- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784584136867
感想・レビュー・書評
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・未徹在(みてつざい)「未だ徹せず」。未熟であることを意識し続けること、それは「負け」に学ぶことにほかならない。「勝ち」は1を教えてくれ、「負け」は99を教えてくれる。
・普通、勝って組織は壊さない。次も勝とうとするには組織が有効に機能した何よりの証。だが、ファイターズは勝ったから壊す、そういう球団だ。勝つと時間的な余裕が生まれ、それをチャンスと捉え、あえて壊す(スクラップ・アンド・ビルド)。そうしなければ長いスパンで見たときの次への準備が遅れてしまう、そういう考え方。組織を壊すと余計なことがいっぱい起こる。でも、余計なことが起こらないと、何が良くて何が悪いのか、何が必要で、何が必要じゃないのか、そういったものがみえてこない。それを得るためには、多少の混乱や犠牲もやむなしという姿勢。チームの現場の価値観は「いま優勝するため」に戦うが、球団のフロントは、優勝を狙えるチームを継続的に作り続けていくことが最優先。5年先、10年先を見据えた明確なビジョンを持っていなければ、あえて壊すという発想は出てこない。
・野球選手だけに限らず、あらゆる世界に共通していえる「一流の条件」は、「気づける」、「考えられる」、「周囲が見られる」、「もっとよくなりたいという思いが強い」、「自分の力を過信しない」、そして「最後は自分を信じられる」こと。
・「二刀流」は誰が差し向けたものでもなく、時代のうねりがそうさせた。二刀流への挑戦が本当の意味で評価されるのは、きっとまだまだ先のことだが、それは必ず歴史になる。それを信じて、前に進むだけ。人にはそれぞれ天に与えられた役目があり、使命がある。だからこそ、大谷翔平にはやるべきことがある。
・日米を代表する常勝軍団でプレーした松井秀喜さんは「ずっとチームが勝つことだけを考えてプレーしてきた。最後までそれができたことを誇りに思う」と現役生活を振り返った。彼が誰よりも尊敬される選手であり続けた最大の要因はここにある。
・「いま、よければいい」はダメ。「人のために尽くし切れるか」こそが最大のテーマ。みんな最初は自分のためにプレーする。それがやがて自分を離れて、ファンのために、チームのために、そういった気持ちが勝さるようになり、気付けば誰かに喜んでもらうということが大きな原動力となっている。いつかは「ファイターズの野球ってそういう野球だよね」とファンの皆さんに言ってもらえるようになればいいなと思っている。
・書籍『論語と算盤』に「それただ忠恕のみ」とある。「忠恕」とは思いやりがある真っ直ぐな心という意味で、それこそが人の歩むべき道にして立身の基礎と説く。選手は活躍すればヒーローインタビューを受けられるが、名ジャッジをした審判がお立ち台に上がることはない。正しくて当たり前で、間違ったときだけ大きくクローズアップされる審判の仕事は、それだけプレッシャーも大きい。そんな彼らに対し、どう接し、どう振る舞うべきか、その考え方がしっかりしていれば行動もブレたりしないはず。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ソフトバンク工藤監督の本を読んでからの連続読み。言ってることは似ていた。気づきと、問いかけと、そして日々学び続けること。自分がわかったような顔するのが一番ダメだ、ということ。それから情熱ね。当たり前のようだけど凡人にはそれが難しいんだけどでもやれないこともなさそうな提言の数々。謙虚に成長し続ける。
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栗山監督!ファンです。
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未徹在という言葉は思い出すのに非常に良い言葉。
上手くいっている時こそ心に留めたい。 -
●ファイターズの日本シリーズ優勝を受けて、「栗の樹ファーム」を訪問した際、そこでこの本が販売されており、監督のサイン本だったことから記念に購入。
●日本シリーズとペナントレースを、誰も考えつかないような采配で優勝に導いた監督の考え方や行動の仕方から何かを学ぶ。
●『論語』や、吉田松陰が出てくる野球監督の本など、見たことも聞いたこともない。人生哲学が語れて尊敬できる、新しいタイプの野球監督だ。 -
「選手への愛が溢れて止まらない」
本書の栗山監督の"熱量"を表現しようと思ったら、
そんな言葉が思い浮かんだ。
タイトルの「未徹在」の意は
「自分が未熟であることを忘れるな」
2017年シーズンで栗山政権も6期目になるが、
チームとしての最適・最善を考え、常に頭を悩ます
監督の姿は、まるで熱血教師のよう。
(栗山監督は教員免許を持っていたような気も)
プロ野球の指導者なら、栗山は野村・落合とは
また違った、選手ひとりひとりにきちんと目をかけ、
愛する新しい監督の姿なんだと思う。
日ハムファンじゃなくても楽しめる一冊。
私は仕事への向き合い方の参考にもしています。 -
北海道日本ハムファイターズの栗山監督による、自身が監督生活4年間で学んだことや、監督の目から見た選手やスタッフたちについて感じていることなどを綴った一冊です。監督として野球に対峙する為に必要なことなど、野球に誠実なところが伝わってきた良書でした。