ほたるいしマジカルランド (ポプラ文庫 て 3-5)

著者 :
  • ポプラ社
3.78
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本棚登録 : 1211
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591178683

作品紹介・あらすじ

あなたのそのがんばりを、見つけてくれる人が、きっといる。本屋大賞ノミネート作家が贈る、心をときほぐす温かな物語。大阪北部の蛍石市にある「ほたるいしマジカルランド」は、願いごとを叶えてくれるという噂のあるメリーゴーラウンドが人気の老舗遊園地だ。ここで働くのは、どこか不器用で悩みを抱えた人ばかり。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフに花や植物の管理。お客様の笑顔のために奮闘する従業員たちの日常が、ふとしたきっかけで動き出し――。毎日がんばるあなたの心をふっと軽くする、温かな物語。【解説/畑野智美】■著者プロフィール1977年、佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年、『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞し、翌年デビュー。20年、咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。21年、『水を縫う』で、第9回河合隼雄物語賞を受賞。他の著書に、『ミナトホテルの裏庭には』『月のぶどう』『今日のハチミツ、あしたの私』『大人は泣かないと思っていた』『夜が暗いとはかぎらない』『カレーの時間』『川のほとりに立つ者は』『白ゆき紅ばら』など多数。

感想・レビュー・書評

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  • とても読みやすくて心があたたかくなるお話だった。
    ちょっと読むのに力のいる本続きだったから箸休めに、と手に取ったが、大正解だったと思う。

    登場人物全員、ちょっとした良いことを感じている(もしくは他人に感じさせている)場面があり、そういうちょっとした良いことで、いろんなことが乗り越えられるものだよなと思う。

    あと、やはりテーマパークで働くのって少なからず日々がよりわくわくしそうな気がして、魅力的だなとも感じた。

  • 家を出て道路の向こうを眺めれば、少し先の丘の上には大きな観覧車(スカイウォーカー)が見える。丘の手前には2種類のコースター(レッドファルコン/エルフ)の雄大なコースに、風向きによっては乗っている人の絶叫が聞こえるドロップタワー(メテオ)の姿も。
    そこは「ひらかたパーク」(通称:ひらパー)。一度も取り壊されずに現存するものでは日本最古の遊園地(by Wikipedia)。

    そんなひらパーをモデルにした遊園地が舞台のこの本、そこに働く人たちの日々の屈託が描かれる。
    ありがちなところから少しずらした登場人物の造形で、美点も欠点もそれぞれに描き分けられているところが良い。
    好きな職場でなくても好きな仕事でなくても、開かれているイベントについては内容を把握しておくために初日に確認しておく紗英の、インフォメーションの仕事に対する姿勢が好き。
    過度の思い入れは仕事の邪魔になると喝破する市子社長の、社員を見る目と配置に対する考え方が面白い。
    園の植物を管理する山田さんとその奥さんの関係が羨ましく、清掃スタッフの八重子さんと別れた夫に託した息子との関係が切ない。
    八重子さんが通う近所の食堂店主の、月1回、ようやってる、と自分で自分に言う生き方にもじんわりくる。
    畑野智美さんの解説にも好感。

    周辺の住民としては、読み始めてしばらくは、遊園地のことについて書かれてあることの元ネタが気になって(ほたランは駅から529歩だがひらパーは何歩だったけとか)、本筋が頭に入ってこずやや困った。(答は485歩(ピピン調べ))
    温かくて佳い話になったので、ひらパーの関係者でも何でもないがちょっと嬉しく、久し振りに行ってみたくなった。

    • 傍らに珈琲を。さん
      関西人ではないけれど、超ひらパー兄さんだけ知ってます 笑
      関西人ではないけれど、超ひらパー兄さんだけ知ってます 笑
      2024/01/27
    • ニセ人事課長さん
      傍らに珈琲を。さん
      お久し振りにありがとうございます。

      「超ひらパー兄さん」、その言葉、忘れかけていました。
      岡田くんは確かに「超...
      傍らに珈琲を。さん
      お久し振りにありがとうございます。

      「超ひらパー兄さん」、その言葉、忘れかけていました。
      岡田くんは確かに「超ひらパー兄さん」なのですが、2014年度からは「園長」の肩書も与えられていて、その去就を賭けた「年間来園者数100万人達成」のミッションクリアや来ているパーカーの胸の文字などから、今やこちらでは「岡田園長」として認知されているのですよ。
      どうでもいい地元ネタでした。
      2024/01/28
  • ☆4

    「ほたるいしマジカルランド」で働く人々を主人公にした連作短編集。
    様々な悩みや事情を抱えながらも、日々成長していく登場人物たちに背中を押してもらえました。
    読後、ふんわりと心が優しくなれる一冊でした。

  • 劇的ではない。リアルであるからこそ、心に残る作品だと思いました。
    大阪府蛍石市にあるほたるいしマジカルランド。この遊園地で働く人々の日々を集めた連作短編集。
    それぞれの主人公となる人物は、仕事大好き!遊園地大好き!というポリシーで働いているかと問われると、そうではない。成り行きであったり、生活のためであったり、様々。淡々とした日々の中、それぞれの事情に折り合いをつけながら、ときに肯定納得したりしながら働いている。やり遂げるべきことをやり遂げ、責任を持って。
    その背中がかっこよくもあり信頼できる。遊園地とは何かと問われたら、私も左門さんと同じく誰かの特別な日を彩る仕事かなと思う。訪れる人の特別な思い出の日を守る、そしてそのことに誇りを持っているところ、ありふれているかもしれない、でも渋くてかっこいい仕事人達の物語でした。

