

    ・追い詰められた三木政権は、1976年にNPTを批准し、日本の核武装を含めた自主防衛を目指す道は閉ざされた(p78)

    ・日本の対中ODAは、経済成長のために日本企業がプラントを販売したが、中国の資金問題のため、プラント代の立替金として始まった(p85)
    ・アメリカは、北朝鮮の核そのものよりも、それに触発された韓国・日本の核武装を恐れている(p94)

    ・田中角栄はリアリスト、外交目的も、中ソ・北朝鮮の資源確保が理由の一つである、資源なき日本の繁栄は、長期安定的なエネルギー供給にあるということ(p111)

    ・北朝鮮にはインフラが整備されていないので、資源を港まで運べない。そのインフラを整備できる資金はどの国からも入ってこない、日本のみは可能性あり。2002年の日朝平壌宣言で、最低でも1兆円の投資を約束している(p112)

    ・拉致問題は、はっきり言って「横田めぐみ」のみ、それ以外の人は家族会といっても集会に人が集まらない(p136)

    ・中国の国内市場に見切りをつけ、海外市場に着目している赤い国有企業(全世界30位以内に6社)は、自国がTPPに参加することを内心では喜んでいる(p146)

    ・アメリカ内でも、国際的な金融グループで中国に最大の投資をしている「シティグループ」や「モルガンスタンレー」は米中が対立することを望んでいない(p149)

    ・日本が最新鋭の技術を公的資金で援助して大気汚染をきれいにする対策を、中国の、貴陽・重慶・大連の3都市をモデル地区として300億円供与したが、貴陽以外は明確な効果がなかったと外務省はコメント(p180)

    ・中国進出の勝ち組であった「資生堂」の売上まで落ちてきている、伊勢丹は6つのうち4店舗が撤退、西武は全店撤退(2012)、ヤマダ電機も徹底する方向、トヨタ・日産・ホンダ以外のマツダ、三菱は厳しい(p184)

    ・清朝時代、イギリスと「茶」で外貨を稼ぐことで世界のGDPの30%を稼いでいた(p186)

    2013年10月20日作成

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