注文に時間がかかるカフェ たとえば「あ行」が苦手な君に (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591180396

感想・レビュー・書評

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  • 吃音についての知識は少しあった。
    身内にいるから。その子は、とても努力家で、言葉の教室に通いながら頑張っていた。
    だから、わたしは、もう少し吃音を知りたくて手に取りました。
    個性として受け入れられる社会になるように、と願います。

  • カフェで働いてみたかった、一歩踏み出したかったなどという理由で吃音の人が集い1dayカフェをする話

    話を遮らないで欲しい、言い終わるまで待って欲しい、先回りして言って欲しいと人によって、どうして欲しいかは様々
    まずは知ることから

  • どこかで聞いたようなタイトルの本。「注文に時間がかかるカフェ」とは、吃音で悩む人達のために、同じ障害の奥村安莉沙さんが始めたプロジェクトだ。本書はその活動に密着取材したノンフィクションである。カフェで働くという夢をあきらめた奥村さんだが、自らの経験から若者のために1日限定のカフェを始める。主催者が場所と資金を提供し、障害を持つ人が接客を担当する。予約制で飲食費は無料だ。参加者は接客体験を通じて自信をつけ、見違えるように変わるという。
    奥村さんによれば、吃音の方は全国に120万人もいるという。割合としては100人に1人だ。その割に身近にいた記憶がないのは、彼らが障害を苦にして心を閉ざしていたせいだろうか。単にぼくが鈍くて気付かなかっただけかもしれないが……。
    活動の詳細も興味深かったが、吃音を巡る誤解や偏見に胸が塞がる思いだった。

  • 派遣社員をしていた頃、一時期電話を取ってすぐの「ありがとうございます」の「あ」が出てこなくなったことがありましたが、軽い吃音だったのかな、と今でも思います。

    小学校で日本語を教えていたときは、ペルールーツの男の子に吃音がありました。のんびりした性格で優しいためか、クラスでは比較的温かく見守られていましたが、大人になった今ではどうしているのかな、と思います。

    コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力が求められる社会生活で、生きづらい思いをしている人がどれほどいるのでしょう。

    多様性を認める、と口で言うのは簡単ですが、社会が変わるとはなかなか思えません。

    このような活動が少しでも広まり、理解する人が増えますように。

  • 私は吃音者です。だからこそ、書中の若者たちが訴える苦悩や願望に、共感の叫びが絶えなかった。

    取材をした 大平さんの、注カフェ店員の若者たちへの寄り添い方がやさしい。
    老婆心ながら、 などと言っているが、それは本心からとっさの言動なのだろう。

    注カフェを発起させた奥村さんもとてつもない大きなモチベーションのある方で、仕事を辞めて活動に注力する情熱。「自分が経験した苦しさを、これからの若者には味わって欲しくない」
    と。彼女の本気さ感じた。

    また、大平さんは以前 相手の話を聞いていることをアピールするために無意味な相槌を何度もついていたり、言葉の先取りをしていたそうだが、
    そのような行動は吃音者には禁忌で、かえって焦られてしまいストレスを与えるばかりだということを知ってからは、
    「相手(の言葉)を待てるようになった」P234
    で語っている。
    待つからこそ、聞ける本音がある。

    その通りだ。
    私たち吃音者は、沈黙を恐れる。
    言葉が喉や舌に貼り付き、根を生やし、呻き声しかでない苦しいあの瞬間。
    とっさに言いやすい言葉に変換しようものにも、挨拶などの定型文だと言い換えができない。

    そんな、「外から見えにくい苦労」を抱えた吃音を持つ若者たちが、安心して、接客できる カフェ。
    なんてやさしさに溢れた場所なのだろうと。
    自分も高校生なら参加したいと思いながら、本を閉じた。

  • 本書は"吃音"をもつ言葉が流暢に話せないカフェ「注文に時間がかかるカフェ」の非当事者視点で書かれたルポです。

    当事者ではない視点から語られる話は吃音を知らない、名前だけは知っているという方にとって伝わりやすい内容かと思います。
    純粋な若者の夢を見つめる気持ち、私達が何気なく話している言葉の重みが詰まっています

    新しい視点から言葉、コミュニケーションが観られる良書です。

  • タイトルに惹かれて手にとった。読みながら、自分の同級生であった吃音の子に、そして自分が出会ってきた吃音に悩む子どもたちに、自分は寄り添えていなかったことを痛感させられた。贖罪にもならないが、これからは、寄り添っていく。とても、「きよし子」を読みたくなった。

  • YouTubeも見てみようと思った。吃音者が吃音のことを書いている本はあるが、非吃音者が吃音のことを書いているということが、啓蒙につながると思う。実名を出してインタビューに答えている参加者の方々に敬意を表したい。

  • 図書館の新刊コーナーで見つけた
    知らないことがたくさん
    私は全く気が付かなかったけど
    今まで周りにいたんじゃないかと思う
    ごめんなさいって言いたい

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著者プロフィール

大平 一枝:作家、エッセイスト。長野県生まれ。大量生産、大量消費の社会からこぼれ落ちるもの・
こと・価値観をテーマに各誌紙に執筆。著書に『東京の台所』『男と女の台所』『もう、ビ
ニール傘は買わない。』(平凡社)、『届かなかった手紙』(角川書店)、『あの人の宝物』(誠
文堂新光社)、『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』(大和書房)ほか。
「東京の台所2」(朝日新聞デジタル&w)、金曜エッセイ「あ、それ忘れてました(汗)」
(北欧、暮らしの道具店)、「令和・かぞくの肖像」(OIL MAGAZINE)など連載多数。


「2021年 『ただしい暮らし、なんてなかった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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