(086)灼 (百年文庫 86)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (135ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121740

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  • 戦争にまつわる3篇。
    ドイツ  ヴィーヒェルト「母」
    イギリス キプリング「メアリ・ポストゲイト」
    日本   原民喜「夏の花」

    夏の花は、被害のなまなましさに休み休みでないと読み切れない苦しさがあった。

    まだうまくまとまらない。
    どの国にも人間がいて、戦争の苦しさをいやというほど感じている、文学はそういものをつないでくれる

  • ・ヴィーヒェルト「母」◎
    かなりインパクトあった。
    密告により強制収容所に入れられた母が家に戻ってくる。家には家族と兵隊がいる。そして家のある部屋にはなにか不気味な者のいる気配が示唆される。それはこの家の息子でナチの党員だった。
    正義や悪といったものがおままごとのように思える、死をまっすぐに見据えるような深く暗い穴のような話だ。
    息子の部屋にかかった赤い布など、まるで絵に見るような文章も良し。

    ・キプリング「メアリ・ポストゲイト」○
    イギリス。これも大戦中の話。
    お手伝いさんとして家に住み込むメアリ、それから養子でやってきたウイン。ウインは戦闘機の試乗中に墜落して死んでしまうが、なにやら淡々と描かれる。町が爆撃にあい、子供が殺されるのを見たメアリ。
    敵軍の戦闘機が帰りに墜落し、兵士が木の根元でひん死のところを見つける。
    ここで、非常につかみどころのなかったメアリという人物の我が、急ににゅっと現われて、それが妙に怖い。
    いい意味で、「母」のような善悪を越えるような哲学とか、博愛とか、そういうものが綺麗さっぱりない。もっとツルッとして槍のように単純に尖ったもの。それが、女の怖さのように描かれているようにも見えなくもない。

    ・原民善「夏の花」×
    原爆投下時の広島。描写が、ただひたすらに生々しい。
    ただし小説として読んだときにちっとも面白くない。上二作と比べちゃうと特に。ここらへんが日本の小説のありようの、すごく難しい点だとはつくづく思ったのだけれど。

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