エンディングドレス

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591155103

作品紹介・あらすじ

32歳の若さで夫に先立たれてしまった麻緒(あさお)は、自らも死ぬ準備をするうち、
刺繍洋品店で小さなポスターを見つける。

 ◆終末の洋裁教室◆
講師 小針ゆふ子  毎週日曜午後一時から
 春ははじまりの季節。
 さあ、死に支度をはじめましょう。
 あなただけの死に装束を、手づくりで。

死に装束=エンディングドレスを縫う教室。
人生最後に着る服を自分でつくるということに、興味が湧いた。
教室へ足を運んだ麻緒が出会ったのは、ミステリアスな先生と、3人の陽気なおばあさん。
聞けば、エンディングドレスを縫う前に、いくつかの課題があるという。

はたちの時にいちばん気に入っていた服
十五歳の時に憧れていた服
自分以外のだれかのための服
自己紹介代わりの一着……

先生やおばあさんトリオの助けを借りながら、麻緒は洋服づくりに無心で取り組んでいく。
夫の弦一郎に、命にかかわる持病があることはずっと知っていた。
それでも二人は、一緒にいることを選んだ。
洋服の思い出が、忘れていた想いや出来事を次々に引き出して――。

あつい涙があふれる! 再生のその先を描く、希望に満ちた傑作長編

*

今はもう手元にはない、昔大好きでよく着ていた服を思い出した。
その手触りや着心地は、恐がりな自分をどんなに励ましてくれただろう。
人は生まれることも死ぬことも自分では選べないけれど、
何を纏って生きるかは選択することができる。
――山本文緒(作家)

*

連載時から、熱い感想が続々!

主人公が自殺を考えているとは思えない、
暗くないどころか、不思議な心地よさのある冒頭から一気に引き込まれた。
――30代女性

何度読んでも泣いてしまうシーンがあります。
悲しい涙ではなく、あまりの優しさに胸がいっぱいになって泣けてきてしまう。
――40代女性

おばあさんトリオや先生の過去のエピソードも印象的。
洋服をつくることや纏うことと、生きるということは似ている気がした。
――30代男性

*

蛭田亜紗子(ひるた・あさこ)
1979年北海道札幌市生まれ、在住。2008年第7回「女による女のためのR-18 文学賞」大賞を受賞。10年、『自縄自縛の私』を刊行しデビュー。
著書に『人肌ショコラリキュール』『愛を振り込む』『フィッターXの異常な愛情』『凛』などがある。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の麻緒は32歳にして夫に先立たれ、自身も後を追う計画を練るうちにエンディングドレス(死に装束)を作る教室に通うことになる…。講師は小針ゆふ子先生、受講生は麻緒と3人のおばあちゃんたち…エンディングドレスを手がける前にいくつかの課題に取り組むことが必要ということだった…。講師の小針先生やおばあちゃんたちと課題に取り組みながら、それぞれの人生に触れ、また自身の人生を振り返ったとき…麻緒の心に変化が生じる…。

    まず、この作品の装丁…重いテーマなのになんだか凄く可愛いことに惹かれました!読んでみて、序盤は切なくてラストどうなっちゃうのか不安な気持ちにもなったけれど、麻緒が前向きな気持ちを持てたことが嬉しかったなぁ…晴れやかな読後感を持つことができました。

    そして、ふと自分が最期の時どんな姿で旅立つのか…思いをはせてしまいました。今まで生きてきて、思い入れの深い一着ってあるのかなって考えて、思いつかない(汗)。なら手作り??でも洋裁できるほど器用じゃないし…むしろ不器用だし!とか…いろいろなことを考える契機になった作品です。

    • つくねさん
      かなさん、こんにちは!

      ウエディングドレスの覚え違いかって思ったら
      エンディングドレスであってるんですねww
      死に装束つくる教室が...
      かなさん、こんにちは!

      ウエディングドレスの覚え違いかって思ったら
      エンディングドレスであってるんですねww
      死に装束つくる教室があるなんて面白杉
      興味津々で、これは一度よんでみたく思いました
      かなさんの読書記録も拝見したんですけど(棒グラフとかの)
      1日1冊のペースで読まれてるなんて
      凄いww 
      2023/02/18
    • かなさん
      しじみさん、こんばんは!
      この作品、エンディングドレスなのに
      この表紙、なんか、可愛いなぁ~って思って手にしましたよ♪

      最近は、終...
      しじみさん、こんばんは!
      この作品、エンディングドレスなのに
      この表紙、なんか、可愛いなぁ~って思って手にしましたよ♪

      最近は、終活でエンディングノートを作るとか
      あとは、もし意思表示できなくなるような最悪な状況に陥っても
      遺される家族が困らないように、
      自分の望む死をちゃんと伝えておくことも
      必要ですよね!!
      エンディングドレスもそうなんでしょうね!
      この作品、すごくよかったですよ。
      いろいろ考えさせられました。
      よかったら、しじみさんも読んでみてくださいね(^^)