  • 久しぶりの寺地さん。
    やっぱりいいですね。
    いつも寺地さんの作品を読むと、自分の
    心の自分でも気づいていないような
    小さな小さな気持ちに気づかされ
    ちょっぴり痛い傷に薬を塗ってもらえるような
    そんな気持ちになりあったかい気持ちになります。
    マジカルランドで働く人はどこかでこぼこな気持ちを持っていて、いろいろな業種から
    社長にスカウトされて入った人や、社長と面接して入った人など様々です。

    世の中には悩みがない人も「普通」な人もいないと思います。
    みんな頑張っていろいろ葛藤しながら生きていて
    そんな気持ちを持っているからこそ
    相手を思いやる気持ちも持って生きていけるのかもと思いました。



  • 寺地さん二作目。
    転職後の通勤電車で読んでました。
    乗り換えまでに30分程度乗るのですが、
    ちょうどよく読めていた記憶です。
    (結構前に読み終わったので、記憶が。苦笑)

    -------------------------
    あなたのそのがんばりを、
    見つけてくれる人が、
    きっといる。

    本屋大賞ノミネート作家が贈る、
    心をときほぐす温かな物語。
    -------------------------
    大阪北部の蛍石市にある「ほたるいしマジカルランド」
    インフォメーション、清掃、アトラクションスタッフ…。
    それぞれが各持ち場で毎日働きながら思うこと。

    迷うし悩むし嫌になることもあるけれど、
    誰かが自分を見ていてくれるし、
    今日も誰かの笑顔をつくる一助になっている。

    優しくて仕事帰りのカッカした気持ちをほぐしてくれるような一冊でした。

  • 大阪の郊外にある遊園地を舞台とした心温まる物語。従業員それぞれを主人公とした物語が語られ、最後はハッピーエンド。サクサクと読め、読了感も良かったです。離婚して、掃除婦として働いている女性の物語が特に良かったです。遊園地のモデルはひらかたパーク。

    • かなさん
      KOKORO64さん、こんばんは!
      この作品、おにぎりのサイン、
      すごくよかったですよね(*^^*)
      素敵な作品でした!!

      この...
      KOKORO64さん、こんばんは!
      この作品、おにぎりのサイン、
      すごくよかったですよね(*^^*)
      素敵な作品でした!!

      この度はフォローしていただきありがとうございます。
      私は小説以外にもノンフィクションとか
      絵本も写真集もマンガも、何でも読みますが
      これから、どうぞよろしくお願いします。
      2024/04/21
    • KOKORO64さん
      かなさん、こんばんは

      おにぎりサイン、泣けました。
      フォローありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。
      かなさん、こんばんは

      おにぎりサイン、泣けました。
      フォローありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。
      2024/04/21
  • 最近ハマってる寺地はるなさんの連作もの。
    月曜日から日曜日までが一日毎に描かれていて、全部で7つの短編からなります。なので、まとまって読書の時間が取れない人も気軽に読めるかと。(ただ、登場人物が多く間を空けすぎると誰が誰かわからなくなるので注意です)

    個人的には、水曜日の清掃員さんと食堂の女将さんのお話が一番好きです。
    悪口は言っていい、なんでもかんでも感謝する必要はない、っていうのは頭がもげるほど頷きました。

    そりゃ陰口は良く無いし、いじめみたいに大人数で一人を責め立てるのは良く無い。
    だけど一対一の関係で、相手がものすごく失礼なことをしてきたときにまで、相手に抱いたムカつく感情だったり負の感情を、全部自分の中にしまい込まなくてはいけないのか?或いは、超理不尽なことまで文句の一つも言わずにだまって受け入れなくてはいけないのか?と思います。
    この感想を書いてるときでさえ、過去に経験して発散できてないムカつく出来事が次々に浮かんできて、頭が沸騰しそう。笑
    独り言でも日記でもなんでもいいけれど、爆発する前に積極的に悪口を外に出してこうと思いました!!

    冒頭に書いたとおり、登場人物が多すぎて迷子になることがあったので、評価は星4つで。

  • 老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」。ここで働く人々を描いた連作短編集。人々を楽しませる遊園地だが、従業員達はそれぞれに何かしら抱えている。どんな仕事だって、好きだけでやっていけるものではないだろう。自分の居場所はここじゃないと後ろ向きになっていたり、能力を過小評価されていると拗ねていたり、思い込みに雁字搦めになって、八つ当たりめいた妬み嫉みを心の中に積もらせていたり。
    色々拗らせている登場人物達においおいと突っ込みながらも、何だか自分の悩みや迷いが形を変えて反映されているような。だから、ほんの些細なきっかけで、視界が少し開ける瞬間に、こちらもハッとする。心に留めておきたいセリフがいくつもあるのだ。
    それぞれのドラマを楽しむ一方で、気になる人物がちらほら。読み進めるほどにその謎が少しずつ解き明かされ、きれいに繋がっていく展開が素晴らしい!
    遊園地なんてすっかりご無沙汰だけど、メリーゴーラウンドに乗りたくなりました。単行本の華やかなイラストも素敵だけど、くらはしれいさんによる文庫版の挿画も、控え目な可愛らしさが大好きだ。そして、畑野智美さんの解説が、真摯な言葉で本書の魅力を伝えてくれる。

  • 社長・佐門・佑…登場人物が、みんなあまり好きな感じでなかった。サラッと読めたけど、話しは何か物足りない感じだった。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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