- Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591121634
作品紹介・あらすじ
長い船旅を終えて帰国した妻は、どこか他人のようなよそよそしさを漂わせていた。愛への渇望と不安に苛まれる男の悲哀(マンスフィールド『見知らぬ人』)。戦争によって没落し、嘘と虚栄を振り回すようになった大人たち。そんな中、一人の叔母の静かな佇まいが深い印象を残す(野溝七生子『ヌマ叔母さん』)。神秘に満ちた幼年時代の庭は、いつしか遠い記憶になってしまった。「アヤメ」の名を持つ女性との出会いがもたらした再生への軌跡(ヘッセ『アヤメ』)。澄んだ瞳が映し出す、生命に満ちた物語。
感想・レビュー・書評
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鏡、というテーマはどう取ればいいのだろう?野溝七生子の『ヌマ叔母さん』は、女の敵は女、という感じで現代ではまったくウケない類の話なのだが、印象に残った。42/100
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「見知らぬ人」
独占欲がすごい。
確かにジェイニーは魅力的な女性だと感じた。
しかし、ハモンドはなんだか粘着質で、それでジェイニーは長旅に出たのだろうか、と思ってしまう。
「ヌマ叔母さん」
醜い女たち。
その中で、ひとり純真だったヌマ叔母さん。
一族って何だ。
そんなもの、捨ててしまってもいいのに。
まさに天使のような人だ。
優しく潔い。
女の、人としての鑑、ということで、「鏡」か?
「アヤメ」
純真な幼年の頃の心は、世界の美しさや息遣い、真実を感じ見ていた。
一人の女性に導かれるように、そんな心を取り戻す。
幻想的な終わり方だった。 -
「鏡」というタイトルですが、物としての鏡が出てくる話は収められていません。小道具としても出てきません。
強いて言えば、登場人物たちの瞳に映し出されたもの、が共通でしょうか?
1編くらいはあまりひねらないテーマにストレートな物が読みたかったかな・・・。
装画 / 安井 寿磨子
装幀・題字 / 緒方 修一
底本 / 『暖炉 野溝七生子短篇全集』展望社、『メルヒェン』新潮文庫。※マンスフィールド「見知らぬ人」は新訳。 -
マンスフィールド『見知らぬ人』
野溝七生子『ヌマ叔母さん』
ヘッセ『アヤメ』 -
長い船旅を終えて帰宅した妻を迎えた夫。妻が船内で一人の青年の死を看取った事から夫の中に生まれた猜疑心。マンスフィールド『見知らぬ人』、嫂から嘘を振りまかれたヌマ。でも子供は本当の事を知っている。没落した家族の中でも静かな佇まいの野溝七生子『ヌマ叔母さん』、幼い頃花園のアヤメを愛した少年は大人になりその頃の事は遠い記憶の忘却の彼方へ。求婚した女性の名「イリス」から何かを連想しようとする心の動きがあるが思い出せず、イリスから指示されてそれを探す旅路を幻想的に描いたヘッセ『アヤメ』の3篇を収録したアンソロジー。
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マンスフィールド「見知らぬ人」
野溝七生子「ヌマ叔母さん」
ヘッセ「アヤメ」
マンスフィールドは昔とまた違う印象。
「ヌマ叔母さん」面白かったな。