([お]7-3)ばら色タイムカプセル (ポプラ文庫 お 7-3)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591129142

作品紹介・あらすじ

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 『真夜中のパン屋さん』で大人気の著者が描く
  ヘヴィな問題を愛とやさしさで包んだ物語

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      ★特別収録★短編小説
      「ボーイズ オン ザ ライン」
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“ある思い”を抱える13歳の家出少女・奏が、崖から飛び込んだ
末に流れ着いたのは、女性専用の老人ホームだった。
一筋縄ではいかぬ老女たちと過ごした時間は老いること、死ぬこと、
そして「生きること」を教えてくれる。
しかし「庭のばら園には死体が埋まっている」という噂が思わぬ事件
を引き起こし……。

感想・レビュー・書評

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  • 【あらすじ】
    『私も60年後、彼女たちみたいに笑っていたい』

    13歳の家出少女・奏(かなで)が流れ着いた場所は、海が見える町にたたずむ、不思議な老人ホーム『ラヴィアンローズ』だった。
    咲き誇る薔薇が自慢のこの施設で、年齢を詐称して働きはじめた奏は、薔薇園に隠されたある噂を知ることに……。
    40年以上の時を超えてその秘密が明かされるとき、止まっていた、みんなの時間がふたたび動き出す。

    “ある思い”を抱える13歳の家出少女・奏が流れ着いたのは女性専用の老人ホームだった。一筋縄ではいかぬ老女たちと過ごした時間は老いること、死ぬこと、そして「生きること」を教えてくれる。しかし「庭のばら園には死体が埋まっている」という噂が思わぬ事件を引き起こし…。特別収録・短編小説『ボーイズオンザライン』。

    【感想】

  • 13歳にして、ストレスで総白髪になってしまった女の子、奏(かなで)。
    幼い頃に親が離婚し、父子家庭で育ってきたが、その父親の再婚をきっかけに、家出する。
    そして辿り着いた先は、老人ホーム。
    元気なおばあちゃんたちに囲まれて戸惑いながらも、生活のために、施設でアルバイトをすることに。

    歌舞伎に夢中になってはしゃぐ乙女な3人組のおばあちゃんたち。
    死ぬことを恐れない、病気も笑いに変えて、あっけらかんと話すおばあちゃんたち。

    彼女たちと生活を共にしながら、奏は生きること、死ぬことについて、あるいは友だちについて、学ぶことになる。

    そのうち、老人ホームの庭の薔薇の下に、死体が埋まっている、という噂を聞いて…。

    おばあちゃんたちの底抜けの明るさ、人生を達観した末の楽観的な生き方が、とにかく眩しい。
    おばあちゃんだけど、乙女。
    70歳のキラキラした姿と、13歳の人生を諦めている姿が対照的。
    私もキラキラした70歳になりたいな。
    いつまでも夢中になれるものがあるっていいな。
    年老いていくって、それほど悲しいことではないのかもしれないと思わせる物語。

  • やっぱり大沼作品は爽やかに見せかけて的確にハートボコッてくるよな・・・。
    先生作品の登場人物たちはみんな良くも悪くも親を、家族を重く考えてるんだよなあ・・・すごく大事なことだけど、確かに束縛されてしまってる感じが・・・切ないな・・・。

  • 13歳の奏がパパと妊娠した新しいママに遠慮して、離婚したママの所に行く振りをして家出を企て、紆余曲折の末、老人ホームで働くことになるっていう話。

    歌舞伎好きなミーハートリオとか薔薇に命を懸けるオーナーとか、老人ホームだから人の生き死にはあるかもしれないけど、全体としてはホンワカした流れで終わるかと思いきや、過去の殺傷事件とか奏でちゃんの殺意とか出てきて、ちょっとビックリ。

    高校生ならともかく、中学生が家出してまったくの独力で自立するのは、さすがに難しいんじゃないかなぁ。と思ったり。
    奏ちゃんは年齢を20歳と詐称してたけど、ちょっと無理があるよ。

  • 人が元気になるのを読むのはいい。
    登場人物も魅力的。

  • 老人ホームには詳しいわたしだけに、現実にはあり得ないと感じたが、ひと昔前ならあり得たのかも。一度はしてみたいと考えてた家出と、殺人の世界がうまくマッチしてて読みやすかった。

  • “ある思い”を抱える13歳の家出少女・奏が、崖から飛び込んだ
    末に流れ着いたのは、女性専用の老人ホームだった。
    一筋縄ではいかぬ老女たちと過ごした時間は老いること、死ぬこと、
    そして「生きること」を教えてくれる。
    しかし「庭のばら園には死体が埋まっている」という噂が思わぬ事件
    を引き起こし……。

  • こんなシチュエーションはないだろうと思いつつも、物語として楽しく読めました。
    ベテランの乙女たちが持つ可愛いさと逞しさ、達観した人生観は圧巻です。
    よくそこまでいろんなエピソードが思いつくものだと感心しました。

  • 家出少女・奏が、女性専用老人ホーム『ラヴィアンローズ』の入居者の女性たちとの交流を通して、成長していく物語。
    抱えてるものが大きくても、常識では考えられなかったとしても、日常は営まれ続けて、その時の女性たちはとても魅力的。
    私も年を重ねて、あんなに物事に前向きに取り組めたらいいなぁって思います。

  • 13歳という生命力と希望に満ちた年代の主人公が、実は闇を抱えていたり。
    老人ホームに入居している人たちの方が、人生を謳歌していたり。
    また、死をテーマに扱っているのだが、誰かが死ぬ瞬間の描写つまり「死」そのものはないというのも面白い。
    (葬式に参列するシーンはあるけど)
    そして希望を持たせるエンディングが爽やかだ。

    他方、同い年の男の子からすると完全完璧な「ボーイミーツガール」形式の物語。
    もう惚れるしかないでしょうというシチュエーション。
    十代前半の恋愛というのは、成就しないとしても美しい思い出になるよなぁ、
    などという感慨があって楽しく読めた。

    物語に出てきたお気に入りの台詞、「友情は、年寄りの道楽です」
    ああ、そうかもしれないよねー!

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著者プロフィール

1975年、岐阜県生まれ。2005年に「ゆくとし くるとし」で第9回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、小説家としてデビュー。『真夜中のパン屋さん』で注目を集める。

「2019年 『路地裏のほたる食堂 3つの嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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