      私の読書記録ですか?
      結構読んでる…かなぁ~(^^;)
      最近は本を読みたいから、
      やらなきゃならないことを早めに終わらせて…
      読書時間を確保してますよ。
      つい、いろいろな事がおそろかになることはあるけれど(汗)

      活字中毒なのかもしれない!!
      でも本を読んでいる時間も
      こうしてブクログを開く時間も、
      なくてはならない、かけがえのない時間になってます(^^)
      しじみさん、コメントありがとうございました。
      2023/02/18
  • かなさんのレビューにあった本を図書館で見つけたので読んでみました。
    32歳の未亡人の麻緒、自分がいなくなった後、迷惑かけないようにといろいろと準備を始める。SNSの解約そうかこれも考えなきゃと思いました。
    ロープを買いに入った手芸店で目にした終末の洋裁教室のポスター、死に装束(エンディングドレス)を自分で繕う教室に興味を持ち通い始めました。ここら辺から生への未練感じてたのですが・・・
    そこで出会ったのがミステリアスな先生と3人の陽気なお婆さんたち、どんな展開になるのかタイトルとレビューを読んで予想してみてたのですけど、普通、出会ってはいけないんですよねっw 過去に囚われ前を向くことに怯えながら引きこもってないとねっw
    とゆうことで想像以上に感動してしまいました。この作者さん洋裁についてかなり詳しいようで専門的な用語に興味を覚えながら読めましたし、さっぱりしてるようで繊細な表現力に惹き込まれました。
    エンディングドレス作る前に様々な課題が用意されていて麻緒の関心が終活から洋裁教室に通うに連れて外側に向けられるようになり、それは連絡先リストが増えていくのとリンクしているようで、この人何処に向かってるのか自分でも行き当たりばったりだった人生ともリンクしてて興味深かったdeath。
    終盤にはソーイング・ビーのように洋服作ることが愉しそうでいろいろイメージして世界が拡がっていき、まるでサナギから蝶に生まれ変わったような再生のストーリーに変化していて心温まりました。
    それと、カヌレが無性に食べたくなったしミシンが欲しくなりましたっw

    • つくねさん
      かなさん、こんにちはw
      無理無理、だって不器用だし集中力ないしセンスもないので(汗)
      もっぱら既製服なんですが、
      強制労働とか不当な賃...
      かなさん、こんにちはw
      無理無理、だって不器用だし集中力ないしセンスもないので(汗)
      もっぱら既製服なんですが、
      強制労働とか不当な賃金で働かされた国の人たちが作った服に安くって得したなんて思ってる自分は視野が狭すぎたようで反省しました。

      作中で、かなさんと同名のクラスメイト出てましたねww
      かなやんって呼んでて、性格は違ってそうだけど親しみ感じてました。

      こちらこそ、いつもありがとうございます。
      最近311関連に熱心な、かなさんみてて本当に心の優しい人なんだなって感じてます。エネルギッシュで集中力もあるしww
      自分も周りがみえてくると世界が違ってくるとは思ってますけど
      うまくいかなくってモヤモヤしてます。
      デビュー追っかけてますのでまたいろいろ教えてくださいねww

      2023/03/16
    • かなさん
      しじみさん…照れますねぇ(^^)
      私は、興味のある作品を読んで感想を投稿しているだけで、
      エネルギッシュとか、集中力なんか、ないない!
      ...
      しじみさん…照れますねぇ(^^)
      私は、興味のある作品を読んで感想を投稿しているだけで、
      エネルギッシュとか、集中力なんか、ないない!
      家族からは、図書館からも本を借りてるのに
      そのうえ読みたい本を次から次へと積んでいくので
      呆れられています(^-^;

      ブクログのおかげで、
      読みたい本は途切れることなくある…
      でも、それって幸せなことなんですよねぇ~
      読書をする日常が当たり前に送れるって
      感謝しなければならないことだと思っています。
      もちろん、こうして、しじみさんと交流できるのも♪
      こちらこそ、これからもよろしくお願いしますネ!
      2023/03/16
    • つくねさん
      ラジャーです ('◇')ゞ
      私は根っからの横着者だから、読書する時間も勿体ないなあって感じてて、タイトルとデビューだけでどんな本か内容把握...
      ラジャーです ('◇')ゞ
      私は根っからの横着者だから、読書する時間も勿体ないなあって感じてて、タイトルとデビューだけでどんな本か内容把握できると嬉しいけどなんて考えていますが沼にハマったようで、ことごとく期待裏切られてます。(いい意味でww)
      作家さんたちの溢れる才能と、血と汗と涙の結晶なんだから、相応の覚悟で対峙しないと感情移入できませんしね。気づいたら深夜2時過ぎてて焦りましたww

