(133)鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡 (ポプラ新書)

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  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591156025

感想・レビュー・書評

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  • 確かにタカラヅカの粛々とした進行は電車のダイヤに通じるものがあり、そこを阪急と結びつけるのは、当たり前のようで意外な発想と思った。徹底的に効率化し、反面お金に糸目を付けない、そしてチャレンジを恐れない。これらは創始者小林一三のやり方がいまだに息づいていて、100年の歴史はその正しさを証明している。男役の在り方の今後という指摘は、娘役を主役にというアイデアと相まって、考えさせられた。それはタカラヅカの根幹に関わるテーマだが、ある時期は女性役がメインだった事もある経緯上、現在が絶対不変の完成形とは言い切れない。それは男女の役割が以前とは異なってきているだけに、なお説得力があるように思った。

  • 「何故タカラヅカは100年も続いたんでしょうね?」と聞かれて、「もしかして、鉄道会社がやっているからじゃないですか」という発想が素晴らしい。
    確かに、粛々と時間通りに始まり時間通りに終わる。例外として2018年6月の大阪北部地震では開演時間を遅らせた(客席が埋まってなくても開演した!)し、台風で中止になったこともあるが劇場と関係者の安全を確保する必要性があるから当然だろう。流石鉄道会社だと思う。

    歌劇団は在団中は生徒、退団したらOGと呼ばれることに象徴されるように100年以上続く伝統校である。「(朗らかに、)清く、正しく、美しく」の校訓を生活規範にしているファンも多いのではないか。本書の中にはこの校訓に関するアンケート調査を行い、ほとんどの回答者が意識しているという結果が出たとあった。
    好きだからファンなのであって、そこに全組観劇派も組贔屓派もない。
    公言しているかは置いておいて、自分の立ち居振る舞いを「宝塚歌劇のファン」としてどう見えるか、と振り返ると自然と校訓に則った行動を心がけるようになると思う。
    なぜなら憧れの世界に少し近付けるからだ。そして、その駅を出てから続く花のみちや阪急マルーン、大劇場のエントランスや赤絨毯が少し後押ししてくれる。
    SNSでの「意見表明」が増えている(第一4章)そうだが、だからこそ我が身を振り返り、モンスターファンになってはならないと自戒すべきだ。
    意見表明したファンの向う側にはご贔屓さんが透けて見える時がある。ご贔屓さんのファンの程度が知れる、と思われるかもしれないし、ご迷惑をお掛けするかもしれない。さらに劇団のファン全体の品格も落とすかもしれない。
    送信ボタンを押す前に少し想像してください。瑕疵はすぐに餌食にされることを。


    一昨年発行(2017年)のため、まえがきに出てくる作品は全て過去上演作であるし、数年後の読者からしたら古い作品が並んでるなぁ(全組のトップさんが変わっているかもしれない)、と思われるだろう。100周年というあの熱狂を少し遠くに眺めることができるようになったこの時期に、以前から宝塚歌劇に関心を寄せてきた著者の本を読めて良かった。
    昨日は105期生が入団した。これからも私は喜んで宝塚歌劇団に振り回されることだろう。

  • 素晴らしき分析力だなぁ。感服!
    違う面でも舞台をみたくなってきました。

  • 鉄道経営の話かと思ったら、劇場経営の話でした。
    宝塚歌劇が現在でも多くのファンに愛されている理由を、阪急電鉄や宝塚歌劇団の創始者小林一三氏の理念に結び付けているのが印象的でした。

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著者プロフィール

1967年生まれ。山口県周南市に育つ。東京大学法学部卒業。「NPO法人企画のたまご屋さん」副理事長。株式会社リクルートに勤務ののち2000年に独立し、「働き方・学び方・遊び方」をテーマに執筆活動を展開。2004年より、本を書きたい人と出版社の出会いの場を演出する出版エージェント「NPO法人企画のたまご屋さん」の運営に携わる

「2009年 『著者の素』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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