湯島天神坂 お宿如月庵へようこそ 十日夜の巻 (ポプラ文庫 な 11-10)
- ポプラ社 (2020年11月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591168158
作品紹介・あらすじ
<プロフィール>
東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業。フードライターとして活躍中。
『日乃出が走る』で第3回ポプラ社小説新人賞の特別賞を受賞しデビュー。同作で歴史時代作家クラブ賞新人賞ノミネート。
著作に『金メダルのケーキ』『いつかの花』など多数。
<内容紹介>
如月庵は上野広小路から湯島天神に至る坂の途中にあり、知る人ぞ知る小さな宿だが、もてなしは最高。気働きのある部屋係がいて、板前の料理に舌鼓を打って風呂に入れば、旅の疲れも浮世の憂さもきれいに消えてしまうと噂だ。
板前・杉治は、ある日、荷車にひかれそうになった薬種屋の娘を助けた。
名乗らず去ったが、薬種屋が助けた者を探しているらしい。
「自分の身元」が割れたのではないかとおびえる杉治だが――
感想・レビュー・書評
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如月庵の料理人・杉治の秘密が明らかになります。
十日夜の巻 ― お宿如月庵へようこそ 湯島天神坂シリーズの4作目
2020.11発行。字の大きさは…小。
三人姉妹、眠る男.眠れない男、猫が仕出かした不始末、人形と旅する男の4話。
杉治は、上野広小路で暴れ馬を見事に鎮めて幼子の命を救います。杉治は、小さい頃から忍びとして鍛えられ、文吉の名で北国の雄藩の料理人として、妻・お国と娘・夏と生活していましたが。お夏が7才の時に、若様の命を縮めるのを嫌って、姿を消しました。
暴走する馬を鎮めたことから正体がばれ、杉治は薬種問屋青天堂で兄・種五郎と会います。
【三人姉妹】
八王子の美人三姉妹の長女・粂が、如月庵で寛いている所へ、次女・桐が、旦那に女が出来たため、大金をもって家を飛び出してきます。三女・市は、夫が三社祭にありったけのお金をつぎ込んだため、身動きできなくて金の無心に来ます。
【眠る男、眠れない男】
如月庵で狂歌師・古家雨漏が、1日で千首を即興で詠む催しを行います。部屋係の梅乃は、雨漏の弟子に言われ薬種問屋・晴天堂から青い袋に入った眠れる薬と、赤い袋に入った目が冴える薬を買いますが、逆に説明して飲んだ雨漏が眠れず、大変な事になりますが、…。
【猫が仕出かした不始末】
梅乃と紅葉が飼っている猫がお伝が大切にしている壺を壊しました。その壺を治すために、お伝の見世で2人が働くことになりました。お伝は、亡くなった夫の思いだけで生きていましたが、梅乃が、心を込めて働くと…。
【人形と旅する男】
奈良半に奉公していた末吉は、客から受け取った硯の代金を懐に入れて出奔しました。お金が乏しくなった末吉は、一計を案じ如月庵に泊って脅す時期を伺っていましたが、女将のお松がいち早く動いて…。
【読後】
此度は、「猫が仕出かした不始末」が良かったです。
なお、これで如月庵の紅葉、桔梗、樅助、杉治の過去が明らかになりました。
最後に「もしかしたら、如月庵という宿も大事なひみつを隠しているのかもしれない」と書いて有ります。もしかして次作が最終回で、如月庵の秘密が出て来るのか、楽しみです。
2021.02.03読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズ第4弾。
今回は、板前・杉治の過去が明らかになります。
人目がある中で、暴れ馬から咄嗟に少女を助けたことから、“身元が”割れたのでは・・と悶々と悩む杉治。
“蜘蛛茸”の事を医者の助手の桂次郎にペロっと話してしまったり、見習いの竹助に「(杉治の)後ろ姿が板前じゃない」と言われたり、何気に脇が甘い杉治ですが、さて葛藤する彼はどうなるのか・・。
そして、いつものように部屋係の梅乃と紅葉も色々引き起こしながら、元気に働いています。第四話「人形と旅する男」では、人形を生きているように扱う謎のお客を巡って、梅乃を心配した紅葉と喧嘩のようになってしまうのですが、その時の紅葉の「あたしは梅乃のことが本当に心配だったんだ。だから思ったことを言った。にこにこして上っ面だけ仲良くするなんていうのは好きじゃない。逃げるのが嫌なんだ」という台詞が、“梅乃はいい友達持ったね・・”と二人のそんな友情を微笑ましく思いました。 -
2021.10.05
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ウルエスの説明文、もっと分かりやすい言葉で書けそう。
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もう、今日の仕事は終わった気がする。
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よかった、秘密のある人ばっかりで素敵❗️
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シリーズ四弾。今作では宿の料理人杉治の過去が通して描かれている。お人好しで純粋な中居の梅乃が様々な人との触れ合いのなか、人として、中居として成長していく。
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プロローグ
第一夜 三人姉妹
第二夜 眠る男、眠れない男
第三夜 猫が仕出かした不始末
第四夜 人形と旅する男
エピローグ
梅乃と紅葉はデコボコで良いコンビ。補い合って頑張っている。見守る人々がまたいい人ばかり。
ほっこりする。