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- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784585103660
作品紹介・あらすじ
理想と現実の相剋に苦悩し、孤独のなかに永遠の世界を求め飛翔したひとりの少女・清水澄子。信州・上田が生んだ夭折の文学少女、その短篇小説・戯曲・随想・詩・短歌を収録。青春の寂しさと悲しさをあますところなく伝える名作。
感想・レビュー・書評
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清水澄子の詩や短歌はどれも美しい。
いま倒れゆくかのように儚げだ。
文学だけが逃げ込める場であったという。
いや、彼女の早熟な能力ゆえに、文学の世界のほうが引き寄せられ、彼女を連れ去ってしまったのではないか。
寂しいと書けば書くほど、より強い寂しさに堕ちていく。
彼女が望んだ永遠の世界は、彼女を癒すものだったのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
寂寥感と不安に苛まれ、自らを「劣等な人間」と思い、プラトンのイデアの境を信じ、この世を1つ超えた世界にある永遠の世界に住む事を選択し、大正14年15歳で鉄道自殺した少女の随想、小説、戯曲、日記に語りかける体裁の日記、詩、短歌を収めた遺稿集。どの作品にも「寂しい」という語が頻出する。コスモスを愛で、少女の心の様な色、落ち着いた色という紫色を愛し、「悲しみの去るにあらねど何とのう物書く時はこころなぐさむ」という短歌に見る様に書物を愛した少女の囁きが詰まっている。
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