      読むだけじゃなくこうしてアウトプットする習慣もでき、交流できることも嬉しい誤算でした♪
      2023/03/16
  • 決して多作の作家ではないのですが、蛭田さんは窪美澄さんや山内マリコさんとほぼ同時期に新潮社R18受賞された方です。
    紙での作品は全部読んできました。こちらは2018年の作品。
    亡くなった山本文緒さんが帯に推薦文を寄せられていました。

    喪失との向き合いは本当に答えのないもの。
    乗り越えるのか、やり過ごすのか、はたまた慣れるものなのか、時間をかけ自分自身を見つめ、新たな助けになるものや人に手を伸ばし…。
    と、言うのは容易いのですが、なかなか越えられない哀しみ、寂しさ、孤立感、何よりも絶望感が蛭田さんの言葉で描かれます。

    蛭田さんご自身がお好きな裁縫やお料理のあれやこれやの知識も作品に盛り込まれ、愉しさが伝わってきます。
    蛭田さんご本人がお好きなことを描写する柔らかさと熱がそうさせるのでしょう。

  • テーマがすごく素敵だった。夫を亡くし、自分も死ぬと決めた麻緒が終末の洋裁教室に出会い、20歳の時にいちばん気に入っていた服、15歳の頃に憧れていた服、思い出の服をリメイク、自分以外の誰かのための服、自己紹介代わりの服、つぎの季節のための服を作ることで心を取り戻してく様が、とにかく泣ける。
    死装束を作る教室なので年配者が多い中、32歳の麻緒の健気な立ち振る舞いと、周りのパワフルなおばあちゃんたち。そして誰かのための服で92歳の千代子さんが麻緒のためにつくった、麻緒が眠れるようにと作ったパジャマのエピソードから涙腺崩壊した。
    辛く苦しいこと、たくさんあるなかで、人との別れは必ずしも生死問わずに訪れること。そのなかで自分がどのように生きるか、どうするかを考えさせられた。

  • 洋裁できるようになりたい。

  • 死ぬつもりで自分の死に装束を作るため、エンディングドレスを作る教室に通い始めた主人公。だけれど、エンディングドレスを作るまでに色々な課題があってなかなかエンディングドレスは作れない。教室で出会った年配の友人たちと一緒に課題に取り組むうちに少しずつ心が再生していき、生きる気持ちを取り戻しはじめる主人公が印象的な作品。教室の仲間が最後に1人亡くなってしまうが、お葬式のシーンがとても心に残った。蛭田さんは心に傷を抱えた女性が再生していく作品を書くのが上手ですね。フィッターXもこんな感じだった。

  • 中盤からは涙で文字を追うのが大変でした。
    終末の洋裁教室に集まった4人の生徒と先生の、過去や想いが作り上げた服と共に少しずつ明かされるのに夢中になって読み終えた。
    主人公は勿論他4人のキャラクターもとても魅力で、その人の全容は分からないけれど少しだけ垣間見えるエピソードに想像を膨らませてしまう。
    洋裁をしてみたくなる、素敵な一冊でした。

  • ーわたしだけの、人生最後のドレスを。

    〈あらすじ〉
    夫に先立たれて、世界の全てを失ってしまった。
    夫の後を追うため、家を整理し、首を吊るためのロープを買った。
    その時、目に入ったのが「終末の洋裁教室」だった。死装束をつくるために、3人のおばあちゃんたちとの洋裁教室が始まる。

    〈感想〉
    長いこと積読していました。
    はじめての作者さんです。
    予想以上にとても良かったです。
    洋裁教室では最初から死装束をつくり始めるのかと思いきや、課題を出され、少しずつ上達していく4人。
    自分以外のだれかのための服を作ってください。
    という課題が1番、じんと来ました。
    夫に先立たれて、誰に洋服を作るのかと思ったら。
    この人たちにとって、洋服を作ることは未来を形づくることなんだと思いました。
    何歳になっても人を大切にすること素敵なことなんだと思います。

  • 死装束…エンディングドレスを縫う終末の洋裁教室のお話。
    主人公が最終的に顔を上げられて良かった。

    ファッション用語が分からんくて、都度調べてみたり、いまいち想像しきれなかったり。
    洋裁めっちゃ難しそうだけど、教えてもらいながらやってみたい気持ちになりました。

  • 20200729

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著者プロフィール

1979年北海道札幌市生まれ、在住。2008年第7回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞し、2010年『自縄自縛の私』(新潮社)を刊行しデビュー。そのほかの著書に、『凜』(講談社)『エンディングドレス』(ポプラ社)『共謀小説家』(双葉社)などがある。

「2023年 『窮屈で自由な私の容れもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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