少年十字軍 (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
3.57
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本棚登録 : 437
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591134214

感想・レビュー・書評

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  • 作者の持ち味である幻想的な風味は抑え気味ですが、中世の様子の描写や、生き生きとした子供達の可愛らしさと哀れさなど楽しめました。
    然し何とも感想の書きにくい…いえ、上手く言語化出来ない複雑で様々な思いとテーマが絡まりあっていて、それらを一つの物語として見事に纏め上げた作者の力量の素晴らしさよ。

  • 中世ヨーロッパ、少年十字軍。
    史実が題材。できる限りの大団円を描いたという感じなので、痛々しくはない。
    児童劇団用のあらすじということなのかな。

  • 天使ガブリエルからお告げを告げられ、聖地エルサレムに行くことになったエティエンヌ。

    そして、その旅に同行することになった、記憶と痛覚のない男ガブリエル。彼らの子供たちを連れた行進劇を描く。

    奇跡ってキリスト教ではよくある話ですが、レイモンドのようにねつ造してしまった人も沢山いるんでしょうね。なんだか私が日本人だからか、宗教というだけで怪しい。

    でも、エティエンヌの治癒能力は本物だったのだから、神は何がしたかったのだろう。そして、記憶を取り戻し、自分が貴族であり、十字軍に参加していたと思いだしたガブリエルはこれからどうなるのか。

    簡単な道ではないと思いますが、頑張ってほしいです。

  • ん……おお、お?
    皆川先生には珍しいハッピーエンド?なんもかんもすべてまあるく収まった。
    だがそれが少し物足りなく感じてしまう!調教されてる!皆川先生に調教されてる!ああ!
    ドミニクとジャコブにニヤニヤしてました。人間いっぱいいても書き分けられててすごいな。
    結局これからレイモンがどうなるやら。まあ最後の化けの皮剥がれるとこはスッキリしたな。
    カドックの壊れぶりが良かったですねえ。

    しかし瀧夜叉でも思ったけれど、「仏は救いにならなんだ」「神は非在だ」という、真っ向から否定するすぱーんとした切れ味が良い。いねえよそんなもん!みたいな。でも、救いはあるんだよ、という……
    子供むけ?だからかマイルド皆川先生でした。

  • 羊飼いの少年を筆頭に数人で始めたエルサレム巡礼が、周りの思惑で大規模化していく話。
    史実の結末に比べれば、救いのある結末。

  • 「アルモニカ・デュアボリカ」ですっかりはまった皆川さん。あの時のようなエグさや暗さがあまりなくて、文体も何だか読みやすかった。でも、パンチが。。「アルモニカ~」がすごーーく良かったもんなぁ。

  • 2014.09.28

  • 古屋さんの「インノサン…」を読んでいたので覚悟はできていたけど、あちらに比べれば大分救いのある展開でよかった。
    信じればそこには神も奇跡も存在する。
    無知と盲信、無垢と信仰。
    神はあるのか。
    みたいな。まあ結局、何にも求めなければいいのだなー。何もしない神に意味があるのかは知らん。

  • 少年十字軍、面白そうな題材とは裏腹に、その実態は何も無い。事の顛末ではなくて、その何も無さにただただ哀しくなります。信じる対象は、中身の無い統率者であったり、頼るものは実は不安で揺らいでいる。子供たちは何かに頼りきって旅を続ける。上手く言えませんが、なにか嫌な部分に触れるものがあります。
    ルーとガブリエルがいてくれて良かったなあと。この2人は物語らしい物語を展開してました。安心。
    装丁はすごく好み。

  • 結末が唐突だった。
    それ以外は、良かった。
    作者にはまた、ガレー船の話を書いて欲しいな。
    ルーが誰よりも強い気がして読んでいて彼の部分だけは安心した。

著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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