「わたしの物語」を生きる (きみが世界を変えるなら)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591150740

感想・レビュー・書評

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  • 《きみが、いま苦しいと思うのは、
    きみの人生をいきていないからだ。
    人はだれもが「わたしの物語」の主人公。
    子ども時代は、その物語を見つけるためにある。
    気づかないだけで、
    それは、きみのすぐそばにあるんだよ。》


    ・「自分に合った人生」をみつけること
    ・まず、なにかをやってみる
    ・好きでえらんだことは、いくらだってできる
    ・気づいたら、居場所ができあがることもある
    ・ピンチはチャンス
    ・その場から抜けだすこと(学校、家庭)
    ・なんのきっかけでものを好きになるのかわからない
    ・失敗したときこそ、自分をみつめる
    ・求められる場所で居場所をみつける
    ・大事なのは失敗したあと
    ・失敗は成功のステップ
    ・何度だってやり直しができる
    ・他人を認める
    ・相手の立場に立ってものを考える


    石井光太さんの本を、食い入るように見つめていた時がある。『地を這う祈り』だったか、『レンタルチャイルド』だったか。あの時の衝撃は忘れられない。著者がそんな人だからこそ、言葉に力があると思った。
    書いてある言葉をざっと抜き出してみたが、これだけではどうにも薄っぺらく感じるだろうか。
    実際には、それぞれいろいろな人の実例を出して説明してくれていて、わかりやすく納得のいく構成になっていると思う。

    社会で落ちこぼれというレッテルを貼られていたり、そうでなくても疎外感を感じている子どもが、今、どれぐらいいるだろうか。
    多かれ少なかれ障害というハンディキャップを持っていたり、そうでなくても個性が他人と相容れなかったり理解されなかったり、家庭に難があったり、自分を出すことが出来なかったり…、こう書き綴っていくと、いかにも生きにくそうな世の中である。
    だからといって昔が良かったとは私は思わないが、それでいて現代のこの閉塞感は何だろうか。
    日本人とは、日本社会とは、といったことを最近よく考える。
    さて、そんな世の中に生まれてきた子どもたちは、そのような堅苦しい規範の中で、自分を型に押し込めながら生きている。(のだろうか?果たしてそうだろうか)
    まぁそうだとして、その中で、どうやって自分を守っていくか?という本なのだと思った。

    『きみが世界を変えるなら
      「わたしの物語」を生きる』

    タイトルがとてもいいと思う。
    結局、自分の世界は自分だけのものなのだ。
    人間なんて一瞬で死んでしまうものなんだもの。
    自分の人生を謳歌しなくては。
    そのためには、意図して切り捨てなければならないものがたくさんある。周囲の関係ない人の声だとか、時には家族の声だったとしても。

    我々は、「他人に迷惑をかけずに正しく生きること」を求めるあまり、どこにもぶつからない人生を生きることを選んでしまったのかなぁ?そんなことは不可能だから、今こんなに苦しいのかなぁ。

    話は少し逸れるが、『えんとつ町のプペル』を見た多くの人が感動して涙していて、けれど、本当はそんな多くの人が他人を叩いたり嘲笑したりする群衆でもあるという矛盾。
    だから、「失敗しても大丈夫。社会は厳しいところじゃない」という石井さんの言葉に続く、「他人を認める」「相手の立場に立ってものを考える」ことが大切という言葉が大きな意味を持つ。

    社会に弾かれて一人っきりで苦しんでしまっている人がたくさんいるというのに、そんな人間が、他人を社会から弾いて安心してしまう社会なんて。
    「わたしの物語」を生きるということは、決して「わたしだけの価値観」で生きるということではない。
    自分を尊重するということは、他人を尊重することにもほかならない。

    「わたしの物語」を生きるということは、だれもが「わたしの物語」を生きられる社会を作っていくということ。

    プペルのコメント欄を見ていて感じた疑問の答えが、ここにあるように思った。


    さて問題は、今問題を抱えていて、心にむしゃくしゃした思いを抱えている彼らが、この本をどうしたら読んでくれるのか、ということなのだ。「本を読む」ということは、もしかしたらとても贅沢なことで、心にある程度余裕がないと出来ないことなのかもしれない。
    この本を読んで、ああそうか、とどれだけの子どもが思ってくれるだろうか。それ以前に、目の前に本を置いて、どれだけの子どもたちがそれを開いてくれるだろうか。ここでは支援は本を手渡す、ということではなくて、中身を「伝える」ということが大事だろうか。

  • とうとう3作目です。
    本作はいかに自分の意志で選び取った道を歩んで行くか。夢なんて大それたものでなくとも、色々体験して楽しいと思える事を夢中にやるべきだという本です。
    大人になるとベターだと思われる人生が薄っすら分かる為に、どうしても子供に意見を押し付け気味です。子どもの頃の事考えると、自分の意見より大人の考えの方が正しいと思っていたし、逆らっても良い事なんてないと思っていたのは確かです。
    でも、子供にもやりたいことはあるし、意見だってありました。声に出して大人に分かってもらうというのは大事な事ですね。自分だって子供から真摯し言われたら何とかしてやりたいと思うもの。
    時が解決しない問題「いじめ」「虐待」「貧困」等は大人を頼っていいんだ。それは逃げる事にはならない。よりよい人選を選ぶためにとにかく声を出して欲しい。そう繰り返し語る石井光太の言葉は信じられる。是非この本を通じて救われる子供が居て欲しいものであります。

  • ん~、どう勧めよう。
    ぱっと読める…かな。

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著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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